上流階級と庶民、その旅じたくの違いは?
映画「タイタニック」の冒頭、処女航海を控えたタイタニック号に人々が乗り込んでいくシーンがありましたね。あそこに描かれているのが当時の階級制度です。ズタ袋に着のみ着のままで乗り込む「庶民」に対して、上流階級の 面々は優雅に日傘をさし、ステッキをついての乗船です。
荷物がないわけではありませんよ。その量も尋常ではありません。ただ、自分たちが運ばないだけ。しかし荷物を見ただけで、家柄なり財力なり、それが誰に属するものかがハッキリわかる・・・こうした需要を満たす商品を作っ ていたのが、ルイヴィトンに代表されるヨーロッパの高級バッグブランドでした。
高級ブランドのバゲッジの持つ威力
今日では上流階級御用達から、だれもが持てるアイテムとなった高級バッグですが、実はどんな有名ブランドも思いつかなかったアレンジとアイデアがあります。車で移動が基本のアメリカが作ったのは、デザインや見栄えよりも 「もっと荷物が積みこめる」大型&頑丈スーツケース。そしてアジアでは、それを自分で運べるようなキャスター付きへと改良。いまやヴィトンにも、コロコロ型スーツケースが登場する時代。バカンスとしての旅も旅行用バゲッ ジも、もはや特別の人たちだけのものではなくなったのです。
とはいえ、ラグジュアリーホテルのスタッフにとって高級ブランドのバゲッジは、昔も今も「要注意アイテム」であることに変わりはありません。
ゲストがホテルに到着する。ポーターが運んできたのは高級ブランドのバッグ。するとそれを見たスタッフは、素早く持ち主をチェックします。これから常連になってくれるかもしれないVIPにソツのない対応をするためです。また 一目で高級品であることがわかるため、丁寧に扱う必要もあります。旅じたくに高級カバンをチョイスするのは、たとえ本当のセレブやVIPでなくとも、ホテルでスタッフの注意を喚起する非常に有効な手段なのです。
ホテルに着いたらバゲッジは自分で運ばない!
そしてもし、あなたがブランドバッグのオーナーなら、たとえセレブでもVIPでなくても、心得るべきことはただ一つ。ホテルのエントランスについたら、荷物はベルスタッフに任せること。絶対に自分で運んではなりません。ボス トンタイプのものでも、キャスター付きのものであってもです。
では名もなきブランドなら自分で運ぶのか・・・いいえ、それでもバゲッジは任せてください。これが、それぞれの場面でサービススタッフが配置されているラグジュアリーホテルで上客としてもてなされるための第一歩なのです 。
日本人はとかく遠慮したり心配したり、もしくはチップが面倒だからと、手持ちにしたがるケースが多いのですが、5ツ星クラスのホテルでこれはご法度。そこには、荷物を運び、それを任務にしている専任スタッフがいるのです。 彼らから仕事を奪ってはいけません。笑顔で荷物を渡し、しかるべくチップを渡す。それがラグジュアリーホテルを利用するゲストの「面目」であり「義務」なのであります。
服装も要注意!
高級ホテルであればあるほど、チェックインの時点で、そのホテルに相応しいゲストかどうかを見極めています。高級ホテルの雰囲気にとけこみ、「絵の一部」となりうる服装や立ち居振る舞いも重要なポイント。
よいゲスト(上客)と認識されたければ、たとえ3スタークラスでもジャケットの着用をおすすめします。ネクタイは必ずしも必要ではありませんが、全体のスタイルは「ビジネスカジュアル」のラインを崩さないことが肝心です。 ビジネスカジュアルとは、ビジネスマンがカジュアルデイにオフィスに着て行く服装、ウイークエンドやオフタイムに、ビジネスパートナーやクライアントと会う時の服装といった感じです。参考にしてください。