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海外でオペラはいかが?
サロンの常連スカーレット様からのご質問。「マダムはお気に召された街には何度も足を運ばれますか?」。そうですわね、何度も訪ねる、というより、何度も訪ねてみたい、という気持がいつもありますわね。何しろ人生の半分以上を過ごしている東京ですら、まだ行ったことがなければ降りたことがない駅もあるほどですもの。いわんや外国をや。「こんなところもあったのね!」という嬉しい驚きは、いつでもどこでも何度でも! それに、好きな街ならいくら行っても飽きないものですわよ。脳内データの上書きもまた楽しい作業です。
オペラは難しくも敷居が高くもありません
さて今回は、海外でオペラを楽しみましょう、のご提案でございます。むむ、聞こえてきそうですわ?、いろんなご不満の声が。「オペラってどこが面白いの?」「気取ってて難しそうでイヤ」「当然歌い出すのが変」「ていうか、あの体型でなぜ結核で死ぬ!?」。はいはい。オペラとかクラシックって聞いただけでシエーッとなってしまう方、多いかもしれませんわね。特に日本では「お勉強」「おハイソな趣味」みたいなイメージがありますし、有名アーティストの来日公演だと「一月の家賃が払えますが?」なチケット料金。敬遠されるのも当然かもしれませんわね?。
だからこそ! 海外での鑑賞は「クラシックつまらない」を打破する最高のチャンスでございますのよ。中でもいちばんのおすすめがオペラ。乱暴に言ってしまえば、オペラはそもそも「気持ちのいい音楽で泣き、笑う」ための大衆的な娯楽だったのです。敷居は実はとっても低いんですのよ。
オペラと出合うためのポイント2カ条
有名オペラのストーリーをご覧なさいませ。不倫、貧乏、身分違いの恋、愛欲、権力闘争etcと、まるでワイドショーのネタのよう。そして多くのオペラのラストシーンが「死」。夢オチならぬ死オチなのDEATH。展開だって超ベタ。難しいことなんてひとつもありません。だからうまい具合に面白いオペラに当たれば、一発ではまります。ねえ、まるで漫画やゲームと同じじゃありませんか!
そこで、オペラと感動の出合いをするための心得を2点ご紹介しておきますわね。ひとつは有名かつストーリーが単純なタイトルを選ぶこと。有名なオペラには「あ、聞いたことがあるよ!」というメロディやアリアが出てきます。それだけでもぐっと印象が変わります。また喜劇よりは悲劇の方がわかりやすいかもしれません。次に、これが最も肝心なのですが、鑑賞前に必ず詳しいあらすじを把握しておくこと。字幕がなくても、何が起こっているのかちゃんとわかれば退屈しなくてすみます。細かいセリフのやり取りなんてこだわらなくてよし! ポイントはこれだけ。でも、この2点を実行するだけでオペラの楽しさは全く違うものになるはず。マダムが保証いたしますわよ!
チケットはインターネットで楽々入手
読者の楓様(お久しぶり!)から、「ミスターMのコラムで登場したマダムヨーコさまのワルシャワオペラ鑑賞、とてもおもしろかったです。一人での観劇は私もロンドンで初体験しました。芝居自体は楽しめたのですが、幕間どう過ごそうとか、終了時刻が遅いので、無事にホテルに帰れるか、とか一人で見に来ていることで、引け目みたいなものを感じてなかなか落ち着かなかったのです」とのお便りをいただきました。というわけで、ひとりオペラ鑑賞攻略法もついでに伝授いたしますわね、みなさま。
まずはチケット入手。インターネットで目指す劇場のサイトから簡単にできます。代行してくれる会社もあるようですが、手数料が結構高いので、納得できない場合は自力で頑張りましょう。劇場によっては購入時に座席指定も可能。またウィーン国立歌劇場のように、希望料金帯を伝えて「予約の予約」を入れ、改めて割り当てを待つというやや面倒くさいシステムのところもあります。確認メールをしっかり把握して権利が失効しないように気をつけましょう。また、ほとんどが予約と同時にクレジットカードで料金が引き落とされ、変更やキャンセルがききません。くれぐれも日程の調整は慎重に!
歌劇場の近くのホテルに滞在すれば便利&安心
現地では当日の制限時間前までに引換券と本チケットを交換しに行きます。時間がないときは、滞在ホテルのコンシェルジュに依頼しておくという手もあります(チップははずむこと)。当日券を購入するなら劇場の窓口へ。スカラ座のように自販機がある劇場なら、チケットの有無から座席位置まで簡単にチェックできますわよ。これで準備完了。あとはできるだけおしゃれをして出かけましょう。
ただし、いくら大衆の娯楽からスタートしたと言っても、欧州の歌劇場は立派な社交場。ハレの場に出向くなら、やはりそれなりの服装をするべきです。そして華やかな雰囲気に思いっきり酔うのです。ああ、その楽しさよ! ひとりだって気にすることはありません。幕間にシャンパン片手にロビーをうろついたり、人間観察にいそしんだり。そういえば、かつてベルリン国立歌劇場で、同行の二子玉マダムったら、幕間に「ノルマンディーの生き残り」だというご老人に熱烈に口説かれていましたっけ・・・。ププッ。
終了時間が遅くなりそうなときは、奮発してでもタクシーを使いましょう。こういうときにケチってトラブルに巻き込まれたらすべてが台無しです。もしくはマダムのように、最初からオペラ鑑賞をハイライトと考えて、滞在ホテルを劇場の近くで選ぶと安心です。たいがいの歌劇場は街の中心エリアにありますから、観光や外食にも不自由しませんわよ。
華やかな場には華やかな服装で!
いずれにしろ、ひとりでも気兼ねなくオペラ鑑賞するための最大のキモは、やっぱり服装、かしら。フォーマルでなくてもいいので、エレガントに。ジーンズはもちろん斜めがけバッグやブーツやカットソーやスニーカーは、おやめになって! いくら天井桟敷やジーンズシートでも、ですわよ! これぞトラヴェジェンヌの心意気ざます!! よろしくって!?
ノルマンディーの生き残りはともかく(このご老人、あとで奥様にめちゃくちゃ怒られてましたわよ、プププッ)、もしかすると隣のシートにものすごい大富豪がっっ。そして、ああしてこうなって・・・という可能性もゼロではありません。歌劇場はいろいろな出合いが待っている素敵な場所。ぜひ一度、本場の歌劇場に足を運んでみてくださいませ。それでは、みなさま、また次回。Ciao!
「ソウル帰国でのアクシデント、本当に大変でしたね。『忘れたーー!』と気づかれた時のヨーコ様の気持ち、よくわかります」。なんと豪傑トラヴェジェンヌのマダムマッチ様も「以前成田で荷持を宅急便で送って帰宅する際、その荷持の中にうっかり家の鍵を入れてしまったのです」というイタイご経験が。ご子息の会社まで受け取りに行かれたそうです。南無?。
旅に欠かせないアイテムについて、星野様は「耳かき、しかも竹製の。綿棒ではダメなのです」とのこと。「ちなみに私の中では耳かき、爪切り、毛抜きでワンセットです」。そうそう、毛抜きって実は大事なんですのよね。フフ。
知的トラベラー代表の静岡のtak様。その旅支度は、機内持ち込みできる軽くて丈夫なショルダーバッグのみ。「何週間の旅でも基本的にスーツケースは使いません。1週間位の衣類なら問題ありませんし、旅の期間が長い場合はあらかじめコインランドリーがあるホテルを予約しておきます」。ほーう、ホテルの施設でコインランドリーの有無を確認するとは、なかなかツウな。ちなみにtak様がスーツケースを持たないのは、乗り継ぎで荷物がロストするリスクを避けるためなのだそうです。出張の多いビジネスマンは、どうぞご参考に。
みなさま、いつも楽しくまたためになるお便りありがとうございます。次回はいろいろ届いているご質問にお答えいたします。旅のことでもなんでも、「マダムに聞きたい!」ことがある方、どうぞお便りくださいませね。
「Brava! bravo! bravi!」
オペラ通になった暁には、素晴らしい舞台を見せてくれた歌手に声援を送りたいもの。日本人は誰にでも「ブラーヴォ」と言いがちですが、これは男性に向けての賞賛。女性には「ブラーヴァ」、舞台にズラリと並んだ男女には「ブラーヴィ」と複数形でどうぞ。オペラだけでなく、イタリア旅行で何か感動させてもらったときにも、同じように使い分けてみてくださいね。
食わず嫌いは運を逃す
何でもやってみなければわからない。頭ごなしに否定するだけでは、人生の楽しみをいくつも逃してしまいますよ!