ゲストもホテルという「絵」の一部
高級ホテルにはそれなりの雰囲気というものがあります。そこは社交場であり、ゲストもまたホテルシーン、アンビアンス(雰囲気)の一部。まずはその自覚が必要です。近所のスーパーに買い物に行く時の気軽さがエコノミークラス のカジュアルさだとすれば、銀座の高級デパート(あるいは青山の高級ブティック)に行く時のちょっと緊張感のあるお洒落、それが高級ホテルの滞在スタイルです。
もちろん常にドレスアップしている必要はありませんが、カジュアルからセミフォーマルまで、TPOに配慮した服装を用意しておくことが必要です。女性の場合、チェックイン/チェックアウトする時は、パンツスタイルであればジーン ズにスニーカーよりは、ゆったりめのパンツにちょっとお洒落なパンプスなどのほうがエレガントです。「履き慣れた靴」は、一歩間違うと「履き古した靴」になりますからご注意を。そしてホテル内で過ごす時には、自分もそのホテ ルの「絵」の一部となれるような、素敵な服装、立ち居ふるまいが求められます。ホテル外に観光に出る時にはジーンズにスニーカーといった、動きやすい服装でもOK。ただし、あくまでも「小ぎれいな」が基本です。
非日常のおしゃれを楽しもう
ホテル内外にかかわらずある程度のレストランでディナーを楽しむ予定であれば、少々荷物になりますが、ドレス(ワンピースやロングドレス)からアクセサリー、靴にいたるまでの一式を持参することをおすすめします。現地で買い そろえるのも楽しいですね。
男性は迷うようならカジュアルでもタイ着用が無難です。でも、せっかくの機会ですから、普段はしないような洒落たボウタイやアスコットタイなどをしてみては?男性はどうしても日常では無難にまとめがちなので、海外旅行はおも いっきりおしゃれを楽しむ絶好の機会です。クリスマスイブや大晦日のような特別な日に供されるガラディナーに出るならば、盛装での出席がマナー。男性はタキシードを着てもいいくらいです。
「絵」としてふさわしくないと…
ホテルでも、あるいはレストランでも、その場にふさわしくない、つまり絵にならないと判断されてしまうと、よい席が空いているのに隅のテーブルに案内されたり、最悪の場合にはまともにサービスすらしてもらえない、なんていう こともあります。残念ながらこうした「場違い状態」は、日本人旅行者にしばしば見られるのも事実なのです。海外の高級ホテルにもたくさんの日本人ツアー客が泊まっています。そしてツアーという団体的な行動が、多くの場合せっ かくのホテルの雰囲気を壊しています。ツアーに参加する時には、特に気をつけたいところですね。
お洒落は自分の楽しみでもありますが、やはりサービスのプロであるホテルマンはよく観察しています。ディナーに出かける際「ご機嫌いかがですか?今夜のお召し物は一段と素敵ですね」と声をかけられるなんて、嬉しいではありま せんか。5スターホテルは社交場。お洒落をさり気なく決めて、ファーストクラスの旅を満喫してください。