アメリカン・エキスプレス
ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
110

旅の救世主になるかウーバー

ミスターMのおいしい旅の話 旅の救世主になるかウーバー

めまぐるしい移動の日々もようやく一段落に向かいつつあるものの、心身はすでに疲労困憊。ジェットラグに翻弄され、思わぬ時間に覚醒してしまうのは進化か退化か、はたまた老化か(笑)。少しは秋の夜長をゆっくりいとおしみたい今日この頃であります。

ラスベガスでウーバー初体験

今や世界中で話題のウーバー(UBER)をご存知ですか。簡単に言えばスマホを使った配車サービスなのですが、このたびラスベガスで初体験と相成りました。 ラスベガスは街中でもタクシーを捕まえるのにそう苦労しないのですが、とにもかくにも友人知人がこぞってウーバー推し(笑)。個人的にはドライバーの質やセキュリティ面等の不安があったものの、そこまで言われるのなら、まあ、一度利用してみようかと。

そうしたら、これが感嘆しきりの便利なシロモノ! アプリをダウンロードして必要情報を登録し、ウーバー呼び出しをタップ、するとグーグルマップにて周辺を走っているライセンス車がすべて表示され、その中からいちばん近い場所にいる1台が、直ちに私のもとへ向かってくるのです。同時に到着までの待ち時間、ドライバーの顔写真、名前、そして車の登録ナンバーも画面にアップ。1分前には、まもなく到着する旨の確認メールが届きました。

スマホが運転手と利用客を橋渡し

どうやってこの車とコンタクトするのかというと、ドライバーは登録してある私の顔写真(任意でしなくてもOK)が確認できますから、待機場所とあわせて見当がつき、こちらはフロントに掲示してあるウーバーのマークを見つければいいという寸法。

では言葉ができない、通じない言語の場合はどう行き先を伝えるのか、また素人ドライバーがどんな行き先でも分かるのか、と思いますよね。これは呼び出した後、アプリのフォームに行き先をタイプしておくのです。後はルーティングから道案内まで、すべてグーグルマップがご案内。ドライバーも同じスクリーンを見ているので、そのナビに従って運転するってわけ。両者ともに便利ですなあ!

素晴らしき明朗会計&キャッシュレス

料金はエリアや車のタイプによって異なりますが、チッ プ込みの明朗会計というのも素晴らしいですねえ。ドライバー曰く「タクシーの半額ですむよ」。私の感覚では高くても3分の2といったところかナ。それでも間違いなく安上がりです。降車時にスマホにレシートが送信され、支払いは登録済クレジットカードから引き落としというキャッシュレス仕様。おまけに「割り勘」を選択すると、きちんと割り勘でチャージしてくれるのです!

利用者のドライバー評価で質を保つ

こうして俄然ウーバーに興味がわいた私は、ドライバーにあれこれ質問開始。ライセンサーになるには自分でインターネットから登録し、クリミナルレコードチェックを受ける……犯罪歴等がないかを確認するわけですね。そして事業者登録をしてライセンスが発行されれば、後は自分の希望する日時に〝出勤〟するだけ。ラスベガスで現在登録されているウーバーは約4000台。就業時間にもよりますが、くだんのドライバーの場合は、最低でも月額3000ドルは稼ぐそうです。

また利用者のドライバー評価がすぐにネットにアップされるため、運転が乱暴、遠回りしたなどのクレーム等など、あまりに悪いとライセンスが取り消されます。例えば「チップはキャッシュでください」なんて言う小狡いドライバー(いましたラスベガスにも。笑)はすぐバレます。反対にいい評価をもらいたければ、手入れのいき届いた車を使おうとするし、運転やマナーにもより気を配る。こうしてドライバーの質が保たれるのですね。

タクシー&リモドライバーは大反発!

アメリカではすでにウーバーは一つのアクセス手段として認識されているため、ホテルでもタクシーのラインとウーバーの乗り付けるラインがちゃんと振り分けられ、乗り場もある程度決まっています。が、当然のことながら、タクシーやリモのドライバーはウーバー興隆に大打撃を受け、死活問題だと大反発。世界各地で抗議活動も巻き起こっています。

とは言ってもですな、ロサンジェルスでタクシーに乗った際、メーター13ドル25セントのところに15ドルを渡したら「チップは?」。入っているじゃないか! 「へえ、これで?」。これは気分悪いです。マダムもニューヨークでイエローキャブのクレカ自動精算を利用したら、チップ選択が22、25、27%と有無を言わせない設定で(笑)、最終的にメーターの2倍近い金額になってしまったそうな。これじゃあウーバーに客を取られても仕方ないですよね。

ウーバーの課題とは?

もちろんウーバーにも課題はあります。事故やトラブルの時の対応はどうするのか、どうなるのか。そして何だかんだいっても、システムの抜け穴を見つけ小狡いことを企む輩も出てくるのはないかと。また面接もないデータチェックのみで、利用者評価に依存した管理体制では、本当に取りこぼしはないのかどうかも気になります。

しかし、ウーバー創業者がパリでタクシー待ちで困ったところから発想したというこのサービス、特にチップで煩わしい思いをさせられるアメリカやタクシーが捕まえにくいシンガポールなどでは、トラベラーにとって「偉大なる足」になることは間違いありません。しかも事前にドライバーの顔がわかることも、何かとトラブルの多いタクシーに比べるとはるかに安心です。マダムのコラムで旅先のタクシートラブルの話題が盛り上がっていますが、機会があればみなさんも、ぜひウーバーを利用してみてください。目が開かれる思いをすること、私が請け負いますゾ。

花鳥風月

日本ではウーバーもガラパゴス化か!?

さて日本でのウーバーの動きはというと、サービスは開始されたものの道路運送法に抵触するとしていったん中止になりました。その後、大手タクシー会社と提携。現在は都内で限定数のタクシー及びハイヤーがウーバー対応車として走っています。料金は通常のタクシーだと料金に送迎料が加算され、ハイヤーの場合はタクシーの2割増。しかし深夜料金や高速代が別途発生しないため、 時間帯によっては割安感があるようです。

もし日本でも簡素化された登録方式と運転技術チェック程度でOKとなれば(ならないでしょうな日本は厳しいですから)、定年退職した男性陣や、子育て中で仕事時間が限られる運転好きなハウスワイフらには朗報ではないかと想像するのであります。とはいえ海外レンタカーでもぶっちぎりの事故数を誇る我が同胞のこと(事実です。苦笑)、混み合う街中では素人ドライバーの氾濫は百害あって一利無しではないかと。

私が考えるに、よりクルマ移動が必要な地方都市の、バスの運行など事業採算が合わず予算とのせめぎ合いに悩む地域での就業や、運転しないできない高齢者サポートとして、自治体がウーバー的サービスと上手に連携すれば需給バランス改善、予算削減、必要とされるサービスの提供など、多少なりとも望ましい形に近づく……のではと思うのですが……。

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