本社はカナダ
フォーシーズンズ ホテル&リゾートは、ラグジュアリーホテル界をリードしている、カナダに本社を構えるホテルチェーンです。フォーシーズンズとリージェントの2つのブランドネームを持ち、世界各地にホテルを展開しています 。現在の会長兼最高経営責任者であるカナダ人のイサドア・シャープ氏は、1950年代後半、彼の父親マックス・シャープ氏とともに建設業界に従事していました。
当時のホテルのサービスに日頃から不満を感じていたイサドア氏は、ならば自分でホテルをはじめようと決心。1960年、カナダ・トロントのダウンタウンにホテル経営会社「フォーシーズンズ ホテル&リゾート」を設立します。これ がフォーシーズンズチェーンの元祖となります。
翌1961年3月21日、彼はトロントに最初のホテル「フォーシーズンズ モーター ホテル」をオープン。しかしこの時点では、具体的な会社のビジョンや方針など、現在の目指す方向は、なにひとつ定まっていませんでした。そこで彼ら は、日々ゲストの意見や要望を聞いては多様な試みと改善を繰り返し、ゲストの心を理解し学ぶことからはじめていったのです。
ちなみにフォージーズンズの名前の由来はドイツ、ハンブルグの有名なレストラン「Vier Jahreszeiten」(英語で「Four Seasons」)にちなんでいるのだとか。またロゴマークは、その名前通り「季節」を象徴しています。よく見る と木の葉のつき具合が、上下左右で異なっているのがわかります。右上が春、左上が夏、右下が秋、そして左下が冬を表しています。
世界で唯一のホテルチェーンを目指して
1軒目のホテルがオープンしてから約10年が経過した1972年、それまでの教訓がひとつのビジョンを導き出します。それが今日の姿である「中規模でラグジュアリーなホテルのみに焦点をあてた、世界で唯一のホテルチェーンを目指す 」というもの。そしてサービスの定義は、「ゲストのニーズにかなった、パーソナルタッチの最高級のサービス提供する」であることを見出したのです。
しかし自らのスタイルを確立することに専念してきた彼らは、1960年代に新しくホテルをオープンすることはありませんでした。1970年代になってようやく既存のホテルの買い取りも含め、5軒のホテルをオープン、1980年代には11軒 を順調にオープンさせました。これらのホテルのうち、1970年のロンドン以外はすべてカナダかアメリカ。アジア進出第1号は、なんと1992年の東京、あの椿山荘だったのです。
リージェントとの合併そして・・・
東京進出の同年8月、当時すでに世界的に認知されていたラグジュアリホテルチェーンの「リージェント インターナショナル ホテルズ」と合併。これにより、社名は「フォーシーズンズ、リージェント ホテル&リゾート」へと変更 、さらなる規模の拡大とアジア地域への進出を図り、いよいよ彼らは本格的に世界へ向けて動きだしたのでした。
しかしそのわずか5年後、フォーシーズンズは、「カールソン ホスピタリティ ワールドワイド」(現在ラディソン系列などを扱うインターナショナルホテルチェーン)」に、「リージェント」のブランドネームの権利を譲渡してしま す。最高級のサービスと定評のあるリージェントチェーンを世界中に拡大したいという、カールソンの強い意向によるものでした。
協議の結果、既存の9つのリージェントホテルは名前もそのままでフォーシーズンズが管理し続け、以後新しく建設される「リージェント」と名のつくホテルは、カールソンによるフランチャイズ経営傘下に入ることになります。そし て彼らの社名も、「フォーシーズンズ ホテル&リゾート」に再び変更したのでした。
新事業の展開と世界への拡大
1997年初頭、フォーシーズンズ ホテル&リゾートはニューヨーク株式取引所に上場、さらにトロント株式取引所とモントリオール株式取引所にも上場し、経営基盤をより強固なものにします。その実績を表わすかのように、1990年代 に新規オープンしたホテルは、既存のホテルの買い取りも含め、なんと22軒にも及びました。
2000年4月には「フォーシーズンズ セカンド バケーション オーナーシップ」という新事業を開始。第1号はアメリカのツルーンノースにある「フォーシーズンズ リゾート クラブ スコッツデール」でした。
同5月には、アフリカ地域第1号をカイロにオープン。これで計23カ国、51軒のラグジュアリーホテルを管理することになり、ワールドワイドな展開をいっそう確実なものにしていきます。現在も彼らは1990年代後期に始められたグロ ーバルな拡大プログラムを続けており、8カ国で16のホテルが建設中。この順調な歩みの背景には、彼らが最初の10年でじっくりと未来ビジョンと基盤を固めたことが大きく作用しています。だからこそ今日、一流のサービスを求める 顧客のニーズを満足させることができるのです。そしてそれが、世界一のラグジュアリーホスピタリティ会社として、そのポジションを維持することを可能にしているのです。
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