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世界を知ることは日本を知ること
2016年あけましておめでとうございます。昨年は世界各地で思いがけない事件や事故が起こったり、気象変動による災害に見舞われたりと、日々ワールドニュースから目が離せない1年でした。一方、国内は訪日ブームが沸騰。改めて「日本」を見直す機会が増えてきました。そんな日本と世界の「関係」、今年は果たしてどこに向かうのでしょうか……。
日本の独立を擁護したスリランカ人
前回スリランカのお話をしましたが、私はこの旅でもうひとつ深く考えさせられたことがありました。きっかけはシーギリヤの歴史や文化を紹介する博物館をたずねたこと。ここは2009年にJICAの援助を受けて建設された、日本とスリランカの友好関係を象徴するような存在なんですね。それはスリランカが世界で初めて日本と友好関係を結んだ国であることにも関係しているのですが、では、なぜ両国にそんな親密に結びつきが生まれたのか、みなさんはご存知ですかな?
話は第二次世界大戦後のサンフランシスコ条約にまでさかのぼります。議題は米・英・ソ・中の戦勝国による日本の分割統治。特に強硬にその意見を主張していたのはソ連でした。もはや日本の4分割は免れない……その時に、1人の人物が声を上げます。いわゆる連合国サイドの、最小国代表として参加していたスリランカ初代大統領、ジュニウス・リチャード・ジャヤワルダナ氏でした。
「憎しみは憎しみしか生まない」
ジャヤワルダナ氏は「憎しみは憎しみしか生まない」「尊敬する日本に再生の機会を」という名演説により、列強名君の心を動かします。そう、民主国家としての日本の独立と国際社会復帰への足がかりは、この時のジャヤワルダナ氏の心を打つ言葉によって守られたのです。氏の日本擁護は、苦悩に満ちた自国の歴史をふまえてのものでした。
早くから列強による植民地化が行われたアジア諸国の中で、開国・近代化の試練を経ても独立を保ち、世界大戦で大国と対等に渡り合った日本。その英知に対して、ジャヤワルダナ氏は非常なる尊敬の念を抱いていたというのです(もちろん軍国主義の暴走という過ちは非難されて当然ですが)。背景には、いまだイギリス植民地である自国の独立を願う気持ちもあったのでしょう。その願いは1954年に実現することになりますが、日本の姿はアジアのひとつの「指針」でもあったのです。
相手を知ればイメージが変わる
いかがですか? 一般的には縁もゆかりもない国という印象しかありませんが、こんなエピソードを知ると、スリランカが一気に身近になりますよね。それにしても、なぜ日本はこのことを学校教育で教えないのか、私はかねてより不思議に思っているのです。歴史で教わるのは、せいぜい日本の仏教がスリランカから伝来したという程度でしょう。でも日本近代史的には、スリランカとの関係の方がはるかに重要だと思いませんか。
日本とのゆかりを知ればイメージが変わり、もっと興味もわいてくる……。これはスリランカに限ったことではありません。たとえばトルコとの関わりなどはよく知られていますが、親日国にしろ反日国にしろ、ミクロ・マクロ双方の視点で調べてみると、日本と意外なつながりがある国はたくさんあるのです。
「学ぶ」「知る」気持ちを忘れずにいよう
民族や宗教の衝突などは、私たち日本人にはなかなか理解できない問題ですが、たとえ観光旅行であっても、海外に出かける場合は「知らない」「興味ない」ではすまされないこともあります。そのために「知る」「学ぶ」ことは、現地での立ち居振る舞いはもちろん、実は自分たちの来し方行く末を考えるための、大切な糧にもなるはずです。そして、そんな小さな「気づき」の積み重ねが、未来社会を担う力になるかもしれません。
どうぞ、恐れず、堂々と、しかし敬意と知識を持って海外に出向いてください。イメージや大勢に惑わされない思考こそが、あなたの目を開いてくれるのです。最後になりましたが、今年も「ミスターMのおいしい旅の話」を、なにとぞよろしくお願いいたします。
目立たないけど個性抜群 アリアリゾート&カジノ
おめでたい新年にふさわしく(?)、華やかなラスベガスの、お気に入りホテルを紹介します。ベラッジオの並びに位置する、2009年オープンのアリア リゾート&カジノであります。実は滞在するまで全くノーマークの存在(笑)で、マンダリン オリエンタルやベダラなどと敷地を同じくする、シティセンター内の施設のひとつになるのですな。
私が滞在したのは31階のスカイスイート。広々としたリビングがあり、寝室とバスルームがスライドドアで全開する造りで、ウオークインクロゼット、ダブルシンク、シャワートイレ完備。ブラウン系の内装もシックです。これといった特徴はないのですが、すべてがゆったりしていることや、移動に便利な立地であることが高ポイント、かナ。カジノ、劇場はもちろん、このホテルだけでレストランは16軒。寿司バーもありました。が、値段を見て目がビヨ~ン。もちろん慎んで辞退させていただきました(笑)。