アメリカン・エキスプレス
私が見たアメリカのホテル

アメリカの一流ホテルで日本人マネージャーとして10年間勤務した著者が、日々の仕事の中でふと目にしたシーンから、日米の文化的な違い、考え方の背景にあるものなどをつづります。 著者紹介はこちら>>

第161回

観光が戻り始めたニューヨーク

ホテルイメージ

ニューヨークのマンハッタンでは観光バスが走り始め、タイムズスクエアの街並みが変わった。もう昨年のゴーストタウンを彷彿させる状態ではない。4月1日から、州をまたぐ移動にかけられていた制限が解かれたからだ。全てはワクチン接種の拡大によるものと言える。これからは、第四波がうねり始めたところをワクチン接種の浸透が抑え込む状況を見ることになるだろう。来月末に開くブロードウエイのミュージカルの準備も始まっている。

だが、レストランとホテルは、この閉館中の1年で、既にスタッフを失ってしまっているところが多く、すんなりと営業の再開はできない。この夏には、マンハッタンを訪れる観光客を収容できるだけのキャパシティーはなく、ホテルの値段は高くなることが予想される。難を逃れてオープンすることができたホテルの独壇場となるだろう。

歴史を見れば、2001年、ITバブルの崩壊と同時多発テロにより、どん底に落ちた経済を立て直すために政府が金利を下げ、住宅バブルが勃発。住宅を短期間に造るためにホテルがマンションに改装され、ホテル数が激減したのが2004年から2008年の間。その後のリーマンショックで、住宅需要が低迷し、伸びてきた観光需要にあわせ、ホテルの建設計画が激増したのが2010年からの流れだった。

リモートワークの拡大により、マンハッタンの人口は減った。オフィスに来る人の数も減少した。それらは暮らしを豊かにするうえで役立つものだから、以前と同じ状態に戻ることはないと言われる。だが、旅ばかりは体験を楽しむものだから、リモートで代用させることはできない。そして、時代とともに、海外旅行が日常化する国の数は増えている。丁度、日本人が1980年代後半から海外旅行を日常化させたように、現在でも、海外旅行を日常化させる人々の数は増え続けている。ニューヨークへの旅行客は、有事が起こらないかぎり、増加の一途をたどることになる。それにつれ、ホテルとレストランの需要拡大もとまることはない。

世界大恐慌が終わったあと、ホテル業が最も早く回復する産業になると、ハーバード大学出の秀才が目をつけた。彼が兄と大学時代の同級生の3人で創設した会社がシェラトンホテル。その後、シェラトンホテルは大躍進し、創設者のアーネスト・ヘンダーソンが他界するまで、ライバルのヒルトンホテルとウエスティンホテルをしのぐ勢いを見せた。ホテル業は不景気から最も早く回復する産業。それを今回も見ることになるだろう。

2021.4.21公開

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私が見たアメリカのホテル バックナンバー
奥谷啓介氏

著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントとして活躍中。

・奥谷 啓介オフィシャルサイト

<著者紹介>

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超一流の働き方

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なぜ「お客様は神様です」では一流と呼ばれないのか

・はえくんの冒険(原作:アントニオ猪木、著:ケニー奥谷、絵:八雲)

ブラジルの中央、マッドグロッソにある牧場に生まれた「はえくん」の物語。原作のアントニオ猪木氏が自身の体験をもとに長年あたためてきた企画が、奥谷氏の手により絵本になりました。大人が読んでも楽しめる愛と友情の物語です。

はえくんの冒険

・サービス発展途上国日本 - 「お客様は神様です」の勘違いが、日本を駄目にする

サービスを向上させるにはスタッフを幸せにすることが一番の近道。アメリカの超一流ホテルでの経験から綴る業界改革論。

サービス発展途上国日本 - 「お客様は神様です」の勘違いが、日本を駄目にする

・海外旅行が変わる ホテルの常識

「プラザ」元マネージャー直伝、一流ホテルで恥をかかない滞在術。この一冊があなたのアメリカ滞在を変える!レジャーはもちろん、ビジネスにも役立つ情報の集積。国際人の責任として、海外に行く前にその国の常識を学ぼう。

海外旅行が変わる ホテルの常識

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アメリカのホテルはなぜこんなに不愉快なのか!?「日本人利用客」VS「アメリカ人従業員」。果てしないトラブルの非は、どちらにある?敏腕マネージャーがフロント・デスクの内側からみた「日米比較文化論」。

世界最高のホテル プラザでの10年間

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