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旅先だからこそ磨いてほしい日常の立ち居振る舞い
飛行機が取れないとぶうぶう文句を言っていたくせに、「もう高くても結構よ!」と開き直って南イタリアに旅立ったところ、とたんにユーロがガタ落ち。思わぬところで世界的な不況の恩恵を受けてしまったマダムヨーコでございます。ミラノほどモードに血道をあげないナポリでも、ウインドウの中は今冬のトレンドカラーであるピンクとパープル一色。でも、若い娘さんたちは、ローライズデニムの上にたくましい腰肉を載せて、流行なんてどこ吹く風といったあんばい。たまにハイヒール&タイトなワンピースの地元マダムが通り過ぎると、周辺男性全員の視線が集中! ああ、なんてわかりやすい・・・。
ワイキキで劇的変化をとげていた日本人女子
さて、今回はちょっぴり小姑根性(姑じゃないところが弱気です)を発揮して、旅先で女性に気をつけてほしい、こんな仕草やあんな立ち居振る舞いのお話を。以前、久々にハワイに行ったご報告をしましたが、ワイキキはマダムにとって長年「そりゃないぜシニョーラ!」と天を仰ぎたくなる、ダメダメ日本婦女子の見本市でございました。空港を出たとたんしゃがんでタバコを吸う、高級ブティックにTシャツとビーサンで出動する、レストランや歩道の真ん中で集まって大声でしゃべる、ビーチリゾートなのにプールサイドで顔面真っ白白の暗黒舞踏状態、もしくはタオルぐるぐる巻きのツタンカーメン状態etc。
ところが2008年は、見るからにバツという言動をしている女性陣を、ほとんど見かけることがなかったのです。最も恥ずかしいと思っていた「しゃがんでタバコ」は、ほぼ消滅。ファッションも、若い方はもとよりいわゆるフルメタルジャケット(帽子、リュック、ポシェット、ウエストポーチ、スニーカー)が定番だったオバサマ方ですら、リゾート風のエレガントカジュアルが主流になっておりました。メイクだってややナチュラルです。すーばーらーしーいー!
旅のパートナーとしての女性の心得
そうなりますと、今度はさらにハードルをあげてチェックしたくなるのが小姑マダム。ああ、これさえなければパーフェクトなのに! とういわけで、エレガントなトラヴェジェンヌに、さらにハクと品格をプラスするための心得を伝授いたしますわね。
まずは大前提として、男性が旅のパートナーの場合には、現地における手続きの主導権は全面的にお任せすること。ホテルのチェックイン/アウト、ルームサービスリクエスト、各種予約や確認、レストランでのオーダー。これらは全て男性のお仕事です(前にもお話ししていますね。覚えておられます?)。また、レストランでワインをいただく際には、女性は絶対にお酌をしてはなりませぬ。たとえ相手が年配者や上司であっても、です。高級レストランならワインを注ぐのは給仕の、カジュアルなレストランでは男性の役割です。女性は微笑みと「サンキュー」で充分。あ、この時グラスを持ち上げないように気をつけてくださいませ。置いたままにしておくか、もし安定が気になるならグラスの脚に軽く手を添えると見栄えがよろしいです。
意外と見られています食事中の足もと
食事のときは、座り方にも意識を向けてくださいませね。欧米の椅子は日本女性には少し座高が高いもの。ついつい爪先に靴を引っかけてブラブラさせたり、足を組んだりしがちですが、これは小学生の女の子でも「お行儀が悪い」と怒られる仕草です。食事中は足を組まないこと(食後のコーヒーになったらOK です)。そしてちょっとエクササイズ入りますが、内ももにキュッと力を入れて膝をそろえ、背筋を伸ばして座りましょう。もちろんテーブルに肘はつかない。これが一番美しい姿勢です。誰もいないおうちで、どんな格好でくつろごうと自由ですが、せめて他人の目がある数時間くらいは気取って過ごしましょうよ。
朝食にバッグは不必要
食事といえば、ホテルの朝食。ブッフェ形式の場合、置き引きに遭わぬようバッグは椅子に置かないこと、という基本はみなさまかなり忠実に守っておられるようです。しかし、なぜ朝食にバッグが必要なのでしょうか? 食事の間に、お買い物や打ち合わせに行かれますの? マダムはルームキーと、食後に読みたい本くらいしか持っていきません。ティシュー代わりのナプキンはレストランにありますし、お化粧直しも部屋に戻ってすればいいこと。まず、食事をしてそのまま外出することはいたしません。必ず一度部屋に戻り、場合によっては着替えもしてから出かけます。
持参したキーは、そのままテーブルの上に置いちゃいます。もしくは持参した本や雑誌に挟むとか。他に荷物がないので、これが「私のテーブル」の目印になるわけです。優秀なウエイターなら、何もなくてもちゃんとコーヒーを運んでくれますけれど。どうしても不安、もしくは食事風景を撮影したいという人は最小限の必要品を小さなポーチに収納しては? おすすめはレスポのミニショルダー。軽くてかわいらしく、いろんな場面でかなり使えます。バゲッジの中に一つ入れておくと実に便利ですのよ。でも「手ぶらで朝食」はぜひ、一度おためしあれ。何も持たないってスッゴク快適ですから!
動作を「丁寧に」することを意識して
さあ、ますます重箱の隅をつつきまくりますわよ。テーブルに着くとき、ドアを開けるとき、乱暴に動いていませんか?重い椅子を引くときに大きな音を立てたり、引きっぱなしで離席したりしていませんか? トイレで後ろ手でバン! とドアを閉めたり、トイレットロールをガッコンガッコン音を立てて引き出していませんか? ドアの開閉は一度後ろを振り返り、後続の人がいないかどうか確認してから丁寧にする。トイレは女性だけの園であっても、やっぱりパブリックの場です。忘れずにエレガントなふるまいを心がけたいものですわね。
これらは別に海外に限らず、いつでもどんなときでも実践してほしい事柄ですが、緊張感が高まる海外旅行中は、ふだん無意識にしていることに、改めて意識を向けることができる格好のチャンスです。なによりも「気づく」ことが、エレガンスを磨くファーストステップであると、ヒギンス教授もおっしゃっておりましたしね(←マジ? そして誰?)。
高速イエスマンになるべから
最後は、あなたの魅力を活かしもし、殺すことにもなる「お愛想」の極意。ちがう! お勘定のことじゃありませんて。確かに、場合によっては「死」を招きかねませんが、ここでは文字通りの意味。急に外国語で話しかけられて「何が何やらワケわかんないよー!」な時に、しがちなのが曖昧な微笑みを浮かべて「イエス、イエス」とせわしなく相づちを打つこと。わかりますでしょ?。他人には優しくと諭されて生きてきたわたくしたち日本女性は、他人に話しかけられると反射的に笑顔になりがちです。マダムだって不意を突かれると、思わずイエスマン(PC的にはイエスウーマンかしら?)になっとりますもの。
でも、これは危険。相手が何を言っているのかわからないなら、絶対に笑わないほうが安全です。あくまでも口角を上げず、やや能面フェイスで対応。そして内容を理解できたらニッコリ笑って「イエス」か、毅然と「ノー」を。わからないなら「わからない」と言う。雰囲気に流されてはいけません。「え?なーに? わっかんなーい?」とか、かわいこぶるのもバツ。特に女性同士でいるときほど気がゆるみがちですので、重々お気を付け遊ばして!
クリスマスまであと1カ月。ヨーロッパの本場を見に行く方、そのまま年を越される方、日本で楽しいイベントが待っている方、そして楽しいイベントも地味なイベントもない方も、こっそりオンナを磨いていれば、あなたの輝きはきっとクリスマスのイルミネーションに負けないことですわよ! どうぞ、よき日々をお過ごしください。では、また来月。Ciao!
みなさま、いつも力のこもったお便りありがとうございます。笑いあり、怒りあり、微笑みありの素適なエピソードばかりで、本当にマダム一人で読むのはもったいないくらい。tomomo様、お久しぶりでございます。tomomo様も値切り交渉が苦手のご様子。「ボラれ続けるのは腹立たしいので、多少の交渉は必要だとは思いますが、日本に帰れば数千円、数万円をポイっと払うのです。気持ちよくお金を支払って、ありがとー、と言ってもらえるほうが楽しいですよね」。そーなんですのよ。「ただ、タクシー代がボラれるのだけは腹立たしい!」これにも大爆笑&共感でございましてよ。マダムの場合はナポリのタクシーが天敵です。夏をサルディーニャ島で過ごされたというtomomo様。素朴で味わい深い料理は最高ですわよね?。
現在「時として交渉が必要な国に在住中で、さらに運の悪い事に交渉が大の苦手」という晶子様からは、値切り交渉に臨む際は「1個人的な物価の基準を設定しておき、2言い値が高かったらあっさり引き下がる」という心構えで比較的気楽にがんばれたのだそう。その「あっさり引き下がる」が、なかなかねぇ・・・。でもマダムも次回は、晶子様方式で挑んでみますわね。さてさてtomomo様、タント様、星野様から寄せられた「旅先のちょっとイイ話」は、来月にメインでご紹介したいと思います。どうぞお楽しみに!
「What´s the hell are you talking about?」
ちょっと長めですが、いざというときのために女性にぜひ覚えておいてほしいフレーズです。意味は「何言っちゃってんの?」。転じて「どういうつもり?」くらいの、相手の言動にあきれている心情をあらわします。しつこく、くどいナンパにうんざりしている時や、相手がこちらの事情を無視して勝手に事を進めようとしている時に、怒りをにじませながら言うのがポイントです。
「楽」だけから学べることは少ない
自然体というと聞こえがいいですが、楽な方へ楽な方へと流されてすぎて自己を律する強さを忘れてしまわないように、という意味。