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できるオトコのトラベルラゲージ:機内持ち込み編
みなさま、お久しぶりでございます。ミスターご多忙で大ピンチのため、久々のマダムヨーコの乗っ取りバージョンでお送りします。前回はミスターによるスーツケースの選び方指南でしたわね~。わたくしも「ほほ~う」と感心しきりでございました。では、男性の手持ちのバッグ(機内持ち込みや街歩き用)は、どうなのかしら? ということで、ヨーロッパ各地を訪問中のミスターを電話で無理矢理捕まえて、コメントをゲットいたしましたわよ!
男性はカジュアルスタイルが苦手?
旅の荷物やファッションは、目的がビジネスかレジャーかでずいぶん異なってきますわね。ならばトラベル用の手持ちバッグも、用途別に持っていれば何の問題もございません。とはいうものの、さまざまなデザインのバッグを普段から使い分けている女性に比べ、男性は使い慣れたもの一辺倒! 壊れるまで使い倒す……という方も多いのではないかしらん。
さらに、ご年配の世代ともなると、バッグと言えば「ビジネスバッグ」。カジュアルファッションのアイテムとしてのバッグは「持たない」「興味ない」「何でもいい」の三原則でやり過ごしてしまいませんこと?
そのせいでしょうか、ビジネストラベルのスタイルは合格点でも、レジャーの場合は往々にして、「?」なセンスになってしまう男性が多いんですのよねえ。どこに行くのもゴルフウエア、財布やスマホはポケットにねじ込んで、その他の大きな荷物は奥方にお任せ……これがジャパニーズビジネスマンの典型的な旅先ファッションではないかしら。もしくは自分は全くの手ぶら、支払いから手続きまですべて奥方にしてもらう、などという、ある意味剛の者もいたりして~(イヤミですわよ!)。さらには「登山ですか!?」とツッコミたいほどに、パンパンのリュックを背負ってどこにも出没。ああ、どれもこれも残念すぎるざます!
定番はシンプルなビジネスバッグ
ささ、さっそくミスターにインタビューです。頻繁に海外に出られるミスターは、どのような旅の手持ちバッグをお使いですの? 「それが純粋にレジャーだけの旅ってことは、悲しいかな、ほとんどないんだよ。たとえリゾートに出向いたとしても、顔合わせ、会食等々、旅先では必ずなにがしかのビジネス案件が待っているから、レジャーバッグはほぼ不要。というわけで愛用のビジネスバッグを兼用で使っているね」。
ふむふむ。では、そのビジネスバッグとは? 「スリムなナイロン製のブリーフケースだね。色はブラック。ファスナーを開くと内部はしっかり3つに仕切られている。センターパートはペーパー類、ブロック型のポケットが付帯している両サイドには小物等と、収納力はバッチリ。ま、定番といえば定番なんだけど、とにかく使い勝手がいいし、軽いナイロン製でシンプルなデザインだから、カジュアルファッションと合わせても違和感がないんだよ」。
では、機内への持ち込みも、そのバッグですの? 「そうだね。常備アイテムとしてはスマートフォンとiPad、バッテリー類。さらにロストバゲージに備えて、靴下、歯ブラシセット、マスクなども一通り。ロストバゲージで最も困るのはビジネスに支障を来すことだから、万が一の事態が起こっても、このバッグさえあれば仕事ができるように、必要な物は必ずこのバッグに入れて持ち込みにしているね」
スーツケースは機内持ち込みにしない
最近ではスーツケースを機内持ち込みにする方も多いですわよね。「私は、基本的にスーツケースは機内には持ち込まないなあ。規定内サイズとはいえ、なぜみんな、あんな大きな荷物を苦労して持ち込むのかねえ。旅慣れた人ならわかると思うけど、スーツケースを持ち込みにしたからといって、人より早く行動できるわけではなはないよね。反対に収納や取り出しに時間がかかって、他人に迷惑をかけるだけでしょう。
大切な物だけを手持ちのバッグにまとめておいたほうが、よほどスムーズに行動できるような気がするんだけどね。持ち込みが必要なのは、とんでもない貴重品を携帯しているか、2つ以上のスーツケースを持ってきたか、もしくは本当にタイトなスケジュールで、頻繁に乗り継ぎをするビジネスマンくらいだろう」
う~ん、全くその通りでございます。以前、ロストバゲージのダメージを回避するため、旅行荷物は持ち込みサイズのスーツケースにすべてまとめるというハイパートラベラー氏のお便りもありましたが、これは「貴重品保護」の考え方ですわね。しかし、フライト中に必要な物をわざわざスーツケースから取り出す人はいません。たいがい何らかの手持ちバッグをお持ちでしょう。でしたら、わざわざスーツケースを機内持ち込むこともないような気がしますわね~。
できるだけリスクのないバッグを選ぶ
話を手持ちバッグに戻しますわね。ミスターにトラベル用のバッグを選ぶ際のポイントをうかがったところ、即座に「手に提げて持つタイプがいちばんだと思うよ」とのこと。ショルダーバッグは両手が使えて便利なような気がしますが、肩からかけると、どうしてもバッグ本体を背中側に回してしまいますわよね。すると目が届かなくなり、気がつかないうちに、貴重品をすられてしまうことがあるのです。もっとひどいと、ストラップを掴んでひったくられ大怪我をする可能性も……。
となると、手で持つだけのクラッチバッグ系はさらに危険ですわね。「そう、リスクはなるべくないように、バッグは手で掴み、体から離さない・離れにくくすることが肝心だよ。私は長らく海外で暮らした経験があるので、その時の危機管理が身に染みついているんだけどね」。
持ち歩く荷物は極力少なく
また、リスク回避のためには、荷物をなるべく少なくするのも大切なことだそうです。「私の外出時の『最低限』は、シンプルなファイロファクス内蔵のウオレット。中身は名刺、パスポートのコピー、カード型計算機、ボールペン、万年筆、鉛筆、SIMカードといったところかな。スケジュールや出金、各種メモもすべてここに記入・記録しておける万能アイテムなんだ。
もう少し持ち歩くアイテムが必要な時は、シンプルなウエストポーチを、ウエストではなく体の前面に装着して使っているよ。このスタイル、昔は不思議な目で見られたものだけど、ボディバッグが一般的になった昨今では、全くノーマルな着こなしになったね。時代が私に追いついたのかな(笑)」
まあ……。ではマダムが「バッグなしで出歩く男性なんて!」と、プンスカするのは少し筋違いのようですわね。「そうだねえ、外出する時は必要のないものはホテルに置いていくほうが安心だよね。極端に言えば、クレジットカードと、何枚かの紙幣を挟んだマネークリップだけ、ジャケットやコートの胸ポケットに入れておけば事足りるんじゃないかな。
海外でオペラや食事に行く時も、最もスマートかつエレガントなのは手ぶらでしょう。あ、だけど、使うポケットはあくまで『胸』だよ。パンツの前ポケットではシルエットが崩れてしまうし、お尻のポケットだとすられちゃうからね!」。なるほど、デキるオトコは荷物を持たないんですのね!
オトコは「かっこいい」を目標に
ビジネスバッグ、ウオレットタイプ、ボディバッグと使い分けているミスター。旅の手持ちバッグもスーツケースと同じく、とにかく気に入るまで探して、それを長く使うのがベストとおっしゃいます。女性の視点から補足いたしますと、ご自分のスタイルがどんな系統なのかを知っておくことも大切ですわね。シンプルなビジネスバッグはオールマイティではありますけれど、ラフでカジュアルな格好をしなれている若い男性には、ちょっとちぐはぐかもしれませんもの。
そういう方は、同じブリーフケースでも少し遊びのあるデザインを選んだほうが、ビジネスにもレジャーにも使い回せると思います。反対に、レジャーというとつい、色気もなにもないゴルフウエアを選んでしまう妙齢の殿方! この際、旅行のファッションをもう一度見直してみてはいかがでしょうか。目指すべきは、オトコでも色気のあるスタイル。「かっこいい」こともまた、グッドトラベラーであるための条件でございますわよ。それでは、みなさま、ミスターのご無事のご帰還を祈りつつ、またサロンでもお目にかかりましょう。Ciao!
邪魔なものは持たない!
お話をうかがっていて思いだしたのですが、以前コラムで男性のパッキングのコツを紹介した際にも、ミスターは「私の旅支度の基本にあるのはシンプル&スマートの美学です」とおっしゃっていましたわね。「今や、よほどの長期間でない限りスーツケース1個とビジネスバッグのみという、コンパクト&シンプルを徹底。たとえ必要なものがあったとしても、数や量を増やすのではなく、手持ちでいかに賢く兼用するか=マルチタスクに知恵を絞りたい」と記されています。その思いは今でも全く変わっていらっしゃらないのですね。
これは男性に限ったことではありませんが、大型かつ軽量化しているスーツケースを持ってしまうと、ついうち「あれもこれも」と詰め込んでしまいたくなるんですのよね。わたくしも、その気持ちがよ~くわかるのですが、パッキングテクニック向上のコツは、いかに荷物を減らしコンパクトにまとめられるかということ。夏休みに海外に旅立たれるみなさま、ぜひミスターを見習って、「邪魔な物は持たない」旅支度にチャレンジしてみてくださいませ。