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旅先でしゃべらぬは人生の損!
みなさま、まだまだお暑うございます。前評判ではイマイチ盛り上がらなかったリオ。「もういっそのことドーピング全面解除にして、超人だらけの宇宙オリンピックにしちゃえよ!」などとドス黒いことを考えていたマダムヨーコでしたが、始まってみればニッポン怒濤の快進撃! しっかりテレビに釘付けのホットな夏休みでございました。
海外で道をたずねられたことがありますか?
前回、パリで交通機関に翻弄されまくり、他人との会話がいかに情報収集に役立つかということを力説したわたくしですが、ちょうど同じ時期にパリに滞在なさっていたナランハ様より、こんなお便りをいただきました。
「旅先では他人と言葉を交わすことが大切というのは実感しています。あちらの人たちは旅行者だろうと現地人だろうとかまわず聞いてくるので、私もすぐに人に聞くのにだいぶ慣れました。また、ICEとかだと乗る車両で行き先違ったり(そして車内では移動できなかったり)するので電車が来てから行き先やどの車両に乗るべきか等、必ず聞いて確認してから乗るようにしています。」
そうそう、日本の親切すぎる鉄道システムに慣れていると、ヨーロッパの列車ってホント放任主義的ですわよねっ…てなグチは置いといて。本題は「旅先で他人と言葉を交わすことの大切さ」でございます。みなさまは旅先でのこんな経験、あるいはこんな経験談を聞いたことはないでしょうか。「いやいやいや、何であえて私に道を聞くかなー。どう見ても旅行者だし。わかるわけないし。それとも…ジモティぽく見えたのかしら~(ちょっと自慢げ)」。
他人と感情を共有することをためらわない欧米人
おそらく、ほとんどの方が「あるある!」と膝を打ったことと存じます。かくいうわたくしも、旅先であれこれたずねられ「なぜだ…」と困惑した覚えは数知れず。「んま~それほどまで空気になじんでいるのかしら、わたくしったら。オホホ」とカン違いしたことも数知れず。いいえ! ち・が・い・ま・す! 日本人以外、特に欧米人は(とソフトに断言してもよいかと思いますが)、見ず知らずの人でも平気で話しかけるし、話しかけられるのも当たり前なのでございます!
何かものをたずねられることはもちろん、たまたまレジで並んでいたご婦人に「そのバッグ素敵ね」と声をかけられたり、展望台で景色を見ていたオジサマが、ふいに「いい天気でよかったね」と微笑んできたり。子供だって、こちらに興味がわけば「ねえねえ、いま何歳?」などと平気でブッ込んできます。つまり、外国人は老若男女かかわらず自分の感情を他人と共有するのをためらわないわけでございまして、これって日本人が最も不得意とする分野ではないかしらん。
社会では「閉じて」いる日本人
そんなふうに声をかけられたわたくしたちは、まず「え!? この人知り合いだったっけ!?」と固まります。時と場合によっては、悪意のない言葉でもガン無視することもありますわね。それほど、自分の知らない場所では「閉じて」いるのです。そして日本という国は、他人に対して閉じていても、空気を読んでサービスを提供してくれる超親切社会です。黙っていても「良きに計らえ」。これが、ますます日本人のコミュニケーション能力を低下させているような気がいたしますのよ~。
多種多様な人種や価値観が混在している海外では、空気を読むなんてムリすぎる話。いかなる場合でも「私」を主張しなければ、自分の思いは決して伝わらないし、またそれを推し量って手を差し伸べてもらえることもありません。ですから海外で日本式のサービスを期待していると、そりゃあ文句の雨アラレ。いわく「レストランで隅の席に案内された」、いわく「ブティックであからさまに無視された」、いわく「ゲストに対してぶっきらぼう過ぎ!」等々。
笑顔で挨拶がコミュニケーションの第一歩
確かに、中には「マジでサービス業に従事している自覚があんのかコラ!」というタイプもおりましょう。でも、もう一度、ご自分の態度を顧みてくださいまし。笑顔もなく無言で店に入り、勝手に商品をチェックしていなかったでしょうか、「ハーイ」と声をかけられたのに、無視してはいなかったでしょうか。そして意に沿わない席に案内された時、「あちらはだめですか?」と交渉してみたでしょうか…。
笑顔で目を合わせて挨拶する。海外でのコミュニケーションはここから始まります。自分がどうしたいかを伝えるのは、それからです。能面のまま何も言わない人は「何を考えているのかわからない」から、不信感を持たれますし、それなりの構えた対応しかしてもらえません。そしてサービスの現場では、単にゲストとスタッフという立場の違いがあるだけで、そこに上下関係はありません。何かしてもらいたいなら、自分から笑顔でお願いする。それができれば、どんな場所でも過ごしやすくなりますし、トラブルなどの場合にも躊躇なくSOSを発信できるようになるはずでございます。
まずは日常生活から心を「開いて」いきましょう
まずは日常生活で、困っている人を見かけたら「お手伝いしましょうか?」と声をかけることからはじめてみませんか? 心が「開いて」いれば、これまで見えなかった、見ようとしなかった景色がきっと見えてくると思います。他人を助けることは自分を助けること。1人ひとりの小さな気づきが、いつしか社会を変えていくはずでございます。みなさま、マダムヨーコとともにオープンマインドライフを心がけましょう。ちなみに、日本人の「閉じた」気質については、鴻上尚史様の著作に素晴らしい示唆がございましてよ。ぜひご一読を。それではみなさま、また来月。Ciao!
先にご紹介したナランハ様、パリでは「ウーバーの便利さに感動しました」と、ミスターが「そうそう!」と喜びそうなご経験も。そして「周囲でもヨーロッパを行き先候補から外した人が何人もいましたが、私はどこにいても死ぬときは死ぬ! と言って取りやめることはしませんでした」「これからも危険な場所には出向かない等、安全には気を付けながら旅行を楽しみたいと思います」。マダムヨーコもまた「そうそう!」と、笑顔でうなずいておりますわよ~。
お久しぶりのスカーレット様は、メル友のお嬢様がオランダからご来日。しかしメールのやり取りがうまくいかず、国際電話もすれ違い。最終的に無事合流できたそうですが、「まさか今の時代に生きる現役大学生が、海外を旅行するのに日本で携帯電話を使えるようにしていなかったのは予想外でした」。きちきちスケジューリングする日本人に比べ、欧米の方はプランも気持ちもおおらかすぎですわよね! して、お嬢様の初来日コメントはいかに!?
シェリー様、山あり谷ありのドイツ旅のご報告楽しく拝読いたしました。心底「ひ~え~」と震えたのが、「ビュルツブルグのホテルを出るときうっかり、機内持ち込み鞄をホテルのロビーに置きっぱなしで、タクシーに乗って駅に向かっ」たという失敗談! すぐに気づき事無きを得られたと。よよよよかったです~。もうすぐに次の旅にご出発ですね。今度はどんな出来事が…(笑)。
そして、ご宿泊なさった旅館で残念な思いをなさったK様。一生懸命選んだ宿泊施設なのに「それはないわ~」という経験、わたくしも多々ございます。サイトの写真や情報盛り盛り、現実とのギャップに愕然…くやしいですわよねえ。時期や予約状況によっては、なんてことない安宿が目の飛び出るような金額になっていることもありますので、ノーマルシーズンの料金や他のお客様の評価なども事前にチェックされると、選択の手助けになるかと存じます。次の旅が素晴らしいものになりますように!
「There’s nothing to worry about.」
「心配しなくても大丈夫」という意味のフレーズです。飛行機の中や高いところ、勝手の分からない場所などで不安げな気持ちでいる人を見かけたら、ニッコリ笑ってこのひと言を。自分が言ってもらってもうれしい言葉は、他人にも積極的にかけてあげたいものです。
情けは人のためならず
あまりに普遍的ですが、常に心に刻んでおきたいことわざです。損得や見栄、体面とは無縁の心持ちは本当に美しいものです。