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ピースサイン、そろそろ卒業しましょ!
みなさま、あけましておめでとうございます。2011年ですわねえ。お正月休みはいかがお過ごしでしたか? マダムは恒例であるカニとの戦いをお休みし、まったりのんびりくつろぎました。本当は暖かい国で豪遊といきたかったのですが、いつにもまして年末年始海外旅行が高額でしたもの?。しくしく。はああ、いつになったらお財布を気にせず飛行機に乗れる日が来るのでしょうか…。
海外留学生との会話でしみじみ
なーんて早々のグチはほどほどにして、さあ、今年も張り切ってまいりますわよ。みなさま、めげずにマダムにお付き合いくださいませね。先日、ひょんなことからアジアからの留学生とお話しする機会がありました。ひとりは韓国人の青年。青年というより男の子といったほうがいいような年齢で、ルックスはほとんどアイドル(心の中でキャーッ!)。奥ゆかしく優しく、礼儀正しい物腰。今時こんな子がっ!? と驚愕するほどの逸材でございました。もうひとりは台湾人の女の子。この子もねえ、かわいらしくてねえ・・・覚えたての敬語を一生懸命操る様子が初々しく、もういじらしいのなんの。
ふたりとの会話の中で、わたくしは何気なく「日本でいちばん大変なことは何ですか?」とたずねました。すると二人は即座に「食事がお腹いっぱい食べられなくてつらいです」。どこに食べに行っても量がびっくりするほど少ないし、おかわりも無料じゃない。そしてとっても高い。自炊をするにしても、物価が高くて思うように食材も買えない。「キムチと白いご飯でいいから、毎日好きなだけ食べたいです。でもウォンは安いですから、贅沢はできません」・・・ああ、育ち盛りの若者がお腹をすかせている! わたくし、すっかりお母ちゃんな気持ちになって「どうしようもなくなったら、いつでも連絡するのよ! ご飯くらいいくらでもごちそうするから!」と手を握りしめてしまいました。
「そこそこ」が消えていく・・・
日本で外食をして「たかーい!」と思うことはあるけれど、お腹がいっぱいにならないという悲しみを味わうなんて、マダムにはちょっとしたカルチャーショックでございました。もちろん歴史や文化的な背景が違ますから(胃袋の容量も)、どちらが正しくてどちらが間違っているということはありません。でも、そういう話を聞くと日本の食って、少しずつ「生」から「商」へシフトしているような気がするんですのよね?。素晴らしいけどバカ高い、もしくはその安さは絶対裏があるだろー、みたいな。そこそこでおいしかったものが次々に淘汰され、生活に密着した「熱」や「温」から、どんどん離れていく危機感を覚えるのでございます。日本はそのうち、高級レストランと均一料金or食べ放題のお店だけになっちゃうんじゃないかしら。とても不安でございます。
ピースは日本発の様式美?
もうひとつ、台湾からの留学生のお話を。彼女が夏休みで里帰りしたときに、ご両親に日本で撮った写真を見せたんですって。すると「なぜいつもピースサインをするのか。みっともないからやめなさい」と叱られたというのです。ああ、これ、マダムも思っておりました?! 近年の海外における日本人の見分け方。写真のポーズが必ずピースサイン。さすがに壮年の男性はなさいませんけれど、女性は老若問わず「ピース」の方が多いですわね。まあ、確かにピースサインは万能ですわよ。ほんの少しの動作で画面に動きと間を持たせることができるし、目元に持ってくれば顔が少し傾いて細面に、口元に持ってくればあごがシャープに、とセルフ演出が簡単にできてしまいますもの。
80年代頃からあっという間に広まったピースサインですけれど、その起源である平和を祈って、とか闘いに勝利する決意表明のためにこのポーズ、なんて方はほとんどいらっしゃらないと思います。それどころか「写真のポーズはピースサイン」は、世界中の戦争を知らない子供たちにも浸透している様子。台湾の彼女だって、ピースサインは日本に来るまでしたことがなかったそうですわよ。
自分のベストポーズを見つけましょう
いくら収まりのいいポーズとはいえ、マダムが「だめだ、こりゃ」と思ったのは、バリ島クタにある爆破テロの犠牲者ための追悼碑。この前で日本人の若者グループが「ピース!」ですわよ。見たときは目を疑いましたわ。記念撮影したいのはわかりますが、そこは「イェ?イ」ってポーズをする場所じゃないでしょお???!! それこそ「みっともないからやめなさい」でございます。まったく何も考えていません。カメラを向けられると反射的にピースの悲劇でございます。
そこで、トラヴェジェンヌのみなさまにご提案。そろそろピースサインを卒業しようではありませんか。レンズに向かってチョキになりたがる指をぐっと押さえ込み、自分なりのベストポーズで被写体になるのです。気分は女優。輝くような作り笑いや、どこで覚えたの的な魅惑のポージングを、ここぞとばかりに披露するのです。日本人だって1950年代のモノクロ写真では、本当に普通のサラリーマンが「マルベル堂ですかっ」とツッコみたくなるほどキメキメで写ってたりしますもの。わたくしたちにもカッコつけ遺伝子はきっと受け継がれているはず。照れてはいけません。その点では、「町はどこでも私のステージ」な中国の方々の記念撮影に大いに学ぶところがありそうです(マジすごいです。アツいです)。デジタルカメラという文明の利器もありますから、自宅でコッソリ研究してみるのもいいですわね。
実はマダムは撮影されるのが大の苦手で、旅の記念画像は風景ばかりということがほとんどなのです。でも、もし自分の決めポーズが見つかったら、もっと積極的に素敵な自分(自称)を残せるのではないかしら、なんて思いますわ。それに、何らかの理由(やばい方面)でメディアに写真が出ることになったとして、いいトシした「ピース!」だけは絶対避けたいですものー!←血の叫び。写真撮られ上手なみなさま、いいアイデアがありましたら、ぜひ教えてくださいませ。今年も小さなことから頑張ります。マダムヨーコを何とぞよろしくお願いいたします。では、また来月。Ciao!
年末に周囲の懸念を振り切ってソウルに行ってきたのは、お久しぶりの花の精様。「日本の緊迫感とは打って変わって、韓国は実に平穏でアクティブだった」そうです。宿泊はマダムも気になっているプラザホテル。確か改装してたいそうモダンになったはず。「サービスや部屋の機能は一流」ですが、「部屋の狭さはビジネスホテル並み」。そして「大きな鏡が所狭しと掛けてあって、居づらいったらありゃしない! 夜中にトイレに起きた時、ドアに映った自分の姿にビックリして、完全に目が覚めましたから(笑)」。あ、あはは。それは怖いですわ?。ところで花の精様は、話題の茨城空港から出発。「超こじんまりとした田舎の空港でしたねぇ。だから、何事もスムーズに進んでいきました」が、帰国時は「空港は霧。長く待たされてやっと搭乗したのですが、今度は離陸の順番待ち。そりゃーそうですよね。待たされてた飛行機全部が飛び立つんですから。結局、離陸したのは4時間遅れでした」とのこと。天気ばかりは飛行機のキャリアに関係ないですものねえ。でも、おひとりでめいっぱいソウル旅を楽しまれたご様子。こちらまで楽しくなってきましたわ!
夢はモンサンミシェル様からは、バンコクからの帰国で羽田空港を使ったというご報告をいただきました。「22時半到着のはずが離陸が遅れ、荷物が出てくるのがまた遅く、終電ギリギリで空港を出ました。深夜便で帰国する場合は注意した方がいいと思います」。ですわよね?。早く電車も終夜運行になって欲しいものですわ!
「Would you take my picture?」
「写真を撮ってください」とお願いするときのフレーズ。他の人も一緒の場合は「my」を「our」に変えます。シャッターの位置を示しながら「Just press this button.」(ここのボタンを押すだけです)と教えてあげるといいですね。どちらも簡単なフレーズですが、いざというときなかなか出てこないもの。この際、セットで覚えておきましょう。
反抗は想像の元
みんながやっているからこそ、あえてやらない。オリジナリティはそんなちょっとした反抗心から生まれてきます、という意味。