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私が見たアメリカのホテル

アメリカの一流ホテルで日本人マネージャーとして10年間勤務した著者が、日々の仕事の中でふと目にしたシーンから、日米の文化的な違い、考え方の背景にあるものなどをつづります。 著者紹介はこちら>>

第173回

IT革命が生んだホテルブランドマネジメントカンパニー

ホテルイメージ

30年前、私がホテルで仕事を始めた当時は、ホテルブランドという言い方はなかった。使われていた用語はホテルチェーン。ヒルトンホテルズの創始者、コンラッド・ヒルトンは1919年にテキサスの小さな町、シスコにあるホテルを購入。当時、オイルを求めて集まった宿泊客を相手に大儲け、その資金でホテルを増やしていった。それぞれのホテルには自身の名をつけてヒルトンホテルとし、それらを総称してヒルトンホテルズチェーンと呼んだ。マリオットも同様に、創業者の名を取って、マリオットホテルズチェーンを造った。

だが、IT革命により、ホテルチェーンカンパニーがイーメールを使い、大量の顧客にむけて直接セールスをかけられるようになると、とにかく多くのホテルを世界中に持っているホテルチェーンが勝つという構造ができあがった。同系列のホテルを利用すればするほどポイントが稼げ、よりよい待遇が受けられるプログラムにひかれ、人々が同ホテルチェーンに絞って使うようになったからだ。

必然的にホテルチェーンを選ぶ際には、世界中のどこにでもホテルを保有するホテルチェーンが選ばれるようになる。3都市を巡るとき、2都市にしかホテルがないチェーンよりも、3都市にホテルを持っているホテルチェーンのメンバーになるほうが特になる。出張のときは、デラックスホテルに泊まるが、自費で旅をするときはエコノミーホテルを選びたいという人もいる。こうした人々のニーズに応えるには、エコノミーからデラックスまで、世界中にたくさんのホテルを展開していることが求められた。

だが、短期間にホテル数は伸ばせるものではない。そこで、ホテルチェーンごと買収してしまう動きが生まれた。そして、買収したホテルチェーンをブランドとして管理する、ホテルブランドマネージメントカンパニーが誕生した。現在、マリオットホテルカンパニーの中には、リッツ・カールトン、ウエスティン、シェラトンなど、その昔はホテルチェーンだったホテルが、今はホテルブランドとして存在する。ヒルトンやハイアットも然り。それらは、もはやホテルチェーンカンパニーではなく、多くのホテルブランドを管理するので、ホテルブランドマネジメントカンパニーと呼ぶのが相応しい。

歴史的に見ると、1929年の世界大恐慌がホテルチェーンを育成し、IT革命がホテルブランドマネージメントカンパニーを造りあげたと言える。それほど、IT革命はホテル業界に大きな影響をもたらした出来事だった。

2022.4.20公開

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奥谷啓介氏

著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。

・奥谷 啓介オフィシャルサイト

<著者紹介>

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