アメリカン・エキスプレス
ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
83

旅とホテルと通信機器

ミスターMのおいしい旅の話 旅とホテルと通信機器

海外旅行のホテル選び、中でも自分にとってベストの1軒を見つけ出すのは結構な大仕事です。かつて、日本人 ゲストにとってホテル情報の中で最も重要な情報の一つは、「バスタブの有無」でした。ところがインターネットの普及にともない、いながらにして入手できる情報量が格段に増えた結果、近頃は「無料WI-FIの有無」を知りたいという需要がダントツに高まってきています。そこで今回は、旅とITの変遷をちょっとひもといてみたいと思います。

固定電話が全てだった時代

パーソナル通信器機がまだ市民権を得ていない時代、海外旅行先での通信手段は固定電話オンリー。よってレジャーでの外遊は、文字通り非日常への脱出でした。よほどのことがない限り、誰とも連絡を取れませんからね。一方、ビジネス滞在組はそりゃあ大変でした。

私も覚えがありますが、しょっちゅうホテルに戻ってボイスメールや伝言を確認しなければならないのです。時差があれば日本とのやりとりも含め、常に意識は24時間態勢。今考えてみれば、本当に不便だったものです。

携帯電話を初めて目にしたのは、1980年代初頭だったか……。覚えておいででしょうか、あのどでかいモトローラ製のシロモノです。香港の街角で得意げに話しているおっさんを見て「公衆電話の方が安いのにナ」と思った私。若かったのですね(笑)。

かくいう私も同時期、すでにラップトップパソコンを担いで海外に出かけていましたっけ。ただ重いだけの8bit。しかし世界に先駆けて東芝が開発したオレンジカラーのプラズマディスプレイ、その魅力には抗えなかったのであります。

ホテルの電話料が上がったワケは?

そうこうしているうちに、ホテルの電話料金がグンと跳ね上がります。1990年前半のことです。交換手による手動オペレーションから、デジタル基板による自動化へのチェンジがその理由。まさにパラダイムシフトでした。

一般家庭のように1台分でハイおしまいというわけにはいきませんし、サービス向上のための他機能オプション搭載もマストとあって、大型ホテルともなれば設備投資は莫大。その回収分が「通話料」としてチャージされるようになったというわけです。しかも、つながってもつながらなくても、コール音がしたとたんに課金という、極悪な (苦笑)システムのホテルもあったんですよ。

ところがホテルにとって誤算だったのは、同時に携帯電話が猛スピードで普及してしまったこと。せっかく大金を投じて用意した客室電話の外線利用数が、あっという間に激減してしまったのです。となれば、取れるところから確実に徴収するしかありません。そう、電話回線を利用していたISDNインターネット接続です。

いやはや、ダイヤルアップの頃は悲惨でしたね。パソコンのオートリダイヤルと先のあこぎな課金制度で、使ってもいないのに10万円近い通話料を請求されたこともありました。私? もちろん払いませんよ。だってつながっていないのですからね!

WI-FI接続という「サービス」

インターネット接続はその後もブロードバンド、ハイスピードへと進化し、通信仕様もWI-FIへと変化・多様化。それにともない世界各地のホテルで、 ハイスピードインターネットやWI-FI接続無料をうたうところが増えてきました。

特に顕著なのが3ツ星以下のカジュアルクラス。コンシェルジェがいなくても、ゲストは自分のスマホでいくらでも現地情報をゲットできるので、接続無料が別の意味での「サービス」というわけです。

反対に、高級ホテルでは相変わらずバカ高い接続料を設定しているところがほとんどですな。すでに基盤はあるわけですから、さほど設備投資はかかりますまいに、なぜいまだに無料にできないのか……。

もうこれは、「そういうもの」と思うしかありませんね。ラグジュアリーホテルでは、全ての「サービス」が有料なのだと(苦笑)。 しかしリゾートフィーとして徴収されるって、やはり納得いきませんけれど。

今やスマホが全ての時代へ

携帯電話に関しては、私は海外ではGSM方式のプリペイドから始まり、ダブルSIMのプリペイドを利用していました。長らく愛用したのは、何と言ってもブラックベリー。メールが打ちやすいフォルムとメッセンジャーが便利で重宝しましたねえ。

現在はiPhone。これ1台で、全てがまかなえます。いちいち部屋に戻って伝言を確認したり、重いパソコンを担いで電圧に泣かされた過去を思うと、隔世の感があります。しかも使えるアプリがどんどん登場するので、海外にいる不便、時差、負担はますます軽減されています。

とはいえ問題もあって、誰もがスマホに頼り切りになっているのではないかという危惧をじわじわ感じています。海外に行っても、目線は常に手元。外国語の挨拶一つできなくても、スマホを差し出せば勝手にしゃべってくれるし、いつでも日本とつながれる。特に緊急の必要があるわけじゃない。単に「○○なう」とアップしたいだけ。うーん……これって人間をダメにしてしまうのでは……。

スマホを置いて街に出よう

どうしても仕事で必要な人はともかく、せめて旅先ではスマホと距離を取ってみませんか。私ものべつまくしスマホを見るのはイヤだし、一緒にいる人に対しても失礼なので、ミーティング中は基本的には「メールはオフ」「機内モード」にしています。

どうせ出られない時は出られないのですから、バイブにしておくだけムダでしょう(笑)。どうでもいい情報はシャットアウトして、自分の頭と体で対処する。その方がずっと知識も経験も豊かになるような気がします。

eチケットもホテルバウチャーも、プリントアウトせずスマホで表示するだけでOKになりつつある昨今。こうしたシステムは使いこなせると便利ですが、いざキカイが壊れたら全く何もできなくなるのも事実です。スマホは便利、でも頼り切らないーー自分にとって何が必要なのかを見極めて、常にスマホを携帯しなければという強迫観念から脱しましょう。その時、スマホは初めてあなたの有能なセクレタリーになるのだと思いますよ。

花鳥風月

通信機器こんな使い方はいかが?

これだけスマホが普及しても、まだ利用に踏み切れない人も多いようです。「利用料が高い」「必要ない」がその2大理由。しかし、こと海外旅行においては検索や情報収集に役立つことは確かですから、いつ切り替えるかが悩みどころではないでしょうか。そこで、利用料の不安がある方に私がおすすめするのが、タブレット端末+ガラケー(SIMフリー)の組合せ。またDoCoMoとSoftBank利用者ならば、ダブルSIMの3G 規格対応携帯も便利で、かなり広範な地域で利用可能です。

使い方は、タブレット端末にはSIMは入れず、WI-FI接続の 場所でのみ利用する。その他のやりとりはガラケーでの通話もしくはショートメールですませる。これなら高額な利用料の心配はありませんし、画面の大きさや操作のしやすさなど、使いようによってはスマホより優位性が高いかもしれません。今では機器自体のチョイスも増え、値段もかなり安くなったので、海外デビューにはピッタリだと思います。プリペイドSIMは各国空港でも市内でも簡単に手に入りますし、お願いすればその場でセットアップもしてくれるはず。トランジットの際にでもちょっとチェックし、トライしてみてはいかがでしょう。

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