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ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
125

対談:高級ホテルを「楽しむ」旅とは? ~その2

ミスターMのおいしい旅の話 対談:高級ホテルを「楽しむ」旅とは? ~その2

前回の対談について、仙台の近藤様より「高級ホテルを選ぶかどうか、旅行に対するその方のコンセプト次第と、私も思うところです」とのお便りをいただきました。近藤様、マダムのコラム同様「おいしい話」もご愛読いただき、ありがとうございます。今回は高級ホテルとそれらが体現するスタイルやこだわり、そして日本人のホテル観などについて、引き続きマダムとの考察を続けてまいります。

日本人が海外ホテルを重視しないワケ

ミスター 海外のホテルは異文化なだけで、そのあり方や流れは、基本的には日本旅館がさまざまな形でしている差別化と同じ。日本人はそうした「こだわり」に鍛えられているので、海外ホテルでの楽しみ方のキモも、そこにあるのではないか…というのが、前回の大まかなまとめだね。

マダム ところが、国内旅行ではこれほどこだわるのに、なぜ海外旅行というと「ホテルは眠れればいいや」と言う人が増えちゃうんでしょう。

ミスター 海外に行くということは、別世界に行くということ。風景、観光、食事、オペラだ美術館だ野球だと、もうありとあらゆる楽しみがホテルの外にあるから、滞在の重点は「外出」。予算や支出のバランスもそちらが大きくなるわけで、そこから「ホテル」は抜け落ちちゃう。そういう人が多いんじゃないかな。

マダム 海外旅行には、それだけ魅力がたくさんあるってことですものね。

ミスター もう1つの決定的な理由は、泊数の違い。国内は基本1~2泊。海外だと最低3泊以上。遠くになればなるほど増えていく。ヨーロッパがそうだね。トータルで1週間はかかる。すると費用もかかるよね。

マダム で、他にやりたいことがたくさんあるとなると、必然的にホテル代が削られてしまう、と。

ミスター なにせ予算があるからね。もし制限無しで自由に使っていいとなったら、ホテル代にたくさんお金を使う人も増えるだろうね。

マダム ということは、ホテルに興味がないわけじゃないんですのね。

ミスター 興味がないわけじゃない。ただバカンスのもろもろの選択肢の中でホテルのプライオリティがちょっと、だけど決定的に低いだけ。仕事中心のビジネスマンはホテルでミーティングや会食、アフターワークはホテルの部屋でゆっくり休みたい人が多い。だからそこそこのホテルでないと必要な快適度を満たさない。またリゾートステイの場合には、シティホテルのプライオリティとはまた違って、部屋でブレックファスト楽しんだり、どこにも出かけないでのんびりまったり時間を過ごしたい人も多いだろう。

マダム 旅行の頻度や経験にもよりますよね。回数を重ねるうちに、ホテルの存在感や重要度が大きくなってきますものね。

デスティネーションホテルの存在

ミスター ミシュランがすごいのは、その食事をするために、わざわざ旅に出るという動機付けをしたこと。ホテルも同じで、あのホテルに泊まりたいから旅に出るとまではいかなくとも、この快適度レベルは譲れないというレベルにまでいかないと、ホテルそのものに目が向かないし、滞在することへの価値も生まれない。

マダム では、日本人にとって海外の高級ホテルとは、どのような位置づけなのでしょうか。特にヨーロッパには、いわゆる名門ホテルがたくさんありますが、それがそのようなデスティネーションホテルになることはないのでしょうか。

ミスター ヨーロッパは伝統の裏打ちがあるから敷居が高いんだよね。社交界のべニューだから目に見えないマナーもあるし。常識としてそのノウハウが備わっていない人にとっては窮屈なだけなんだ。だからこそ、お金と時間をかけて学ぼうとチャレンジする人たちもいるけれど…。

マダム 残念ながら、ごくごく一般的な海外旅行で、そこに価値を見いだしてお金をかけようという日本人はあまり多くない。

ミスター ヨーロッパの人はなぜそれができるのかと言えば、貴族社会の伝統が生活の中にあり、土地がくっついている環境で育っているから。車でちょっと走ればそこは異国の別世界だし。そういう経験を子どもの頃から繰り返してきている。自然に異文化に対する親しみや好奇心、興味が教育されてレベルアップしていくんだと思う。それが平和で安全な島国である日本のディスアドバンテージなんだよね。

マダム だからこそ憧れも強くなるわけで、利用はするけれど、タイトな旅程で眠るだけの滞在になるか、団体ツアーで日本的価値観のまま過ごすか…。ホテルそのものの魅力を体感する機会は、なかなかないのですね。

ミスターの高級ホテル開眼ヒストリー

マダム ところでミスターの高級ホテルとの出合いは? かつてバックパッキングでヨーロッパを放浪したとうかがいましたけど…。

ミスター バックパッカー時代は高級ホテルなんて泊まってないよ(笑)。屋根があって壁がついていて、毛布さえあればベッドがなくてもOKだった。やっぱり「旅=行く=体験体感する」ことが最重要で、高級ホテルに泊まるなんて意識のスミにもなかったなあ。

マダム じゃあお仕事をするようになってからですか?

ミスター ホテルそのものじゃないけれど、香港のペニンシュラのロビーでのブレックファストは、強烈なインパクトがあったね。大学を出てすぐに仕事で香港に赴任して、いろいろなホテルに行ったけど、ペニンシュラは別格だった。あの雰囲気の中での朝食というのは、ホスピタリティという点においても、そりゃあすごいカルチャーショックだったね。

マダム ミスターは世界中の、本当の最高級ホテルにも滞在してらっしゃいますけど、他にも印象に残っているホテルはありますか?

ミスター たくさんありすぎてねえ。スイートルームで言えば、LAのビバリーウィルシャー、ロンドンのサボイ、ミラノのプリンチペディサヴォイア、クランモンタナのルクラン。み~んな素晴らしかったけど、飛行機でいえばファーストクラスに乗るようなもの。「すごいなあ!」という感嘆と、居心地のよさは全然別問題。

マダム 逆にこぢんまりした部屋の方が、日本人には心地が良かったりする(笑)。狭いスペースで過ごしやすいように工夫するのが日本人の得意技ですし。

スイートを持て余す日本人のスケール感

ミスター 日本人はグランドキャニオンに行って感動するけど、その感動の度合いが、ザイオンの国立公園で見る奇岩群に及ばないんだって。グランドキャニオンはスケール感がありすぎて、日本人の許容量では受け止めきれないんだ。日頃、そういう壮大なスケールの中で生きていないから。

マダム 自分が実感として捉えることのできるサイズということですね。

ミスター その話を聞いてからというもの、自分にとって「居心地がいいなあ」と思うのは、ジュニアスイートくらいで十分だと悟ったよ。

マダム 便利だし、ムダな動線がない。

ミスター そして持て余さない(笑)。

ホテルの「楽しみ方」は何でもアリ!

ミスター ホテルは最近、特にデザイン主体になってきているから、ハイクラスでも非常に動線が悪い部屋、使い勝手が悪い部屋が増えているよね。昔はそうじゃなかった。どちらかというと居住性にポイントが置かれていて、家具やファブリックにこだわりがあっても配置は画一的だった。それが想像力によって、逆に破壊されている。ホテルの中でもっともナンセンスな配置って何だと思う? 絶対的な必要性がある重要なものなのに、存在が無視されているもの…。

マダム なんでしょう…クローゼット…?

ミスター トイレットペーパーのホルダーの位置だよ! 本当なら手前かすぐ横になきゃいけないのに、後ろについていたり。限られた空間の中にシンク、バスタブまたはシャワーとトイレを配置して、配管の問題もあるから、可哀想に…ああなるんだねえ(笑)。デザイン性を優先して、なるべくコストをかけずにすませるための苦肉の策だ。その点、バスルームとトイレが別室構造な日本文化は落ち着くよね。

マダム いろいろやって、最後に空いているところにつけておきましょうと(笑)。そうはいっても、こういうのがまた、ホテルの楽しみ方のひとつでもあるんですよね。「あ~あ、ばかなことしちゃってるよ~」って。

ミスター 豪華さや快適さ、感動や感激だけが、ホテルの楽しみじゃないってこと。たとえ高級じゃなくても、自分が滞在しているホテルに関心を持って過ごしてみる。そんな経験が重なっていけば「他のホテルはどうだろう」という想像力につながっていくし発見がある、それが「楽しみ方」にもなると思うんだ。

*またしても脱線しながらのホテル談義、いかがでしたか? 次回はペーパーホルダー(笑)の他にも、高級ホテルの楽しみ方のヒントを、マダムとともに具体的に追求していきます。どうぞ、お楽しみに!

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