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私が見たアメリカのホテル

アメリカの一流ホテルで日本人マネージャーとして10年間勤務した著者が、日々の仕事の中でふと目にしたシーンから、日米の文化的な違い、考え方の背景にあるものなどをつづります。 著者紹介はこちら>>

第112回

投資対象としてのホテルの新たな面

ホテルイメージ

Wyndham New Yorker Hotel

ニューヨークを代表する老舗ホテル、ウオルドルフ・アストリアが3月1日をもって閉館した。このホテルは歴代の大統領が定宿としていたことで知られていた。理由は、大統領が泊まるスイート内にエレベーターがあり、地下まで直行できるからとのことだった。もともとは大富豪アスター一族が1893年にフィフスアベニューの34ストリートと33ストリートの間に建てたホテル。1929年、その地にエンパイアステートビルを建設することになり、現在の場所(パークアベニューの49ストリートと50ストリートの間に)に移築された。その後、1949年にコンラッド・ヒルトンに買収され、以来ヒルトンホテルズのフラッグシップとして君臨してきた。

2014年、中国の保険会社が購入。ホテル1軒の値段としてはアメリカ歴代最高値(19億5000万ドル)を記録した。ヒルトンコーポレーションがさらに100年間のホテル運営を継続することで同意していたものの、3年目にして予定は崩れてしまった。12年前にプラザホテルに起きたことと同様、分譲マンション+小ホテルが組み合わさった建物に改築されることになった。

2014年はニューヨーク市にあるホテルの成績が絶好調だった年。年平均稼働率は89.4%を記録。だが、ホテルの建設ラッシュが始まり、2014年に約99000室だった部屋数が約110000室に膨らむ。時間とともに増加していく部屋数の影響で稼働率は下降線に入り込んだ。ニューヨーク市を訪れる人々の数は増加しているので、経済状況さえ保てれば、業績は戻るが、それまでには時間がかかる。この数か月の間に、有名一流ホテルをはじめ、軒並みホテルが売りに出されている。ウオルドルフ・アストリアが分譲マンション化されるのも、こうした世情を反映してのことだろう。

大都市にあるホテルは投資対象として、新しい様相を見せ始めている。たとえ高値で購入しても、部屋を分譲マンションにして売ることで、後日、売却利益が得られる。全てをマンションにする必要はなく、必用に応じた数だけをマンションに改築することができる。ホテルのサービスが受けられることで、マンションは高値で売れ、さらに、マンション管理とホテル管理を兼用することで経費削減となり、マンション管理費から割高な利益を得ることができる。投資家はホテルが保持するこうした独特の利用価値に気が付きだすときが来た。今後、ホテルを購入し、一部をマンションに改築して販売するという流れができあがるだろう。

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奥谷啓介氏

著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。

・奥谷 啓介オフィシャルサイト

<著者紹介>

・超一流の働き方

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超一流の働き方

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「アメリカのホテルで1万円儲かることが、日本のホテルでは3,780円しか儲からない」といわれるほど世界最低レベルの生産性。働けど働けど儲からないワーキングスタイルに苦しめられるのはもうやめよう。

なぜ「お客様は神様です」では一流と呼ばれないのか

・はえくんの冒険(原作:アントニオ猪木、著:ケニー奥谷、絵:八雲)

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はえくんの冒険

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サービス発展途上国日本 - 「お客様は神様です」の勘違いが、日本を駄目にする

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「プラザ」元マネージャー直伝、一流ホテルで恥をかかない滞在術。この一冊があなたのアメリカ滞在を変える!レジャーはもちろん、ビジネスにも役立つ情報の集積。国際人の責任として、海外に行く前にその国の常識を学ぼう。

海外旅行が変わる ホテルの常識

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世界最高のホテル プラザでの10年間

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