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必ず役立つ旅のファッションアイテム
みなさま、ごきげんよう。旅行には最高のシーズンがやってきましたわね。今回は旅猫様からのご質問「初めての街、特に春、初夏、秋のヨーロッパについては、どれくらいの寒さ対策をしたものか悩んでしまうことがしばしばです。マダムはどうやって持って行く服装をチョイスされていらっしゃいますか? もしよかったら教えてください!」にお応えし、不定期でお送りしているマダムの旅先ファッション講座をお届けします。
「かさばらない」「重くない」「しわになりにくい」
確かに季節の変わり目のヨーロッパは気候が読めず、衣類の選択に悩まされることがままありますわよね。日本ではすでに夏の装いの7月に、パリではダウンを着るほどの寒さに見舞われてグッタリ〜とか、半袖から分厚いコートへと急激に変化する10月のミラノであうあうするなど、わたくしも何度も頭を抱えた経験がございます。
こうした状況の時、最大のポイントとなるのがアウターでしょう。常に申しておりますように、旅先ファッションアイテムとしては「かさばらない」「重くない」「しわになりにくい」が3大目標でございます。流行が続いている薄手のダウンは大変便利そうですが、街歩きや観光では問題なくとも、あらゆるシーンで活躍させるにはちょっと物足りない…と思いませんか?
ヨーロッパではTPOを忘れずに
旅猫様も「目指しているのは、動きやすさと街の雰囲気に合ったエレガントさを兼ね備えた装いですが…」と悩んでいらっしゃいますが、そうなんです! ヨーロッパで忘れてはならないのがTPOなのです。特にグランメゾンでの食事や、ハイブランドでのショッピング等を計画している旅なら、どうしたってアウターに手を抜くわけにはいきません。なぜなら入店した時から、あなたのファッションは注目されている(意地悪な言い方をすると値踏み、ですわね)からです。
こうした場所では、それなりに「いい席」をアテンドしてもらいたいなら、きちんとした服装をしていくのはお約束。蛍光色のペラペラダウンとデニムでは、見た目はもちろん、この客はお金を落とさないと見なされて、隅っこの方に追いやられる可能性が少なくありません。反対に観劇など、クロークにアウターを預けるところでは何を着ていってもかまいません。だって到着してすぐ脱いでしまうので、値踏みのされようがありませんものね。
合皮のレザージャケットは万能アイテム
そんなこと言ったって、ブランドもののコートなんか着ていけないし、だいいち重いじゃないのよう〜。はいはい、その通り。そこでマダムヨーコがおすすめしたいのが、以前もお話したレザージャケットです。もちろん本革である必要はございません。合皮でもナイロンでもOK。というよりも、むしろそちらの方がデザイン的に優れものが多いような気がします。特にヨーロッパはレザー(風)ファッションの本場。自分が着たいと思ったら真夏でもレザーをはおっている人がたくさんいますから、季節を問わず使えるのです。
そしてフェイクレザーは、軽い、しわになりにくい、雨に濡れても平気、乱暴に扱っても惜しくない、といいことだらけ。さらに着ていると「それなり」に見えるというイバリの効くアイテムでもあります。選ぶなら、できるだけシンプルなライダース系がベター。あまり流行に左右されず重宝すること請け合いですわよ。カラーはあえて白やクリーム、若草色などの明るい色を。無難そうな黒やベージュは、かえって素材の安さを際立たせてしまうことがありますのでじっくりご検分なさって。
高機能インナーで防寒対策もバッチリ
レザーはモコモコ・ダブダブで着てはなりません。ある程度体にフィットしたサイズを選びましょう。体の線を隠すオーバーサイズは、若い娘さんならユニセックス調で愛らしいのですが、マダムがやると老けて見えるだけ! 特にスタイルに自信がないわ〜という方ほど、ジャストサイズにこだわっていただきたいのでございます。防寒対策には薄手で風を通さないインナー系をどうぞ。上に重ねるより下に1枚着る方がはるかに温かいはず。高機能の肌着はたくさん出ています。こちらは日本製が断然優秀ですわよ。
防寒&アクセントにボリュームのある巻物を
防寒でいえばもうひとつ、ゼッタイに役に立つのが巻物です。「ええっ、前にオバファッションアイテムの典型って言ってたじゃーん」と物覚えのよい方に文句を言われそうですが、巻物も素材と使い方次第。巻いているうちにヨレヨレになってみすぼらしくなる薄手の素材は避け、ある程度ボリュームのある大判のものを見繕ってください。巻き方を工夫すればステキなアクセントになりますし、ショールや風呂敷(笑)としても使い回せます。
カラーはオールマイティな単色がおすすめ。パステルカラーはモノによってはとても安っぽい印象になりますので、やや深みのある色を選ぶのがいいでしょう。反対に単色ファッションが多い方は、思いきって派手なガラのものもおすすめです。いちばんいけないのは、ガラの服にガラの巻物。しかもグレーを混ぜたような地味かつくすんだ色合い。これこそがオバファッションへの第一歩なのです!
マダムの装いは「自分美」をベースに
というわけで、季節の変わり目のヨーロッパ旅行のお役立ちアイテムはレザージャケットと巻物で決まり。この2つがそろえば、たいがいのことはカバーできるはずです。あまりに迷うようなら、あえて日本の気候に合わせたままの服装で出かけ、現地調達するのも楽しいですわね。ヨーロッパには日本未上陸のファストファッションブランドがまだたくさんありますし、そうでなくても大人社会ですから、マダムがかわいらしくまた美しく見える服がたくさん売られています。もし購入した服が日本ではちょっと…なんてことになっても気落ちせずに。旅先限定ファッションとしてキープしておけばいいのです。ね、何にしても損はないでしょう?
わたくし常に申し上げているのですが、マダムは流行にこだわる必要はありません。それよりも、自分の肌を、体型を、また全身を、美しくまたスマートに見せてくれる服を選ぶべきなのです。マダムには体の厚みを強調する盛り袖も、後ろ姿がもはや袴のスカンツも必要ありません。もちろんスタイルのよい方は別ですわよ。しかし体型にチャレンジングな部分がおありの方は、ぜひ「自分美」をベースにおいた、シンプルでカッティングの美しいアイテム選びを心がけてください。それが海外でも、必ずや絶大なマダム効果を発揮すると思います。さあ、みなさま、ともにエレガントマダムを目指しましょう。では、また来月。Ciao!
旅を台無しにする禁ワードについて、ぴゃんぴゃん様より「全部、一回の旅行中に夫の口から出る言葉で、ホント悲しいったら」との声が。「これ、そのまま夫の目につくところにピラーっと置いておこうと思います。少しでも心に響いてくれることを願って」。うう、切実すぎます。そしてわかります、そのお気持ち! 少しはお役に立てたら幸いでございます〜。
先ほどご紹介した旅猫様からも「言ってはダメな言葉、確かに! 全く! その通り! と、膝の皿が割れるくらい膝ポン! でした。口にしてしまわないよう、心して旅したいと思います。また、同行者に言われても、ひろーーーーい心で受け止めるよう肝に銘じておきます(笑)」。旅猫様、いつも笑えるレスポンスありがとうございます。ローヌ川流域古城めぐりの旅、いかがでしたか?
ウィーンから鉄道での移動をご予定のmasami.y様からは「今回初めて1人で、スーツケースを持って乗るのですが、あのホームから列車の高低差にどうしたものかと思っています。どうされているか、お教えくださいますでしょうか?」とのご質問。近年はホームとの段差がない、フラット構造の列車がほとんどです。東欧やイタリア(なんと!)ではまだ古いものも走っていますが、ウィーン発ならほぼ問題なく乗り込めると思います。もし往生するようでしたら、困惑気味にちょっと周囲を見渡してみてください! わざわざスタッフを呼ばなくても100%の確率でどなたかが手助けをしてくださいます。わたくしも毎回、そうしてみなさまのお世話になっておりますし(笑)masami.y様、旅のご報告ぜひお寄せくださいね。
「Is this a one size fits all?」
「これはフリーサイズですか?」とたずねる時のフレーズです。実は「フリーサイズ」はカンペキな和製英語。海外では通じませんので、くれぐれもご注意を。また「one-size-fits-all」とハイフンでつなげて形容詞的に使うと「画一的な」という意味にもなります。
流行よりもTPO
旅先ファッションで大切なのは流行よりもTPO。どこに行くのか、何をするのかを考えて、自分をいちばん美しく見せるアイテムを選びましょう。