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旅とスマホについて考える
みなさま、「スマホが旅をつまらなくする!?」へのたくさんのお便り、本当にありがとうございました。驚くほどの反響の大きさに、みなさまのスマホに対する複雑な思いを垣間見たような気がいたしましたわ~。今回は、そんなみなさまからのさまざまなご意見やご提案を、できる限りご紹介いたします。あなたはスマホと、どうつきあっていますか?
「スマホってどうなのよ」が多数派
まずは、大多数を占めていた「マダムの意見に大賛成です」の声。「一緒にいる人がスマホをいじっているとつまらないですよね。便利なことは多いんでしょうけど旅の時は使わないで欲しいです」。Turner Tom様も、スマホによるコミュニケーション障害にしょんぼりしている派のひとり。「とくに気になるのは、料理を食べているとき。私の話を聞きながら相手がスマホをいじっていると、そんなに自分の話がつまらないものかと思いました」。
……うう、そうですわよねっ。「ふーん」「へえ」「そうなんだー」という、あのテキトーな返事のされ方ったら! それに、料理を自分一人で食べ進めてしまっていいのやら悩んだりして、な~ぜ~スマホをいじっていない方が気をつかわなければならないのかっ。これも小腹が立ちますわよねえ!
旅先でスマホにかじりつきっぱなしなのは、日本人だけではないようで、「いまや地球上の皆がスマホを片手に、トリップアドバイザーのシールを探しての旅をする時代になってしまったのですね」という見解も。空港で、地下鉄で、レストランにカフェにホテルのロビーで、ビジネスマンもカップルもファミリーも、み~んなスマホに夢中。
チェックイン時に携帯電話の番号記入を求められ、「ありません」と答えた時の相手の「マジか! 今どきスマホなしかよ!」という表情。もはや、持ってて当たり前なんでしょうねえ。はあ~、憎たらしい~。
スマホは便利な情報ツール
その一方で、みなさまが同じようにおっしゃっているのが「確かにスマホは便利だと思います」という、その有用性。マップやサイト検索などがすぐできるのはいざという時大助かりですし、わざわざネットカフェを探さなくてもメールやLINEで、遠く離れた日本とも即やりとり可能。情報収集ツールとして最強であることは、Noスマホ派のわたくしも同意いたしますわ。
ところが、中にはこんな弊害も。人子様からのご報告です。ご夫婦で姪御さん母娘と一緒にアメリカ西海岸ドライブ旅行をなさった時のこと。高校生の姪御さん娘は「到着後から帰国までスマホを手放せません。観光や外出を嫌がり、ゲームと一人歌とメール! あとは寝ているだけ」。姪御さん母も気にかけてはいるのですが、ご本人も日本とのメールのやりとりが気がかりで「車の後ろの座席でスマホに向き合っていました」。ううむ。
「私たち夫婦としては、もっと外を見て楽しんでほしい、初めての道路、ドライブ中大事な標識を見逃していないか、注意も払ってほしいと思っていました」。なのに「滞在中アメリカ国内との電話通話に関しては、知らないとか、できないとかで役立たず。なんの為のスマホなのか大いに疑問でした」。
そうなんです。スマホの欠点は、情報ツールを超えて「個人完結ツール」にもなってしまうこと。ひとり旅ならまだしも、同行者がいる場合には、そのバランスをどう取るかが問題なんですのよね。
先の人子様も「これはスマホだけが悪いのではなく、結局、他の人への思いやりの問題と思います。知らない道を、GPSだけを頼りに緊張しながら運転している、運転者以外の人のマナーの問題であり、感謝の問題でもあります」。マダムが常々申しております「思いやりと想像力」は、スマホ使用時にも言えることなのです。
使うなら時と場所を考えて
相手への気づかいを忘れると、眞澤様曰く「UPすると当然メッセージが返って来ます。それについてまた返信! きりがありません。時差の関係で就寝中に入ってきて、その音で目が覚めてしまい寝れなくなることも」というドイヒーな状態に。
「利用するのはかまいませんが、本当に時と場所を考えて欲しいです」。その通り! 同行者の入浴時や外出先でのトイレタイムなど、時間を上手に作るのも、想像力と思いやりのなせる技だとマダムも思いますわよ。
時と場所を考えたあげく、旅先には「ガラケーも持たずに出発」しちゃうのが、常連マブダチの楓様。「スマホがあれば、効率よく行動できそうだし、必要な場面も多々あると思いますが、私は海外に『非日常』を求めています。日頃大量に浴びている情報をシャットダウンしたくて、旅立ってる部分もあります」。わたくし全く同意見でございます。海外に行ってまで、メールにアタフタさせられたくない(たとえ仕事でも。鬼!)んですもの。
といいつつも「ちょっと『ビックベンなう』とかやってみたいけれど(笑)」って、楓様。正直すぎだ! でも「それじゃ、日本にいるときと変わらないじゃない~って、思ってしまうんですね。ちょっと不便な、非日常を楽しんだっていいじゃない?」。そうそう。みんな、ソンしたくないとか、失敗したくないとか気にしすぎ。いろいろな回り道をするのも、旅の醍醐味じゃありませんか、ねえ、楓様!
スマートデバイスに挑戦……する?
「今回ほど記事を読んで頷いた事は無いかも」というMari様。「確かにスマホは便利だと思います……いや、便利なんですよ! ただ……通話とメールしか使わない私には利用料が高過ぎるのです」。これもマダムは激しく同意。
「それにあの小さな画面でネットに繋ぐだなんて、あり得ないっ!」ぷぷぷ。わかるっ。指でウネウネ動かすあの煩わしさ! で、「ネットで検索等するならタブレットかな?」というMari様には、酔孤庵様からこんなアドバイスもいただいておりましてよ。
「SIMフリーのタブレットがおすすめです。これだと毎月の通信費は1000円で済みます。海外に行ったときは、空港でプリペイドSIMを購入すればOK。ちなみに私は、iPadミニを主に手帳と地図帳替わりに使っています。特に海外では地図+GPSで、道に迷う事もなく安心です」。
え~と、プリペイド携帯みたいな感じでタブレットを使えば、料金的にも安心……ってことでよろしいでしょうか、酔孤庵様あああ! すみませんわねえ、キカイ音痴で。
時代に乗っても流されない
今回いただいたお便りをアバウトにまとめてみると、Noスマホ派は妙齢のみなさまがほとんどかと。しかし、今後はますますスマホ興隆の世の中になっていくのでしょうから、いつかどこかでハラをくくらなければ……。ためらうマダムの背中を押すように、「旅行でロンドンの娘のところ孫を見に来て」いる竹中様から檄!
「ともかく今回の海外旅行でスマホの便利さを認識しました。60過ぎで時代に追いつこうとスマホを始めましたが、便利さに驚いています。マダムも時代に追いこされないようスマホにチャレンジしてください」。はい~。頑固マダムにならないように気をつけます……。
締めはちびのぱぱ様のこの一言。「何事もそうですが、新しいツールが社会になじむには少し時間がかかるのかもしれません。今のところどうも、無法状態ですね。ふと思いついたときに(スマホで)調べ物が出来たらいいなと思うことはあります。でも、旅先で困ったときは、人に聞きまくれば、そこに人とのつながりが生まれ、それこそが旅の思い出になることもありますよね。スマートフォンをスマートに使いこなせる人は、本当の大人なのかもしれません」。
みなさま、さまざまな角度からのご意見、本当にありがとうございました。今後も旅とスマホについては、みなさまとご一緒に考え続けていきたいと思います。特に同行者がいる場合の、スマートでエレガントな使い方についてはエブリタイム大歓迎でございます。マダムが「ついに買っちまったゼ!」と、告白するその日まで、スマホ先輩のみなさま、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。それでは、また来月。Ciao!
スマホに関するお便りがどどっと寄せられた一方で、常連トラヴェジェンヌのみなさまからも、楽しい旅のご報告が届いています。Noスマホ派の楓様は「ン十年ぶりのフランス旅行」に。以前のご経験から反フランス派だった楓様。「今回は日本からニースまで一気に行き、南から北上するという感じだったので前回よりたっぷり滞在したわけですが、パリ、そしてフランスはとーーーーーってもよかったです! 『ここはどこ?』くらいな激変っぷりにびっくりしつつ、とても楽しい旅でした」。ふっふっふ。転びましたわね楓様! 次回はぜひヴェルサイユへ! お待ちしておりましてよ(←誰?)。
国内・国外と楽しい旅の計画が続いている花の精様。お久しぶりです! 「マダムヨーコ様は、リゾート地は興味ありませんか?」って、んもう、マダムのエネルギーの半分はリゾートで醸成されていますのよ! ハワイにタヒチにフィジーにセブにサムイ島にズィルト島にと、メジャーからマイナーまで行きたくなったらどこまでも。もちろん超重量級の重りを巻いてのダイビングもドスコイざます~。デコルテラインから上は死守しつつ、手足のマダム焼きはリゾートのプールサイドの定番です。ああ、またハワイに行きたくなってきました~。
「Am I supposed to tip for XX?」
「XXにチップを払った方がいいですか?」という意味のフレーズ。都市やホテルのグレードによっては、チップを払うべきかどうかわからない時があります。そんな時はフロントスタッフに、こうこっそりと聞いてみるといいでしょう。「for XX」には「bell」等、対象となる係名を入れます。
心をつなぐ思いやりと想像力
どんなに便利な機械でも、心の機能だけは搭載されていません。思いやりと想像力は人間だけの特別オプションなのです。