アメリカン・エキスプレス
ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
58

私が3★ホテルをすすめるワケ

ミスターMのおいしい旅の話 私が3★ホテルをすすめるワケ

このコラムでは手を替え品を替え、日本人の「当たり前」と海外ホテルにおける常識の違いを取り上げておりますが、とりわけサービスに関しては、問題は実に根が深くまたやっかいなのであります。いちばん効果的なのはみなさんそれぞれが現場で体験し、日本の常識は通じないのだと実感しながら学んでもらうこと。というわけで「海外のホテルでやってみよう!」、今回はその第2回目。海外ホテルにおけるサービスのスタンダードを知る方法です。

海外ホテルのサービスについておさらい

日本人が海外ホテルに滞在して、サービスに不満を抱いてしまう一番の原因が、サービス提供のシステムの違い、つまり海外では仕事は契約に従い、サービスが分業化されていることを理解していないからだと思います。ファミリービジネスのホテル以外では、ドアマン、ベルボーイ、レセプション、コンシェルジュ、ハウスキーパー、バトラー等々、サービススタッフはいずれも決められた業務に専念し、それ以外を行うことは雇用契約に入っていません。ですから日本旅館で担当の仲居さんに付ききりで世話を焼いてもらい、ホテルで通りがかりのスタッフに何かお願いして快く応じてもらえることに慣れていると、リクエストによって対応する人が異なり、その度にチップが発生する場合もある海外ホテルのサービスは何ともわずらわしく、「おもてなし」の本質から外れているように感じてしまうのです。

また海外ホテルにおけるサービスの分業化やチップ制度は、そのグレードがアップすればするほど徹底していくもの。しかも高級ホテルはそのことが社会通念として当然というクラスの人々が集まる場所ですから、知らないからといって手取り足取り教えてくれることもありません。そんな暗黙のルールを知らずにやってきた日本人は、高級ホテルなのに「不親切」で「冷たい」サービスに苛立ち、失望し、最終的には「もう二度と来ません!」となるわけです。

サービスの境目は3と4の間

喫茶店(年代が偲ばれる呼び方ですなあ)で座れば、お水とおしぼりがさっと出てくる日本。さらに「★がつくの?」な(笑)カプセルホテルでさえ、「いらしゃいませ」と笑顔の出迎えがあり、かゆいところに手が届くサービスをポリシーにしていたりする日本。しかし海外では、サービスは気持ちではなくあくまでもビジネスの一部。ですから支払われる金額によって当然異なるもの。ホテルもまたしかりなのです。その差をハード(環境)とソフト(ホスピタリティ)で見てみましょう。

2★以下:コンセプトはシンプル、求めるのは安さのみ。雨漏りしない天井と穴のあいていない壁があれば文句言えないほどの価格の、いわば木賃宿。小ぎれいな部屋ならOK、ベッドシーツが清潔だったらラッキーくらいの期待度。

3★:インテリア、アメニティ、サービスのスタンダード。一言で言えば「可もなく不可もなく」レベル。清潔なベッド、使えるバスルーム。ノーブランドの最低限のアメニティと清潔なタオルがあれば納得。

4★:バスルームやベッドなどの快適ハードに、こだわりがうかがえるアメニティ。ちょっと上質なタオルセットでアップグレード感を演出。ベーシックなマニュアルに沿った安心感のあるサービスが提供されている。

5★:極上の環境と空間、確立したサービスマニュアルによるクオリティ・オブ・サービスにホスピタリティがプラス。

シビアな目を持つバックパッカー

いかがです。サービスの線引きが明確になるのが、3★と4★だということがおわかりいただけましたかな。つまり、3★以下ではサービスはないものと思っていた方が無難なのです。このことを最もよく理解しているのはどういう人たちかというと、実は上級バックパッカーなんですねえ。彼/彼女らは限られた予算の中で少しでも安く快適な宿に泊まるべく非常にシビアな選択眼を持っており、安いからなくて当たり前・できなくて当たり前と考えていますし、所持品の自己管理からはじまる安全・安心面まで見極める進んだノウハウを有しています。そんな安宿を知りつくし、快適に過ごすためには自らが努力するしかないと身に染みている人たちが高級ホテルに泊まってごらんなさい。私にも覚えがありますが、そりゃあ何もかもが感謝と感動の嵐なのですよ(笑)。

反対に海外で利用するのは高級クラスのみ、というスタイルの旅行者はホテルの名前やグレードを信じて無警戒に泊まってしまい、結果として「何だこれは!」と、こちらは文句の嵐になってしまうケースが多いようです。要するに経験領域が小さく狭いわけですな。高いお金を払っている=快適、ではないのです(これも何回も書いていますね)。高級ホテルでは、ゲストもまたホテルが提供するサービスに見合った身なり、振る舞いという「常識」を求められているわけで、それがわからないまま、できないまま、金を払えば客とばかりに文句を言うのは恥ずかしいことなのだとご理解くだされ。

サービスを知るなら個性的な3★ホテルで

もしあなたが高級ホテル派だとしたら、一度安宿に泊まってみてください。そこにある「現実」は、きっとあなたのホテル観を大きく替えることでしょう。まあ、そこまでしなくとも、私は3★ホテルで腕を磨くことをおすすめしたいですね。先ほど「3★以下にサービスはない」と書きましたが、それだけにこのクラスは玉石混淆。素晴らしいロケーション、心温まるスタッフ、そのためにリピートしてもいいと思うほどの朝食など、キラリと光る「何か」を持つ個性的なホテルが実はたくさんあるのです。そして、3★というまさしく中間点の「サービス」を体感してみる。その積み重ねが、あなたを柔軟で知的なハイパートラベラーへと育ててくれるのではないでしょうか。

たまにはホテル選びで冒険を

かつて、ホテル選びは「テイク・ア・チャンス」「当たるも八卦、当たらぬも八卦」。さて、どんな目が出るか・・・部屋のドアを開ける瞬間の緊張感! いやあ、楽しかったですなぁ。情報といえばクラスに関わらず美辞麗句オンパレードのブローシャのみ。カメラとカメラマンの技術が光る(笑)美しすぎる写真を信じて出向いたら、その実態にガビーンなんてこともよくありましたっけ。今ではサイトあり、クチコミありと情報には事欠きません。進む可視化ゆえ、イメージによる操作は難しくなり、おかげで最近の3★以下それはそれは進化しておりますゾ! こんな時代です、事前に十分検討して、たまには思い切って冒険してみませんか? あ、それじゃあ「冒険」じゃないですかねえ(笑)。

花鳥風月

花鳥風月

マダムヨーコから「読者からのお便りでミスターのアドバイスをいただきたいのです!」とSOSがありました。ぷりんママさんからの相談で、バリの高級リゾートに宿泊した際、夜に隣室だという女性から電話があり「静かにしてくれ」と言われた。身に覚えはないが英語では反論できず、らちがあかないので「ソーリー」と返答。納得がいかずホテルの日本語サービスに連絡し、経過調査をお願いしたが回答はなかった。こういうときはどうすればいいかとのこと。

うーん。マダムが悩んだ気持ちわかります。日本人スタッフのいる高級ホテルで、間が悪かったとしか思えないトラブル。ハッキリ言ってこういう場合はお手上げなんですよ。もし同じようなことが起きた場合、どう対処するのがベストかというと、まず自分で解決しようとしないこと。すぐホテル側に相談しましょう。その点ではぷりんママさんの対応は正解です。でも「ソーリー」と言ってしまったのは失敗でしたね。理解できてないうちは「ソーリー」「イエス」など相手に言質を取られることを言わないこと。あくまでも「わからない」または同じ「ソーリー」を言うなら「I’m sorry I don’t understand English.」と対応したほうがいいのです。そして問題が複雑な場合、「日本語を話せるスタッフ」ではなく「日本人スタッフ」を指名すること。これは海外ホテルで働く日本人の仕事ですから遠慮は不要。いずれにしろ、現地でのトラブルはその場で解決することが大切です。そして最低限の英会話ができた方がやはり身を助けます。ぷりんままさんも次回の旅行に備えて「聞き取る旅行英会話」を毎日聞いているのだとか。そうそう、その意気ですゾ!

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