アメリカン・エキスプレス
マダムヨーコの辛口旅サロン「目指せエレガント・トラベラー」
Vol.
86

ロストバゲージでございます!

マダムヨーコの辛口旅サロン ロストバゲージでございます!

みなさま、どうやら今年の年末年始は最大9連休になるそうで、すでに海外旅行予約者数は昨年を大幅に上回っている様子。いいですわねえ~、海外で謹賀新年。マダムの夢はウィーンフィルのニューイヤーコンサートに着物で出かけ、カメラでデカデカと映し出されること! もちろんホテルはインペリアルでございます……って、いったい、いつ叶うのでしょうかねえ。ホホホッ。

行き先は初のシチリア島&ローマ

イタリアは大好きだけど、いまいち南部の魅力を実感できず、ついつい北イタリアばかり攻めてしまうマダムでしたが、今年はついにやりました。南イタリア大好きの中目黒マダムファミリーのお誘いに乗っかって、シチリア侵攻でございます。

ついでに、これまた初となるローマにも遠征。うう、本当はローマには、懐もお財布も大きなダーリンと行きたかったのですが……もうあきらめましたっ。ひとりで気ままに楽しんでまいりますわ!

というわけで、最初の難関はフライトルートの設定。滞在はパレルモ、タオルミーナ(ここで中目黒マダムと合流)、ローマの3都市。単純往復では効率が悪いので周遊タイプにし、往路は羽田?パリーミラノーパレルモ、復路はローマーアムステルダムー成田という、ちょっと面白い乗り継ぎになりました。

パレルモからタオルミーナはカターニャ経由のバス移動、そしてローマへはカターニャからLCCを別手配。早めに購入したので50ユーロちょいと、大変お得なのでございました。

動揺したまま機上の人に

最初のフライトは00:40発の深夜便。日付を間違えないよう重々自戒していたのですが、やはり、やはーり、やっちまいました! 「さあ、明日夜の出発までに何しようかな」と考え中、ふと疑念が頭をよぎりeチケットを見直したら……ぎゃー!! 明日じゃないって! 今日の22時には空港に行かなきゃいけないんだって! 

その時点で18時。大慌てでパッキングを終了し、業務連絡をしまくったあげくドタバタで出発! ううう、気持ちが全く「旅」になっていない……ううう。

ドキドキが収まらないままカウンターに行くと、地上スタッフが「リナーテからの分は未発券なので、再チェックインとなります。荷物は最終目的地までスルー可能ですが、どうしますか?」。そりゃあ万が一のことを考えると、一度ピックアップした方が確実ですわよねえ。「では、リナーテまでで」。ああ、これが面倒のはじまりだったのです。

「ウィ、マダ~ム」って言われたけれど……

お次は、シャルル・ド・ゴールでの乗り継ぎです。と、搭乗時に脇に呼ばれ、イケメンのスタッフが手渡してきたのは、リナーテーパレルモの搭乗券。「ご用意できていますよ、マダム」「では荷物もダイレクトでファイナルまで行くのですか?」。わたくしの問いかけに、彼は輝くような笑顔で言いました「ウィ、マダム」と。ええ、マジでそう言ったんですのよ!

とはいうものの、やっぱり心配だったわたくしはリナーテでの待ち時間にバゲージクレームへ。自分の荷物が回ってないか確かめに行きましたの。う~む、見覚えのあるスーツケースはない模様。大丈夫、なんでしょうね。なのに、なに、この胸騒ぎは!? どうして彼が信用できないの、マダム! そんなに心配なら、案内所で確認してみればいいじゃないの。そう、そうすればよかったのです、本当に!

空港でボーゼンホテルでボーゼン

午後3時半。すべての荷物が引き揚げられたパレルモ空港のバゲージクレームに、マダムはひとりポツンとたたずんでおりました。「ああ、やっぱりなかった……」。いっそ、すがすがしいほどの心持ちです。覚悟を決めて案内所に行くと、ここにもまたイケメンのスタッフが。アタマの中が真っ白なので適当な単語が出てこず、とつとつと訴えわたくしに、タグを見たお兄さんは「これはリナーテまでですね」。

わかってる。わかってる! けど、パリでは大丈夫だって言われたの! 「でも、タグがリナーテに」。ああ、もう、これ以上の陳情はイタリア語ではムリ! 「あの~英語に変えていいですか」。ひ、ひくつ~。

ところが今度はお兄さんの英語がメタメタなんですのよ。そしてわたくし自身、これは水掛け論になるなと悟ったため、「そう言われた」「知らない」の不毛な議論はやめ、どうしたらいいかに的を絞ることにしました。結局、私がリナーテでピックアップし損ねたことになっちゃったんですが、もう、それでいいざます~。シクシク。

今日中になんて来やしない!

「たぶん今日中に来ると思うよ。携帯に連絡するから取りに来て」。その言葉を心の支えに、ボーゼンとしたままシャトルバスに乗り、約30分でホテルに到着。手ぶらで来館したマダムは相当いぶかしかったらしく、「こちらにお住まいで?」と探りを入れられるわ、「ロストバゲージで……」と聞いて一堂大爆笑になるわ(なぜ!?)、エレガントにはほど遠いチェックインでございました。

運ぶ荷物のないポーターに部屋に案内された後、わたくしは緊張の糸が途切れたのか、ついウトウト。ハッと気がつくともう8時です。連絡なんて来やしません。慌ててサポートセンターに電話をすると、あっさり「明日午前中ですね。時間はわかりません。また連絡します」。

あきらめました。今夜はふて寝です。仕方なくソープで顔を洗い、ボディローションで応急処置。モンロースタイルでシーツにくるまり、心許ない一夜を過ごしたのでございました。

「ユー・アー・ラッキー」って!?

翌日、着た切りスズメ&テキトー化粧でうつむきがちに朝食を終えると、わたくしは空港に向かいました。だってスーツケースがなくてはラチがあかないし、街をぶらついていても楽しくないんですもの。そして再び案内所へ。今度は女性スタッフの対応です。「え、午前中?」「はい、昨夜の担当者がそう言いました」「携帯に連絡は?」「来てません。でも何もできないから、ここで待っています」。

どうやら午前中というのもあやふやで、いつ何の便で来るかは不明のままのようです。こういう時は、日本の対応がいかにきめ細かかということを、つくづく実感しますわね。

港内をうろついたりして1時間ほど経った頃でしょうか、バゲージクレームに戻って本を読んでいたわたくしのところに、先のスタッフが駆け寄ってきました。「マダム、あなたってとってもラッキーだわ。荷物が12時半の便で届くわよ!」「あら~、それはグラッツィエミーレ!」。

なーんて手を取り合って喜んじゃったけど、おいおい、これって「ラッキー」でいいのか!? じゃなにかい、ラッキーじゃなければ今日も待ちぼうけになる可能性もあったと? 後で考えたらゾッとしましたわ。

話を聞いたミスターも苦笑い

こうして、ひたすら長かった24時間の後、目の前に愛しいスーツケースが現れた時は、マジで涙ぐみそうになりましたわよ。ああ、よかった、本当によかった! そういえば中目黒マダムもかつてマドリード到着時にスーツケースが出てこず、ひどい思いをしたと聞いたことがあったと怒ってましたっけ。今回はだから、まだマシな方だったのでしょう。

後日、ミスターに報告したところ、シャルル・ド・ゴールとヒースロー乗り継ぎは特に要注意なのだそうです。「私は極力、ピックアップ&再チェックインするようにしてるよ」とのこと。さすがですわねえ。

そして、マダムのロストバゲージ初体験で最も心に残ったのは、コミュニケーションの難しさでございます。日本語の通じない場所で、言いたいことを十分に伝えられないストレスよ……。英語圏でない場合はなおさらですわね。自分で気をつけても、どうにもならないのがロストバゲージのつらいところ。どうかみなさまのスーツケースが、常に無事に到着しますように。それでは、また来月。Ciao!

聞かせて、あなたの声を

悩める旅先のスマホ扱いについて、五十嵐正弘様から「通信テクノロジーの過渡期なのでしょう」とのお言葉をいただきました。アフガニスタンには「あなた方(外国人をさす)には時計がある。我われには時間がある」という古い格言があるのだそう。

「この時計をスマホ(コミニュケーションのための道具)におきかえれば、ぴったりあてはまります。テクノロジーの進歩は人に腕時計を与えました。腕時計を旅先に持たないでいく人はいない。もし、いたとしたら、旅の達人といえるでしょう」。そう、スマホも携帯電話のように、いつしか持っていて当たり前の道具になるのでしょうね……。

と言いつつも、「スマホに関しては、もう200パーセントマダムのご意見に賛成です」というのは、原始人様。「私も海外旅行は『非日常』を求めて行きますから、余計なものは極力捨てていきます。できれば荷物も持たず、限りなく水戸黄門のような身軽な旅がいいですね。

そして精神的にも身軽に、日常の諸々をすべて日本において飛び立つのが海外旅行の醍醐味だと思います」。う~ん、 これぞ旅の達人の極意、ですわね! ところで原始人様、初マルタに初ドバイはいかがでしたでしょうか。ぜひご報告を~。

そしてお久しぶりでございますH.Y様。ライフワークのラスベガス旅行で体調を崩され、ご帰国後に22日間も入院なさったと!? 「究極の三途リバーからの見学ツアーからこの世に帰ってきました」なんておっしゃってますが、ご快癒ほんとうにようございましたわ~。退院祝いにポール・マッカートニーのコンサートに行かれたというのも素晴らしいっ。これからもドキドキワクワク(いい意味で、ですわよ!)エピソードをお聞かせくださいね。いつも心待ちにしております。

使えるワンポイント英会話

「Where can I pick up my baggage?」

「自分の荷物はどこで受け取ればいいのですか?」という意味のフレーズ。乗り継ぎで最終目的地に行く場合は、ロストバゲージに要注意。チェックインの際に必ずその点を確認し、照合用のタグの記載が間違っていないかどうかも調べておきましょう。

他にも、あらゆるシーンで役立つ英会話がそろってます!

マダムイラスト
マダムイラスト

それでも、とにかく、コミュニケーション

黙っていては何事も始まりません。いいことも悪いことも、自分から相手と関わろうとすることで道は拓けていくはずです。

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