私が見たアメリカのホテル

アメリカの一流ホテルで日本人マネージャーとして10年間勤務した著者が、日々の仕事の中でふと目にしたシーンから、日米の文化的な違い、考え方の背景にあるものなどをつづります。 著者紹介はこちら>>

第176回

高騰したニューヨークのホテル

ホテルイメージ

一時は、永久閉館と発表されたタイムズスクエアのエディションがオープン。再開発のために、取り壊しが決定していたグランドハイアットもオープン。コロナ禍で破産状態になって閉まっていたホテルも続々オープンし、最高級ブランドのアマンリゾートがミッドタウンに、リッツカールトンがノマド地区にそれぞれオープンする。街は観光客で溢れ、タイムズスクエアあたりは歩くことすらままならない。マンハッタンはそんな状態になった。

当然ながら、ホテルの稼働率はあがり、つられて値段も高騰。コロナ以前の夏なら、200ドル程度で泊まれた2スターホテルでさえ、300ドル以上もする。ラグジュアリーブランドともなれば、レギュラールームでも1000ドルを超える日が続く。ようやくニューヨークに行かれるようになったと喜んでいる人々が、ホテルの値段に悲鳴をあげる。それに追い打ちをかけるように、1ドルが140円に迫った。

もし自分が学生で日本から遊びに行くとしたなら、こんなときにはどうするだろうかと考えてみる。マンハッタンでも、寂れた場所にセキュリティ―の甘い小さな部屋のホテルがある。そこらなら、そこそこの値段で泊まれる。だが、決して快適ではないし、部屋にパソコンなどを置いて出かける気にはなれない。それよりも、電車に乗って20分以内でマンハッタンの中心地にたどり着ける場所にあるホテルを選ぶだろう。

候補地としてあがるのが、グランドセントラルターミナルから7番ラインの地下鉄に乗って行かれるクイーンズのロングアイランドシティ―。7番線は本数が多く、夜10時を過ぎても、10分以上待たされることはあまりない。また、4つ目の駅クイーンズボロープラザ周辺にはたくさんの3スターホテルが建っている。ただ、観光地ではないので、夜道を歩くことを避け、駅から徒歩3分程度で行かれるホテルを選ぶ。

クイーンズボロープラザには地下鉄Nラインも停まる。セントラルパークをマラソンしたい時は、ジョギング姿でメトロカード(地下鉄に乗る際に必要な薄いパス)とクレジットカードを一枚ポケットに入れてNラインに乗ればいい。10分もかからず、2つ目の駅フィフスアベニュー・59ストリートに到着。目の前にはセントラルパークが広がっている。帰りは、59ストリートにかかる橋を歩くこともできる。ホテルまで距離にして3キロ弱あるが、橋の上からの絶景に感動するかもしれない。

ニューヨークへの旅行は大きな金銭的負担が長く続くだろうが、快適かつ安全な方法で宿泊コストを下げ、敢行していただきたいと思う。待っている間に月日は過ぎ去り、それでいて、状況は元にはもどらないかもしれないから。

2022.7.20公開

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奥谷啓介氏

著者:奥谷 啓介

1960年東京都生まれ。ウエステインスタンフォード&プラザシンガポール、ハイアットリージェンシーサイパン等勤務の後、1994年よりニューヨークのプラザホテルに就職。2005年プラザホテルの閉館に伴い退職。現在はニューヨークにてホテルコンサルタントを、また2023年6月からは長年の夢であった小説家としてデビュー。ホテルマンの経験を活かし多方面で活躍中。

・奥谷 啓介オフィシャルサイト

<著者紹介>

・超一流の働き方

ビートルズ・ケネディ大統領・サウジの大富豪……全世界のVIPらに愛され、マネージャーとして超一流の世界で学んだ世界標準の「サービス」「心の持ち方」「自分の活かし方」「生き方」を公開!

超一流の働き方

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なぜ「お客様は神様です」では一流と呼ばれないのか

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「プラザ」元マネージャー直伝、一流ホテルで恥をかかない滞在術。この一冊があなたのアメリカ滞在を変える!レジャーはもちろん、ビジネスにも役立つ情報の集積。国際人の責任として、海外に行く前にその国の常識を学ぼう。

海外旅行が変わる ホテルの常識

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世界最高のホテル プラザでの10年間

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