46
海外ドライブ小技裏技
今年は昨年にも増して多忙な毎日で、日本でじっくり腰を落ち着ける時間がほとんどありません。しかもあちこちで不穏な動きがあったり、はたまたギリギリまでフライトが取れなかったりと、精神的なストレスもかなりのもの。このコラムも代打指名でマダムに何回もピンチを救ってもらっておりますが、なんだか高くつきそうで大変不安です(笑)。たまには仕事を忘れてのんびりと、いわゆる「海外旅行」を楽しみたいものですなあ。
海外レンタカーでカーナビはマストか?
さて、「おいしい旅」の読者から寄せられるお便りで、「海外でのレンタカーやドライブのコツを教えて」という希望が少なくありません。団体旅行から個人旅行へ、メジャー都市からディープエリアへ、より自由度の高い旅を求めるハイパートラベラーにとって、車は頼もしくまた有能なパートナーですよね。これまでにも、魅力的なデスティネーションとともに海外ドライブについてあれこれお話してきましたが、今回はより思い通りに海外を走るためのワザをご紹介いたしましょう。
かつては地図が唯一の頼りだった海外ドライブですが、今日では海外でもカーナビが装備されているレンタカーが増えてきました。国によっては盗難防止のため、駐停車の際は持ち出さなければならないところもあるようですが、その面倒を差し引いても、カーナビの恩恵は絶大・・・ですが反面、カーナビには思ってもみなかった落とし穴もあるのです。
カーナビは人間をダメにする!?
まず、海外のカーナビは当然のごとく英語もしくは現地語表示であるということ。慣れない言語では固有名詞を認識するのもひと苦労。走りながら画面を見ただけではチンプンカンプン。結局は日本語で書かれた地図と照らし合わせて・・なんていう「翻訳」の手間がかかってしまうんですね。まあ、それでも自分で理解しようとするだけマシかもしれません。
カーナビ最大の欠点は、ドライバーが頭を使わなくなることなんですナ。特に初めて走る道。カーナビに頼り切ってしまうので、自分の目で周りを観察し記憶する、という回路がほとんど働かない。ゆえに高性能で超便利なガイドに言われるまま運転することに。いやいや、それでもいいんです。何も問題がなければ。でもやはり、五感を働かせて旅するべき・・ん?、でも、だから目的地が遠くなるってこともあるかな!?
方向を失ったらカーナビも役立たず
私の経験をお話しましょう。ロサンゼルスでのことです。ダウンタウンからビバリーヒルズに向かう際、延々と山の中(my風景観)を走ったことがあるのです。周辺は住宅街。道は狭いしランドマークもない。こうなると、もうカーナビなんて役に立たないんですなあ。なにせ自分がどこに向かっているかわからないんですから。
最終的にはカンを働かせてなんとか切り抜けましたが、どこを走っているのか皆目想像できない。こういう道は海外ドライブ初心者なら途方に暮れるに違いありません。夕暮れ時などはかなりの恐怖ですよ。もしくは、突然カーナビが利かなくなってしまう。万が一かもしれません、ほぼあり得ない事態かもしれません。でも、可能性がないわけではありせん。いざという時になってハタと周囲を見渡したところで、さあ、どうします? きっとボー然とするだけでしょう。
吸盤付きボールコンパスをドライブのお供に
カーナビを便利に使いつつ、五感、方向感覚(という嗅覚)を鍛える。これが海外ドライブの腕を磨く重要な方法。そこで登場するとっておきのアイテムが、吸盤付きボールコンパス(方位磁石)です。手のひらに収まるコンパクトサイズで、球状のコンパス内部はオイル入り。360度スムーズに動くので、自分がどこを向いているのかすぐわかります。吸盤付きなので、フロントガラスなど、自分の見やすい所にくっつけておける優れモノ。車体の揺れにも影響されません。私はかれこれ20年以上使っていますが、車の移動はこれと地図があれば十分。海外に行くときも必ずスーツケースの中に入れていきます。値段も手頃ですよ。
携帯用コンパスは、車を運転しない場合にも有効です。とりわけ地図が上手に読めない人(ま、ハッキリ言えば方向音痴)にはおすすめ。地下鉄から地上に出たり、入り組んだ路地で幾度か曲がったり・・・人はたやすく道を失うもの(笑)。そういう時にカンだけで進み、ますますコンフューズ! なんて身に覚えがありませんか? もしコンパスを持っていれば、地図をぐるぐる回さなくても、自分が向かうべき方向は一目瞭然。交差点でその都度確認すれば、必ずや目的地にたどり着けるはずです。腕時計にアタッチできるタイプもありますから、迷子になりやすい人はぜひ一度使ってみてください。
オフシーズンにレンタカーをするなら・・・
続いては、ちょっと高度なレンタカーの利用法です。アメリカの国立公園巡りなど、広範囲を移動するような旅では、車を乗り捨てにしなければならない場合がありますよね。場所により、ネックになるのが乗り捨てチャージ。これが意外と割高なんですな。そこで、もし外国語による交渉力と時間に余裕があるのなら、予約を入れておいたレンタカーショップに出向いた際にルート表を提示し、移動内容やおおよその距離、乗り捨て希望地を申告。その上で見積もりを出してもらうのです。すると車が余っている時やオフシーズンなどには、驚くほどディスカウントしてくれることがあるのですよ。さらに余裕がある人は、いくつかのショップを回ってそれぞれ見積もりを出してもらい、その中からベストのものをチョイスするのもいいでしょう。時間はかかるかもしれませんが、ひょっとすると予約時の半額以下になる可能性もあります。ただし、予約が混み合う時期には期待できませんのであしからず!
大手かローカルか
先のような裏技はチェーン展開している大手ショップより、個人経営の小さな店の方が有効なケースもあります。しかし安さだけにこだわってはいけません。小さなショップは必然的に車種が限られることになりますし、予約していても希望車種が予定通りに戻ってこなかったというトラブルも。これで予定が大幅に狂うこともあるので、慣れないうちはやはり安心・安全な大手チェーンショップを利用した方が無難です。
海外でのドライブは、気軽なようでいて最初の一歩を踏み出すのにちょっと勇気がいるものです。このコラムでは、引き続き覚えておいてソンはない海外レンタカーとドライブのハウツーを紹介していきます。「こんなことに困った」「こんな時にどうしたらいいの」等の疑問・お悩みがありましたら、どうぞお気軽にお便りください。さてさて、もうすぐ夏休み。今年も楽しい旅の思い出ができますように!
レンタカーで5★ホテルに泊まるなら
海外でレンタカーする際は、安くて燃費のいい車を選びたいのがホンネです。それがモーテルやエコノミークラスのホテルを利用しながらの節約旅なら、問題はありません。気軽に運転できる車種がイチバンですからね。しかし、です。もしラグジュアリーホテルに滞在するとしたら、その選択は大いに疑問ありですゾ!
格式の高いホテルは服装やスーツケースでゲストを「見る」と以前お話ししたように、車もまた、ホテルがゲストを見極めるための重要な材料になってしまうのです。ですからヴァレーサービスやポーター、ドアマンが待機しているような5★以上のホテルを利用するなら、ショボい車は禁物。そのホテルにふさわしいゲストとしてもてなされ、十二分なサービスを受けるためには、やや値が張るにしても、それなりの車をレンタルしたいものです。日本人は、こういう実用面でケチりがちな傾向がありますが、いいホテルに泊まるなら、トータルで贅沢を楽しむ。そして高級ホテルは「客を選ぶ」ことをお忘れなく。非日常のひととき、とことん味わいつくさないと、それこそソンですよ!