アメリカのホテルに見る統計論

アメリカは何事にも効率的に行動する国。全ては数字に基づいて動く社会を造りあげている。野球をみれば、先発投手は100球をめどとして、交代する。それ以上投げさせることは、多くの面で、投手にも球団にも不利益と考える。1日あたりの労働時間は8時間を基本とし、それ以上長く働くことはよしとされない。それ以上働いたら効率が落ち、いい仕事ができず、会社のためにならないと考える。それらは全て統計的に出た結果に基づいている。

ホテルにも、その傾向は至る所でみられる。代表的なものはレベニューマネージメント。様々な場でアメリカのホテルは統計を取る。例えば、ルームレートに400ドル以上払うゲストは何%の人がレストランで朝食を取っているとか、ビジネスで宿泊するゲストのほうが、旅行パッケージで泊まっているゲストより、ホテル内で使う金額が平均〇〇ドル多いとか、朝食付きのパッケージにしたほうが、売れ行きが〇〇%よく、収益が〇〇ドルよくなるとか、の統計を取る。それに基づき、個人に提供するルーム料金、団体に提供するルーム料金、レストランのメニューと値段などを決めていく。また、稼働率が〇〇%のときは、何人のスタッフをおけば、最も効率的に人件費を抑えられるか、統計を出し、スタッフのスケジュールを行う。これなしに、最高収益を出すことなどできない。

統計を取るには、試行錯誤が必要とされる。そのため、レストランでは、品目や料金を頻繁に変えられるように、メニューを一枚の紙にして、毎日、新しいメニューをプリントアウトしているところがある。レベニューマネージメントを行うレベニューマネージャーは、刻刻とルーム料金を変えながら、いつどのようなときに、いくらの料金にしたら、最大収益となるかを試行錯誤しながら、完成度を高めていく。

このように、最大収益を上げるため最初に行うことは、統計を出すことと言っても過言ではない。そして、試行錯誤を行うためには、多くの面で、臨機応変さが必要とされる。面倒な作業ではあるが、成功しているホテルやレストランの裏では、こうした努力が行われている。

2023.8.31公開