アメリカン・エキスプレス
私が見たアメリカのホテル

アメリカの一流ホテルで日本人マネージャーとして10年間勤務した著者が、日々の仕事の中でふと目にしたシーンから、日米の文化的な違い、考え方の背景にあるものなどをつづります。 著者紹介はこちら>>

第116回

お札に見るアメリカ社会

ホテルイメージ

アメリカに行く前に、多くの人は円をドルに換える。その際に、気をつけるべきことは50ドル札と100ドル札は含まれないようにすること。アメリカの多くの店で、50ドル札以上の札は使えない。タクシーも同様。一般に使えるのは、1ドル札、5ドル札、10ドル札、20ドル札まで。理由は、偽札が多く出回っているからだ。どの店も偽札をつかまされることを恐れて、受けとらない。偽札の枚数は、4000枚に1枚と言われている。殊に、“スーパーダラー”と呼ばれる100ドル札はとても巧妙にできていて、見分けることが難しいという。店によっては、“偽札ディテクター”を用意していて、その場で、本物か偽物かを調べるところもある。

このような事情で、タクシーに乗る前、レストランに入る前、現金で支払いをするつもりなら、必ず20ドル札以下で、支払いに足る金額があることを確認しなければならない。もし日本から50ドル札や100ドル札を多くもってきてしまったら、大きな店や大きなレストランで、それを出してみる。大きなところなら、受けてくれることが多くある。あるいは、ホテルにチェックインする際に、小さな札に換えてもらう方法もある。ただし、換えてくれないところもあるから、必ずしも当てにはならない。

アメリカはチップの支払いが必要とされる社会。いつも小さな札を用意していないと不便なことになる。高級ホテルに到着して、ドアマンがタクシーのドアを開けたところから、チップの支払いが始まる。それまでに、1ドル札を用意しておこう。もし持ちあわせた札のなかで、20ドル札より小さな札が無い場合には、「○○ドルのおつりをください」と言いながら20ドル札を渡せばよい。おつりを渡そうと、彼らがポケットから出した大量の札たばを見て驚くことになるだろう。それが彼らの、その日のそれまでの主な収入だ。カードで支払うから、現金は必要ないと考えている人もいるだろうが、現金でしか支払いができない店もあるから要注意。また、カードを受け付けてはいるが、「○○ドル以下の支払いは現金のみ」というような店も多くある。

普段の生活で役に立つのは、なんといっても1ドル札。日本でドルを購入するときは、多くの1ドル札を用意することをお勧めしたい。

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奥谷啓介氏

著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。

・奥谷 啓介オフィシャルサイト

<著者紹介>

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