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あなたもかかっている「ツイン」の呪縛:最終回
「旅行会社がホテルのツイン確約をしてくれないのはなぜ?」という疑問から始まった、ツインと日本人に関する考察。コラム宛てだけでなく、フェイスブックにもコメントをいただくほど、たくさんの方に熱心に読んでいただきました。中には「なるほど」というご指摘も多く、私自身も勉強になりました。まこと感謝感激であります。今回は、その最終回。
リクエストしてもツイン確保は確実ではない
さて、まずは、なぜ旅行会社は事前にツインの客室を確約してくれないのか、ということについておさらいしておきましょう。現在では予約段階でツインを選べるホテルや手配会社のサイトも増えてきましたが、基本的に、まだまだホテルはゲストが到着してから最終的に客室アサインするのが一般的です。理由は、ゲストが100%予約通りにチェックインするとは限らないことや、到着後にも様々なリクエストが発生するからです。とまあ、このあたりは「その1」で詳しく説明したとおり。そして、ハワイやグアムなど、主要ゲストが日本人というリゾートをのぞくエリアでは、1室1ベッドの比率が高くなる。ゆえに、ツインの確保もぐっと難しく なるというわけです。
ヨーロッパの、特に伝統にこだわるラグジュアリークラスのホテルでは、とにかくツインは限定的。ほとんどが、少数の子供連れファミリーゲストのためのコネクティング(アジョイニング)用。ですから家族連れの宿泊が多い時は、たとえ事前にツインのリクエストを出していても、ダブルしか残っていないことが多々あります。もしくは早めに来館した「2人で利用」のゲストが、チェックイン時に次々に「two beded」を希望した場合、そのゲストにツインルームが優先的にアレンジされますから、遅い時間にチェックインすると、ツインの残室ゼロになってしまうのです。
そんなヨーロッパの中で、スイスはちょっと「異色」です。合理的な国民性を反映してか、多くの3~4★クラスのホテルで、2ベッドを基本コンフィギュレーション(組合せパターン)とした柔軟な対応をしています。一見1ベッドですが、ツイン型の2ベッドの希望があれば、真ん中のジッパーを開いて2ベッドに・・・のような。さすがは世界一のホテルスクールがあり、各国に優秀なホテルマンを輩出している国だと、感心します。
ツインを手に入れるための3ポイント
では、どうしたらツインの部屋を手に入れることができるのでしょうか。これも、今までいくどもお話ししてきたように、以下の方法を怠りなくするしかありません。
(1)事前にリクエストをしておく。
(2)ホテルになるべく早めに行く(まだ清掃中で室内に入れなくても、空室になるツインを確保できる確率は高まります)。
(3)チェックイン時に必ず確認する。
特に重要なのは3番目。レセプションでパスポートなりバウチャーを渡す際に、「ツインベッドの部屋をリクエストしているのですが」と、必ずひと声かけてください。これをしない人が意外と多いのですなあ。もちろん、部屋に入ってから変更してくれるようお願いすることもできますが、自分もまたホテル側にもひと手間になることを考えれば、客室に関する全てのリクエストは、チェックイン時に伝える。これを習慣にしておいて損はありません。
なぜツインが必要ですか?
しかし、上記のポイントをきちんと押さえたからといって、確実にツインが手に入るかといえば、残念ながら答えはNOであります。時期、タイミング、その他モロモロの要因が重なり、どう頑張ってもダブルしかないという状況もあり得るのです。特に、日本人グループや団体様の多いホテルでは、いくらあっても足りない・・・かもしれませんね。
そんな時に、考えてみるべきなのは「なぜツインが必要なのか?」ということ。同行者が会社の同僚や友人といった、一つのベッドで寝るには無理のある相手だから? いつも一人で寝ているから旅先でも、一人でゆっくり眠りたい? それともパートナーのいびきや寝相の悪さが折り紙付きで、一緒に寝たらひどい目に遭うから? と、まあ、私が想像しうる理由はこんなところですかねえ。
ツインがなければ一人一部屋にする!
実は答えは簡単です。一緒のベッドで眠れない人が同行者なら、ツインが空いていない場合、迷わずもうひと部屋取ればいいのです。また家族や恋人同士で、一緒に寝るより一人がいいという人や、相手のいびきや寝相が気になるというのなら、デラックスやジュニアスイートなど、ワンランク上のカテゴリーの広めの部屋にし、エキストラベッドを入れるか、一人がソファに寝るようにしたらどうでしょう。ソファが折りたたみ式のベッドになっていれば、特に支障はないはずです。
え、なになに? もうひと部屋取る余裕も、アップグレードする予算もないですって? でしたら、せめてキングザイズのベッドのある部屋をリクエストしてみましょう。そして掛け布団や毛布をもうひと組もらって、ベッドは一つでも上掛けが別々というスタイルにするのですな。これ、クイーンサイズのベッドでも可能ですが、キングサイズに比べたらどうしても手狭ですし、快適さもダウンしてしまうことをご覚悟ください。
対応力アップがカギ
と、場当たり的な「確保術」ではありますが、私からの提案は、そろそろツインにこだわりすぎるのはやめませんか、ということです。デラックス以上のクラスになると、「ツイン確約」は世界標準で考えても通用しにくい条件ですから、アレンジされなかったと文句を言っても仕方がないのですよ。
よってツインがないならないで、スマートに柔軟に考え対処する。旅行を「楽しむ術」 「ハッピーにする技」とは、そういう対応力をアップすることです。私流に言えば、海外旅行先ではホテル滞在も異文化体験、異文化交流。日本流を引きずらず、「あるがままを受け入れ、楽しむ」ことが最上の策なのです。どうぞ、心を広く、やわらかくして、いろいろなホテルの有り様そのものを楽しんでください。あなたの海外旅行も思い出も、きっと、もっともっと豊かになるに違いありません。
花鳥風月 就寝時はホテル部屋の湿度コントロールを
ホテルの部屋がひどく乾燥していることは、みなさんご存じの通り。油断して体調を崩さないために、自分で簡単にできる湿度コントロール法をいくつかご紹介しておきます。
1. 入浴やシャワーの後、体をふいたバスタオルを室内の椅子に広げてかけておく。乾いたら、また気持ちよく使えますからエコ対策にもなります。
2. グラスに水を入れてベッドサイドに置く。個数は必要に応じて用意。夜中に目覚めて水分補給する際にペットボトルから移す必要がなく、一挙両得!
3. バスタブに10センチほどお湯をため、バスルームのドアを解放しておきます。好みのアロマオイルを持参していたり、アメニティにあれば、それを利用するとさらに効果あり。これはイチバンのおすすめ!
4. フェイスタオルを濡らし、ベッドサイドにハンガーする。しずくが垂れないぎりぎりの湿り具合で。洗濯物で応用してもいいですね。
私は部屋の乾燥度に応じて上記1~4を実践しています。ちょっとした工夫で、お肌も喉も潤いをキープできます。どうぞお試しあれ。最後に、これでも十分ではない御仁には「ベッドの周りに水をまく」という究極のワザもあり。ただ、限度を超えると冗談ではなく損害賠償請求がきますから、くれぐれも注意を!