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高級ホテルでうっとりさせて
夏休み直前の3連休、みなさまいかがお過ごしでしたか? 6月にワイキキのモアナサーフライダーで結婚式を挙げ、新米マダムとなった友人によると、前日からセレモニー、そしてその後の小さなパーティまで、全てのサービスが素晴らしく、まさしくお姫様気分だったそうです。ロングトレーンのウエディングドレスの記念写真は、まるでブロマイドのよう。「若いわね~、うらやましいわ~」って、わたくしほぼ親戚のオバチャン化してしまいました!
ホテルは憧れの非日常空間
モアナサーフライダーねえ……。そういえば、ミスターMのコラムも含め、これまで何度も取り上げているのが海外ホテル、とりわけハイクラスな場所での過ごし方。実はマダムにとって、国内外を問わず、旅行や移動時の最大ポイントはホテル。思い起こせば修学旅行で泊まらされた旅館(新亀万というJKにとってはきっついネーミング)からはじまり、これまで訪れた宿泊施設はゼ~ンブ覚えているわたくし。たまに海外旅行をしたのに、「泊まったホテル? 覚えてないなあ」なんて人がいると、思わず問い詰めたくなります「逆になぜ忘れられる!?」。
記念日に一流ホテルお泊まりするのが流行った頃(あったんですのよ、そういう時代が!)、いつも通る道を一歩入っただけで別世界が広がるホテルは、憧れの非日常空間でした。その華やぎにふさわしいおしゃれをすることも、ふだんのガサツぶりを隠してエレガントに振る舞うことも、何もかもがワクワクする体験。おかげですっかりホテル好きになったわたくしですが、それを海外でもとは考えてもみませんでした。
ハレクラニの洗礼を受けて
開眼のきっかけは、初海外旅行のハワイ。団体ツアー参加でホテルは4★クラス。ダイヤモンドヘッドが真正面に見える素敵なお部屋でしたが、当時ワイキキで暮らしていた友人と再会し、ランチに招かれたハレクラニで圧倒されてしまったんですの。何という空間! 何という気品! 何と優雅なサービス! いつか絶対泊まってみたい! その願いが叶うのは8年後ですが、あのランチの光景は、今でもありありと思い出せるほど鮮やかです。
そんなわけで、できたらいつでもどこでもそのエリアで最高級のホテルに泊まりたいという野望を胸に、ホテル選びに挑んでいるわたくし。マイ大蔵部門の関係で毎回はムリですが、運が味方して滞在できた時は、まるで小姑のようにあらゆる事柄をチェックしまくります。
一流ホテルは靴がキモでしょ
中でも「これぞ高級ホテル」と強く感じるのは、スタッフの服装です。スーツにしろ制服にしろ、仕立ての良いものを身にまとっているのは大前提として、問題は靴。みなさまにも注目していただきたいのですが、すごいですわよ。そういうホテルのスタッフは、ポーターやウエイターにいたるまで、見事なまでにピカピカの素晴らしく美しい靴をはいていますから。靴が上等だと自然と服装にも気合いが入り、背筋が伸び、物腰がスマートになるのでしょう。決してコンフォートシューズなどはかない美意識に、一流ホテリアーのプライドがうかがえます。
反対に、いくら高そうな服を着ていてもガッカリよ~というのが、よれよれでかかとのすり減った靴やほこりまみれの靴、アイロンをあてすぎててらてらに光ったスラックス、サイズの合わない制服、清潔でも年季が入りすぎているのが一目でわかる制服など。これ、意外と日本のホテルでよく見かけるんですのよねえ。態度が慇懃無礼なだけに何だかわびしくて……。高級ホテルを自認するならそんなところで経費を惜しまず、きっちり夢の世界をつくりあげてほしいのでございます。
日本のホテルにもっと遊び心を
それに加え、日本のホテルの制服はどうしてああも画一的なのでしょうか。大胆なコンセプトのデザインホテルなのに、スタッフが地味なお仕着せを着ているなんて、つ~ま~ら~な~い! モルガン・スタンレー系の上質の普段着風、コモ・ホテルズ系の最先端モードのオリジナルのように、もっと遊び心を採り入れたらいいのにねえ~。リゾートですら、どこか「お仕事」風なんですもの。せめてハワイで勉強してこ~い、って感じです。
これはサービスの点でも言えるのですが、日本のホテルの応対は相手が誰でもとっても丁寧です。世界的に見ても非常に優れた美徳ですが、廊下ですれ違う時に、隅に飛び退いて姿が見えなくなるまで頭を下げているような「丁寧さ」は、マダムにはどうも居心地が悪いのです。海外なら少し脇によけて黙礼をする程度。それで十分だと思いません? 「おもてなし」を極めるために、どんどん儀礼的になっていくなんて……きっと他人にかしずかれるのがだーい好きなオジサマ族に好評なのでしょうねえ。←イヤミ
ホテルという舞台を楽しみましょう
以前滞在したベルリンのラグジュアリーホテルで、おすすめのレストランを聞きにコンシェルジェブースに行った時のこと。びしっとスーツを着こなした青年コンシェルジェは「ハ~イ!」と陽気に話を聞き、「ここならバッチリ!」とウインクしつつ片手でピッと名刺を差し出しました。こんな態度、日本だったら絶対許されないはず。しかし彼は、ゲストが「楽しみたい」ことを見抜いて、フランクな対応をしたのですわね。もしビジネスに関する依頼なら、もっとスクエアに応じるでしょう。相手のニーズに合わせ「演じる」こともできる。これぞ一流のコンシェルジェの証かもしれません。
海外ホテルは安宿で十分なんて思わないで、時には奮発してください。おしゃれをして、ちょっと気取って、そして存分に笑顔を振りまいてみてください(&チップもね)。あなたがその気になれば、そこには未知の、とても魅惑的な世界が待っているのです。ホテルが楽しければ旅はさらに楽しく、思い出深いものになりますわよ。もう「ホテル? 忘れた」なんて、言わせませんっ! それでは、みなさま、また来月。Ciao!
H.Y様、思わぬ出来事でハワイ旅行をキャンセルなさった由に続き、ご家族が増えた嬉しいお知らせをいただきました。禍福はあざなえる縄のごとしと言いますが、身近な人を愛し自分を大切にすることが、日々のつらさや悲しみを乗り越えていく力になるのだと、若輩者ながら心しております。またいつでもお便りくださいませ。心からお待ちしております。
個人旅行を楽しむため、行き先の言語を独学されているというoshima様。何事も人任せでただ一斉に行動するだけの団体日本人について、「旅の醍醐味の一つは、旅先の人と交流することであり、旅の印象を大きくも深くもすることを、まるで考えていないように見えます。どんな人達がそこに住んでいるのか、何故この文化なのかにまるで興味がないのは、旅として楽しいのか、とても不思議です」と辛口のコメントが。そうですそうです! 最低限の英語と現地語の挨拶ぐらいは覚えましょうというのは、それが旅をより素晴らしいものにするからなんですのよね!
この件については常連組からも様々なご意見が届きました。微笑むモナリザ様は「私が旅先で心がけていることは2つあります。一つは、挨拶や感謝は必ず現地の言葉を覚えるようにします。そうすると、やはり現地の方も反応がだいぶ違うように感じます。二つめは日本語は極力、使用しないようにしています」。な~るほど。でも、つい出ちゃうんですのよねえ、アジア圏だと特に……。
すごいのは「旅先で日本語を忘れてしまう」スカーレット様。「一人で旅をするならば、会話や博物館の説明書きなどすべて英語で理解しないといけません。つまり外国で生きていくための手段として、脳ミソが「英語化」してしまうのだと思います」。ふむふむ。このシワが取れかけた脳みそでも、それ、うっすらわかりますわ。
そしてお久しぶりです近藤様! 初めてのギリシャ旅行で「英語だけでなく、現地の言葉を少しでも覚えて積極的に話すように心がけましが、片言でも現地の言葉を話すと、現地の方はよりフレンドリーになってくださいます。それは日本で外国の方が日本語を一生懸命話そうとしていれば、なんとかコミュニケーションをとってあげようと我々が思うのと同じですよね」。全く同感ですわ! みなさま、真摯かつ力強いお言葉ありがとうございます。そのパワーを授かって、わたくし意気揚々と次の旅に行ってまいりますわね!
「Would you call a taxi, please?」
ホテルで使う英語の基本中の基本、「タクシーを呼んでもらえますか?」という意味のフレーズです。ありがちな間違いが「Would you call me taxi?」と言ってしまうこと。これでは「私をタクシーと呼んでください」という自己申告になっちゃいます。「私に」と入れたいのなら、「Would you call a taxi for me?」です。
気持ちがあれば世界は広がる
何もしないうちから「嫌い」「イヤ」「ダメ」と決めつけていては、未知の世界は未知のまま。その扉はあなたの気持ち次第で開くのに……。