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ハワイ島で大人ステイ
昨年末、ハワイ島とオアフ島をホッピングしてきました。ホノルルマラソン、サンクスギビングとクリスマス、さらにニューイヤーを控えた時期ではありましたが、それでもオアフはもちろん、ハワイ島も驚くほどの人気ぶり。デスティネーションをカリブやフロリダからハワイに振り替えたとおぼしきメインランドからのバカンス客がその主流で、これはアメリカ経済復活の兆しなのか、はたまた引き続き縮小方向へ向かっている証しなのか……いずれにしろ、賑やかなのは大いに結構であります。
ハワイ島はダイナミックなのにのんびり
かれこれ10回以上は訪問しているハワイ島ですが、前回から数年ぶりということもあり、いったいどんな変化が起きているのか密かに楽しみにしておりました。ワイキキの再開発が大成功だったので、少しはその影響があるのではと期待したのですな。ところが! ハワイ島は、想像をはるかに超えて何も変わっていないのでありました(笑)。もちろん、これはいい意味で、ですよ。ダイナミックな大自然と、のんびりした町の雰囲気。そしてすがすがしく快適な気候。ここには、ワイキキにはないもう一つのハワイの姿があるのです。
私が滞在していたのは島の西側、コナ国際空港から車で北東へ30分ほどの所に巨大な敷地を有する、ワイコロア地区の山側ワイコロアヴィレッジ内のコンドミニアムでした。2階に2つのベッドルーム、階下がリビング、ダイニングとキッチンという、それは広々としたデュプレックスタイプの造り。内装はハワイアンリゾートのスタンダードという感じで決して豪華ではありませんが、ゴルフ場に面した静かな落ち着きと、ビーチ側から上ったロケーションから清涼感がバツグンなのです。しかも海からやや離れた内陸ということもあり、料金はビーチ沿いに点在する宿泊施設の約半額! オアフに比べると物価が安めのハワイ島ですから、そのお得感はいや増すばかりでありました。
寂れゆくショッピングモール
ワイコロアヴィレッジにはゴルフ場の他に、大きなスーパーマーケットやロコの集うレストランもあり、遠出をしなくても不自由なく過ごせますが、車でのんびり10分も走れば高級リゾートや有名レストランが点在するビーチ地区に出ることができます。さらに15分ほど走ったカイルアコナの町では昔ながらのロコショップも健在で、マイペースで営業を続けています。ところがショッピングモールを覗いてみて呆然としました。寂れぶりがハンパじゃないのですよ。もともと日本人観光客をあてこんで造られた施設だったようですが、日本からの直行便が廃止されたことで、肝心のお客が来なくなってしまったのですね。ハワイ島における日本人マーケットの重要さを、つくづく感じさせる出来事でしたねえ。
ハワイ島で何をする?
まあ、経営者にはお気の毒ですが、私はハワイ島でショッピングを楽しもうという気持ちが、すでに間違っているのではないかと訴えたい(笑)。その欲望は、ワイキキで満足させればいいのです。それよりもハワイ島には、ここでしか体験できないことがたくさんあるじゃありませんか。本気で取り組んでいたら、短いバカンスなどあっという間に過ぎてしまいますよ。
その筆頭が、ハワイ火山国立公園の見学です。ドライブ、トレッキング、ボート、ヘリコプターとアプローチはいろいろありますが、おすすめは溶岩の流れをライブで観察しに行くラバーウオーク。生きている火山ですから、ルートはその都度異なるようですが、私の場合は車を置いて歩くこと約2時間。ほぼ1日がかりのイベントでしたが、その分の興奮と感動はひとしおでした。興味のある方は、ユニークな現地ツアーも多数あるので、いろいろ検討してみるといいでしょう。
宇宙の神秘に触れるマウナケア
ハワイ火山国立公園と双璧を成すのがマウナケアです。ハワイの人々が「宇宙へのゲート」として信仰してきた、標高4025メートルのパワースポット。日本が誇るすばる望遠鏡が鎮座しているのもここ。車でのアクセスは厳しいルールがあるので、現地ツアーに参加した方が安心ですね。展望台やサンセット・サンライズ見学、星空観察と壮大な宇宙の神秘に触れることができ、大人も子供も心奪われること必至です。
ちなみに、マウナケアは冬期になると雪が積もり、ハワイ諸島で唯一スキーができる場所だということ、ご存じですか? スキーにかけては人後に落ちないと自負している私、これはかなり興味を引かれましたが、実はずいぶんハードなのです。もちろんスキー場ではないのでゲレンデもリフトもないから、担いで登っては滑り降りる。ひたすらその繰り返し…。雪の下はゴツゴツの岩だし、酸素が薄くて高山病になる人もいるそうですから、そうそう気軽にトライできるシロモノではなさそうです。
春のハワイ島旅行はヒロで滞在を
もし、春にハワイ島旅行を考えているのなら、メリーモナーク・フェスティバルに日程を合わせてもいいですね。これは毎年イースター明けの日曜日から1週間開催されるフラ競技会で、津波被害からの復興のため、1964年にはじまったもの。現在では「フラのオリンピック」と称されるほど、フラ愛好家垂涎のビッグイベントになりました。ふだんは昭和20年代のようなひなびた風情漂うヒロですが、クムフラ(フラの師範)が一堂に介すこの時ばかりはワイルドで情熱的なオーラがムンムン。チャント(祝詞)に合わせて踊る勇壮な古典フラ、たおやかなイメージの現代フラと、最高峰のフラを通してハワイアンスピリットに浸れます。問題は、果たしてこの時期にヒロでホテルが押さえられるのかどうか、でありますが(笑)。
ゴルフデビューにも最適な島
ネイチャーアクティビティが豊富なハワイ島ですが、実は20近くもコースがあるゴルファー天国でもあります。ツアーにも使われる名門コースから、ローカルの人が気軽に楽しんでいるカジュアルコースまでよりどりみどり。キラキラと輝く海、汐風に揺れるココナッツ椰子、緑のラフの代わりに真っ黒なラバーに縁取られたフェアウェイなど、ハワイらしい景観の中でゴルフデビューなんて最高じゃないですか!
私が忘れられないのは、ロバート・トレント・ジョーンズ・シニアが、ロックフェラーに熱烈にアタックしてデザインを請け負ったと言うマウナケア・ゴルフコースでしょうか。海越え3番ショートホールが有名なここ、最近、息子のジョーンズJr.がリニューアルを手がけたのですな。それが……バンカー合計99カ所という鬼設計! 打っても打ってもフェアウェイに残らず、インTHEサンドビーチのオンパレード。ハンディ20以上の人なら、クラブを投げ出しかねない凄惨なコースであります。ところが、そこまでシビアなのに、なぜか人気があるのですなあ。確かにコンディションは最高だし、高級感があって雰囲気もよろしい。もちろんその分、グリーンフィーもお高いですが、神が宿るような美しい景観に魅了されるコースです。
レンタカーをお供にわがまま滞在を
ワイキキのような華やかさとは無縁なハワイ島。ですが私は、だからこそ、ネイチャーバカンス志向の大人旅にはもってこいのデスティネーションではないかと思うのです。大自然が相手のアクティビティやゴルフを楽しみ、ある時はプールサイドやスパで心身をリフレッシュする。すぐそばに都会的な誘惑がないと、かくも贅沢で心安らぐ時間が過ごせるのです。ただし、忘れてはならないのがレンタカーの手配。ハワイ島では、車がないとほとんど何もできませんからね。ツウになればなるほど、オリジナルの発見と共に滞在の楽しみが増えていくビッグアイランドの魅力を、みなさんもぜひ見つけてみてください。
花鳥風月/オトコのリゾートファッション
ご同輩諸氏、あなたはハワイでの休日に何を着て過ごしますか? そう、正解はアロハです。ハワイではアロハは正装ですから、アロハさえ着ていればファインダイニングもラグジュアリーホテルも怖くありません。私のお気に入りは「カハラ」。肌触りが良いオーガニックコットンなどもあり、デザインも日常に着られるような比較的渋めのものもたくさんあるブランドです。アロハ=派手と思って敬遠している方は、きっと考えが変わりますよ。
とはいえ、アロハさえ着ればいいというわけではありません。むしろ気を配らなければならないのは、それ以外……パンツや靴なのであります。リゾートで最もスマートなのは、白のバミューダショーツもしくは白のロングパンツですね。靴はシンプルなスニーカーかデッキシューズ(裸足かスニーカー用のショートソックスで)。リゾートウェアでオシャレした奥様やパートナーのエスコートには、こんなアロハやさっぱりしたポロシャツ+軽めのカジュアルジャケットがあれば万全。とりあえずは、このワンセットをスーツケースに入れて行けば安心でしょう。最後にひと言。ワンパターンなゴルフウェアでの代用はバツですゾ!