一般に宿泊設備を有する施設をアコモデーション(Accommodation)といいます。ホテルとは、その中のひとつであり、施設の形態によってさまざまな呼び方があります。ここでは、その代表絵的なものをいくつかご紹介しましょう。
- コンドミニアム/サービスアパートメント/レジデンス
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いずれもキッチンや洗濯機など、長期滞在するための設備が備えられた宿泊施設のこと。リゾートではコンドミニアム、都市部ではサービスアパートメント、サービスアパートメントよりハイクラスのものをレジデンスと呼ぶことが多いようです。
客室はリビングとベッドルームがセパレートになったタイプが一般的で、中長期ステイやグループ、ファミリーでの旅行に向いています。キッチンには「フルキッチン」と「キチネット」の2タイプがあり、フルキッチンの方はその名の通り食器・グラス類、包丁・まな板、電子レンジ、トースターなどが完備しています。それに対して「キチネット」は、流しと電子レンジ、簡単な食器のみといった、いわば「簡易キッチン」です。
こうした宿泊施設の敷地内や近隣にはコンビニエンスストアやスーパーマーケットがあり、食材、調味料、洗剤など生活必需品がそろえられるよう配慮されています。料理するのが面倒な人のために、ケータリングサービス(出前)があるところも多く、これも便利です。
- ブティックホテル/プチホテル
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ブティックホテルとは部屋数が100室(50室以下とも)程度の、専門性を持ったホテルのこと。著名デザイナーが丸ごと内装を手がけていたり、独特のトータルコンセプトを持つなど、簡単にいえば「お洒落なホテル」といえるでしょうか。近年は世界的にブティックホテルが大はやりで、「これがホテル!?」と目を疑うようなユニークなものが続々登場しています。ちなみに日本では「ブティックホテル」は「ラブホテル」の別称となっており、この創意と工夫に満ちた独特のスタイルが、世界中のブティックホテルに影響を与えたとか与えなかったとか・・・。
プチホテルとは客室数50室以下の小規模ホテルのこと。ヨーロッパの地方都市に多く、ほとんどが個人や家族による経営です。築年数が100年を超える歴史遺産とも呼べるような建物を利用しているものあり、数代にわたる歴史を誇る由緒あるホテルありと、いずれも個性的なものばかりです。
- マナーハウス
- 由緒あるカントリーハウスや貴族の屋敷をそのまま宿泊施設にしたもの。アンティークな家具や暖炉、そして壁に飾られた先祖代々のポートレイトが、本物のイギリスを実感させてくれます。ここでのマナーはシャトーホテル/ロマンティックホテルのものと共通します。
- ホステル/イン/B&B
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ホステルとは比較的低価格で利用できる宿泊施設のこと。YMCA、YWCAなどの経営によるものが有名で、バックパッカーに人気があります。客室はホテルと同レベルの快適なプライベート空間を有するものから、バス・トイレが共同で、大人数を収容できるドミトリーと呼ばれるものまでさまざま。
インとは比較的低料金の、カジュアルなタイプの宿。昔、旅人が馬を休めるために入った酒場から発生した宿泊施設ともいわれ、今も1階は地元の人が集まるパブやレストランになっているところも多いようです。
B&Bは「Bed & Breakfast」の略。文字通り宿泊と朝食をセットにした簡素なタイプの宿で、日本でいう民宿的な雰囲気。一般の民家の空き部屋を改造したところも多く、料金が手頃な上、家庭的な雰囲気を味わえることから個人旅行者に人気があります。また宿泊のパターンで、一般のホテルに泊まる場合「朝食付きの宿泊」のことを「Bed & Breakfast」と呼ぶこともあります。
- オーベルジュ
- フランスの田舎に多い、料理が自慢のホテル。あるいは宿泊施設のついたレストラン。小規模のホテルが多く、料理だけでなく家庭的なサービスも魅力のひとつ。こういったホテルでは、ぜひとも自慢の料理を味わってみてください。日本でも、レストランが自慢のペンションなどにこの名称を使うところが多いようです。
- アルベルゴ/アグルトゥーリズモ
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アルベルゴとはイタリアで「ホテル」の意。現在はレストランを備えた宿屋、あるいは宿泊施設を備えたレストランなど、料理自慢の経営するホテルと認識されるケースが主流です。リーズナブルな価格で楽しめる自慢の地元料理は味わってみる価値あり。
アグリトゥーリズモは農家に泊まりながら収穫などの自然体験ができる、イタリアの民宿または農園ホテルのこと。農作業などの体験に加えて、地元料理やチーズづくり、ワインのテイスティングなど体験できる種類はさまざま。イタリアの中でもトスカーナ地方が有名です。最近は土地活用の目的で、あるいはホスピタリティ豊かな農家等のオーナーが、純粋に宿泊専用の部屋を設けているケースが増えています。広くゆったりとした部屋や個性的なインテリア、プールや馬場などの施設もあるなど、個性あふれる個人(家族)経営ホテルといったところでしょうか。
- シャトーホテル/ロマンティックホテル
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ヨーロッパの城や貴族の屋敷、別荘だったものを改造した宿泊施設。歴史と伝統に守られた宿泊施設として現代に至っているものが多く、土地や建物のみならず、家具・調度品・絵画なども大切に保存されています。
かつては「住居」だったのですから、部屋はそれぞれの大きさや形が違っていてもおかしくはありません。隣の部屋にはバスタブがついているのに自分の部屋にはない、あるいはインテリアが全く違う・・・というのもよくあること。一般のホテルのような画一的なサービスや種々の館内施設などは、シャトー/ロマンティックホテルの売り物ではありません。オリジナルな建物、施設などの歴史、伝統、継承された古い文化こそが味わいなのです。そのためちょっと不便を感じることもあるかもしれませんが、そこがシャトーホテルでありロマンティックホテルであるゆえんなのです。
このようなホテルでは、ディナーも楽しみのひとつ。ダイニングルームでは腕の立つお抱えシェフによる絶品フランス料理が味わえることでしょう。もちろんワインセラーも充実しています。大都市の営利目的のレストランと違い、価格もとてもリーズナブルです。
≪知っておこう≫ シャトーホテル/ロマンティックホテルに泊まるなら
一流のホテルやシャトーなどでは、その場に合ったふさわしい態度や服装を無言のうちに求めています。そんなサインを雰囲気やスタッフの態度から感じ取り、きちんと応えるゲストは厚い尊敬の念をもって迎えられます。例えばヨーロッパにおける「カジュアル」とは、夕食の服装なら男性はジャケットにタイ、女性はセミ・フォーマルです。決してジーンズやラフな服装などではありません。節度と品格をもってその場その場に合わせたTPOを楽しんでください。
基本的なテーブルマナーは、常識として勉強しておくことをおすすめします。また喫煙には特に配慮が必要です。食事中は当然ながら禁煙です。食後にたしなみたい時は、まずホステス/ホストに「Do you mind if I smoke?」または「May I smoke a cigarette?」と許可を得ます。「ひとこと言う」のではなく、あくまで「許可」だということを忘れずに。そしてテーブルを見回し他の客人にももう一言聞き(今度は「聞く」です)、異論がなければ吸っても構いません。
設備については、なにしろ歴史的建造物なのですから、すべての建物が美しいシンデレラ城とは思い込まないでください。テレビ、ラジオ、エアコンなどがない場合も多くあります。水回りだけは最新の設備でも、天井や床、家具調度品は何世紀も経たオリジナル。古びていることこそが、本物の証明であり価値なのです。
バスルームは近代的なシャワー設備などがない、猫足のバスタブにハンドシャワーだけという場合もあります。このようなバスでは静かにゆったりとつかり、シャワーのお湯をあちこち飛ばさないように静かに体を洗います。使用後は飛び散った水をきれいに拭き取っておきましょう。また客室とは別になっている「アウトバススタイル」の場合は一度廊下に出ますので、面倒でも服装には気をつけてください。バスローブが備え付けてあるなら、それを利用して構いません。利用方法がわからない時は、恥ずかしがらずに気軽にオーナー、スタッフにたずねましょう。