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どうする? これからのシニア親子旅:準備編
みなさま、列車が立ち往生したり、お山が不穏な動きを見せたりと、ちょいキモ冷えの連休でしたが、つつがなくお過ごしになられたこととお喜び申し上げるマダムヨーコでございます~。そんなわたくしは、風邪が長引いたあげくに入院というシャレにならない休日となりました。人は点滴につながれていると精神的にも弱りますわねえ……。今はきたる暑い夏と旅行計画に備え、体力回復にいそしむ毎日でございます。
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自分が「子」の立場の親子旅
さて、もうずいぶん前の話になりますが、親子旅について読者のみなさまと盛り上がったことがありました。親子旅といっても、小さな子供やティーンエイジャーを連れて行く「親」の立場での旅ではありません。自分が「子」の立場で親を連れて行く。そんな親子旅でございます。当然のことながら、子供がトシを取れば親もトシを取ります。最近では親御さんがオーバー70 & 80、子供はアラフィフまたはアラ還という、双方がシニア層の親子旅も当たり前になってきました。
お互い旅慣れた親子なら問題はない!?
日本の海外旅行自由化を皮切りに、円高やバブル経済の後押しもあって、団体ツアーによる海外渡航経験も少なくない親世代。一方、いつの間にか海外旅行は特別なイベントではなくなり、しかも自由気ままな個人旅行を満喫してきた子供世代。ともに海外慣れしているのだから、一緒の旅行に問題はないはず……と思いますわよね。ところがどっこい、加齢の影響、価値観の相違、親子という近過ぎる関係がもたらす問題は、熟年層だけの親子旅でも盛りだくさん。特に全てを自分たちで手配する個人旅行では、思いがけない課題が続々出てくるのでございます。
そこで今回は、「理想的なシニア親子旅」をテーマに、試行錯誤を繰り返しながら定期的にシニア親子旅を実践しているマダムJ に、わたくしマダムヨーコがお話をうかがってまいりました。年配の親を海外に連れて行くためのテクニックやコツとは? 双方が満足するための心構えとは? みなさまがシニア親子旅の当事者になる時、きっとお役に立つヒントがあると思いますわよ。それでは、マダムJ、お願いいたします!
がんじがらめのツアーにこりごり!
母は80代、私は50代半ばです。初めて一緒に海外旅行をしたのはもうずいぶん前になりますね。確か9泊12日のヨーロッパツアー。とにかく移動ばかりで、食事もイマイチ。荷物を運んでくれるのはありがたいとはいえ、早朝に部屋の外に出しておかなきゃいけないとか……。それが毎日続くので、大変だったという記憶しかありません。同行者はいい人たちで「みなさん、あと数日です。がんばりましょう!」だったけど、楽しいはずの旅行で「がんばる」って(笑)。その1回で私も母も「ツアーはもうこりごり」。以降はすべて個人旅行です。インターネットのおかげで、手配が楽にできるようになったことも大きいですね。
行き先は、私が大まかに決めてから母に提案しています。母の希望は自分が自由に動ける国や場所。スケジュールでがんじがらめの旅行は嫌いなんです。観光名所を駆け足で回るような旅や、何をしたか覚えていないような旅、そして朝早く起きる旅もイヤだという(笑)。世界遺産や驚異の大自然にも興味なし。そこの空気を吸って、のんびりして、好きなように過ごすことが、彼女にとっての旅の醍醐味なんです。必然的に、年配の女性が1人でぶらぶらしていても危なくなく、地理が把握しやすく、暮らしやすいということで、ヨーロッパの小さな町を選ぶことが多いですね。
早めのスケジューリングで余裕と安心感
計画を立て始めるのは、結構早いですよ。1年前くらいから「ここはどう?」という提案をして、じっくり時間をかけて詰めていきます。もちろん母は自分の希望を言って、後は乗っかるだけですが(笑)。その間に私の夫や妹、現地で合流する可能性のある友人らにもスケジュールを確認。すり合せがすんだら、まず飛行機のチケットを押さえてしまいます。それがだいたい7~8カ月前。よく「もっと後で取った方が安いのに」と言われますが、何はともあれ決めてしまうことが肝心なんです。私はもちろん、母だって日程が確定することで得られる安心感と余裕が全然違いますし、出発まで時間があるからゆっくり準備もできますしね。親との旅行では「ギリギリ」は禁物なんです。
ビジネスクラスでのフライトは保証
フライトはダイレクトにはこだわりません。そのかわり必ずビジネスクラスにします。自分たちだけならエコノミーで構わないのですが、長距離フライトだと座っているだけでも疲れちゃいますから、高齢者にはつらいですよね。膝や腰への負担を考えても、シートがフラットになるのは本当にありがたいのです。お金を惜しんで無理をさせて到着後に倒れられたり、病院行きになるようなことを考えれば、高い料金も決してムダじゃない。お金をかけるとしたら、こういうところだと思うんです。だからビジネスクラスでのフライトは、ある意味保証のようなものかなあ……。
それにビジネスクラスだとラウンジが使えるし、優先搭乗もあるので、体への負担は極力少なくてすみますよね。だから乗り継ぎ便でもいいんです。とにかく母を連れて行くなら、ビジネスクラスの確保はマスト。エコノミーがOKなのは4時間以内の近場だけ。航空会社も、その都度いちばん便利で安いところにするなど、マイレージや効率などへのこだわりも捨てています。いずれにしろフライトの手配は最優先事項なので、時にはビジネスクラスで安いフライトが出ていたり、何かのキャンペーンを見つけたから出かけようか……という、先にフライトありきで旅の計画がスタートするパターンもありますよ。
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みなさま、シニア親子旅の達人マダムJのお話、いかがだったでしょうか。高齢者である親の希望や体調を最優先する。もっともでカンタンなことのように思えますが、実はこれがなかなかできないのが、海外旅行慣れした「子供」なんですのよね~。「それくらい大丈夫」「そんなところにお金をかけるのはもったいない」等々。わたくしも身につまされる思いで、拝聴しておりました。さて次回はシニア親子旅の後編。滞在先での過ごし方のノウハウについて、引き続きマダムJのお話をうかがいます。それではみなさま、また来月。Ciao!
姉と二人様から「よく『手振り身振りで何とかなる』とか『基本単語だけ覚えておけばOK』などと書いてあるガイドブックやブログがありますが、それで何とかなるのは添乗員付きの団体行動中だけではないでしょうか」とのご指摘が。「やはり最低限の基本表現、それも相手に不快感を持たせない表現を覚えておかないと笑顔だけでは『いいゲスト』にはなれない気がします。何かお願いするのに、Pleaseをつければいいのは子供だけですからね」。そう、わたくしたちが目指すのはワンランク上のトラヴェジェンヌ! コミュニケーションもマナーも、まず自覚することからはじめましょうね、みなさま。
しまもん様、相変わらずバイブス(←古っ。笑)の効いたお便り、ゲラゲラ笑いながら拝読しました。GWは親孝行旅で済州島へのクルーズに行かれたそうですが、「お買い物は一頃の割安感は皆無。ウォン高で財布の紐はあまり緩くならない」。そうなんですぅ~。わたくしも寂しい思いをしております。そして「いいゲストは自分からなるもの、いい言葉ですね」「ホテルでもお店でもレストランの苦々しい状況でも寛容の気持ち忘れないでいたいものです」。ご共感いただきうれしゅうございます。おっしゃる通り「元気に旅ができるうちが花」。これからも、どんどん外遊にいそしみましょう!
シェリー様からは、Vol.102でご紹介した益田様のクイーンエリザベス号情報で「バルコニー付きに乗れば快適に過ごせるかなと確信しました。益田様の投稿のおかげです」というお礼が。お寄せいただいた体験談がこんな形で貢献するとは! マダムヨーコ感涙でございます。また「母の介護が大変になって2年。介護と趣味を兼ねてホテルに泊まったり、年に2回もお船に乗ったりしてきました」と。ご苦労もつらさも飲み込んで、日々トレーニングと前向きにおっしゃる姿勢に頭を垂れる思いです。人生は毎日が旅のようなもの。どうぞこれからも、楽しく思い出深い時間を過ごしてくださいませ。ずっと応援しております。
「I’d like to add something.」
「付け加えさせてください」という意味のフレーズです。転じて「言い忘れていたのですが……」のニュアンスも含むので、ホテルのレセプションや、レストランやショップなどでお願いごとを付け加えたい時、こう切り出すことで相手の注意を引くことができます。このフレーズの後あえて大切な事柄を伝えるという高等テクニックもありますよ。
親との旅行で「我」は無用
世代も価値観も違う相手に「こうだから!」の押し付けは禁物。一歩引いて、相手の気持ちを受け止める寛容さを持ちましょう。