イギリス支配下の香港で、エグゼクティブをターゲットとして誕生したマンダリンホテル。多忙なビジネスマンをサポートするためか、そのサービスはよくも悪くもスマートだと言われてきましたが、現在はかなりハートウォーミングな方向にシフトチェンジしている様子。時代の流れもあるのでしょうが、その一つのきっかけは1985年の、オリエンタル バンコクの統合にあったといわれています。オリエンタル バンコクもまたエグゼクティブ向けのホテルでしたが、「微笑みの国」バンコクの丁寧かつパーソナルなサービスと、チャオプラヤ河沿いという素晴らしいロケーションは、徐々にレジャー目的の滞在でも注目されるようになり、大都会にありながらリゾートムードも兼ね備えるという、独自のスタイルを築きあげることになりました。
アンティークな調度品に彩られた往年のロビーエリアは、暑い日射しをさえぎるため日中でもうっすらと暗く何ともいえない雰囲気を醸し出していましたが、近年の改装により、コロニアル調を活かしたクラシックモダンなタイスタイルにリニューアル。色とりどりの花があふれる華やかな空間が、訪れる人の目を楽しませてくれます。ゲストのみならず人気なのが「オーサーズラウンジ」のアフタヌーンティーや、「ザ・ヴェランダ」「チャオ」の川沿いのテラス席でのくつろぎのひととき。またフレンチやチャイニーズのコンセプトにもこだわりがあり、全9つのダイニングのどこに足を運んでも特別な時間が過ごせることでしょう。
客室は最低でも40平米という、ゆったりサイズ。明るい色合いのチーク材の家具と美しいタイシルクのファブリックが、優雅でノーブルな空間を演出しています。しかし、円高の今だからこそ泊まりたいのがこのホテル自慢のスイートです。各国著名人がひいきにしたという100年以上の歴史を持つ「オーサーズスイート」、著名人ゲストにちなんだ内装がそれぞれ施されている「ヘリテージオーサーズスイート」、ロマンティックな「ジョセフ・コンラッドスイート」等々、いずれもため息が出るような美しさと、忘れられない景観を備えているのが特徴。またスイートはプライベートバトラーが待機し、客室に毎日フレッシュなフルーツや花が用意されるなどサービスも極上と、いうことなしの滞在になりそうです。
隣はフォーシーズンズ、向かいはロイヤルバンコク・スポーツクラブ、背後におしゃれなダイニングが集まるランスアン、徒歩圏内にセントラルワールドやサイアムパラゴンなどのショッピングモール、そしてBTSラチャダム駅直結と、もはやこれ以上望むことはないという最高のロケーションに、2011年4月オープンしたのがセント レジス バンコクです。セント レジスはスターウッドグループの最高級ブランドであり、今回はタイ初進出となる1軒。ですが実はこのホテル、着工がはじまってからというもの災害や政情不安に見舞われ続け、「開業できないのでは?」と囁かれていた疑惑の(?)ホテル。良くも悪くも長らく話題の的だったのでした。
ベールを脱いでみれば、高級ホテルが集まるエリアにふさわしい貫禄のたたずまい。ガラス張りのモダンなビルで、いかにもエグゼクティブ御用達といった格の高さを匂わせています。バンコク最大級という客室は、艶やかなフローリングの中央に腰高のキングサイズのベッドを配置。窓際には機能的でシックなワークデスクを置き、リラックスにもビジネスにも使いやすいレイアウトになっています。濃紺やモスグリーンの落ち着きのある色を差し色に使っているのも印象的。ここは、あくまでも大人のためのプライベート空間なのです。
それはバスルームにも反映されています。スライドドアで隔てられたバスルーム内にはダブルシンクとセパレートシャワーブース、そしてもうひとつの扉が。そこはトイレ! 同じスペースにありながら、同行者を気にせずに使えるこんな個室仕様のトイレ、意外なことに他にはなかなかありませんよね。またセント レジスの名物ともいえる24時間体制のバトラーサービスも健在。ルームサービスから移動の手配、買い物の付き添いやピックアップまで、どんなリクエストにも応えてくれます。出かけるのが面倒なときは15階の展望プールやスパでのんびりと。バンコクに登場した「最後の大物」、その居心地はいかがでしょうか・・・。
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