アメリカン・エキスプレス
ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
63

コンシェルジェ&バトラーの付き合い方

ミスターMのおいしい旅の話 コンシェルジェ&バトラーの付き合い方

海外旅行をするならやっぱり高級ホテルに泊まりたい! 特に超円高な昨今、そう思う人は多いのではないでしょうか。きちんとした服装やマナーをもってすれば、まあたいがいのホテルは恐るるに足らずではあるのですが、我ら日本人、これだけはどうしても苦手な存在が・・・。そう、コンシェルジェやバトラーです。今回は「海外のホテルでやってみよう!」シリーズ。彼らとの上手な付き合い方のヒントをお話しします。

コンシェルジェとバトラーの違いは?

最近では4★クラスにも登場してきたコンシェルジェ。そもそもはフランス語で「アパルトマンの管理人」という意味で、20世紀初頭のヨーロッパのホテルではゲストを迎える門番がこう呼ばれていたそうです。当時ホテルを利用できるのは限られた階級のみでしたから、勝手のわからない土地で頼りになるのは、このコンシェルジェ。管理だけでなくしだいにさまざまな要望を満たす役割を担うようになっていったのが、今日の原型となったわけです。

そんなコンシェルジェはありとあらゆる情報に通じ、コネクションを持ち、どんな無理難題にも完璧に応える旅先の知恵袋のような存在。あのコンシェルジェがいるかからあのホテルに行く、という上得意を長年ガッチリつかんでいます。ですから、たとえ総支配人が代わってもコンシェルジェは代わることはありません。というか賢い経営者なら絶対に手放しません。彼らの知識・知恵・人脈はホテルの財産であり、高付加価値。余人を持っても代え難いものなのです。

一方、日本では「執事」と訳されるバトラーですが、その役割は平たく言えば召使いです。本来ならば「コーヒーが飲みたい」「手紙を出しておいて」「部屋に花を飾って」「車を呼んで」「荷物のパッキングをして」「買い出しをしてきて」といった日常の手伝いから、「テニスの相手をして」「ショッピングに同行して」といったコンパニオン的な事柄までの一切を引き受けます。基本的にバトラーは客室ごとにつくもので、中には1室に複数というケースもあります。ま、最近はフロアごとなどというセコい(笑)バトラーシステムも登場し、かなり眉唾化していますけどね。

コンシェルジェとバトラーの「仕事」

とかくコンシェルジェとバトラーは混同しがちですが、格式は常識的にはコンシェルジェのほうが上でしょう(特に燕尾服風の黒服に襟章が付いていたら、それはホンモノの証)。彼/彼女らは定められた場所に常駐している、つまり「動かない」存在です。反対にバトラーは、あなたの手足となって「動く」のが仕事。もし双方のいるホテルに滞在したら、まずお願い事はバトラーにするのがいいでしょう。しかるべき内容であれば、バトラーからコンシェルジェに依頼が行きます。注意すべきは、バトラーに頼むべきことをコンシェルジェに頼んではいけないことですね。

とはいっても、ふだんの生活で召使いなどを使うことのない「近代平等社会」日本で暮らしている私たちは、コンシェルジェやバトラーとどうコミュニケーションを取ったらいいのか、よくわかりません。ましてや役割分担を把握して思うように使いこなすことなど無理難題。結局、いることは知っていても全部自分ですませようと四苦八苦したりするわけです。

しかし高級ホテルに泊まるのなら、その格式にふさわしい「ふるまい」というものがあります。部屋でハンバーガーが食べたくなった? いいでしょう。でも自分で買って持ち込んではいけません。食べたければバトラーに買いに行かせるのが、このクラスのゲストのあり方です。どのレストランに行こうか悩んでいる? では、ガイドブックをひっくり返す前にコンシェルジェに相談してください。ジャンル、予算、ロケーション、すべてを聞いてドンピシャの1軒を選んでもらう。これが「高級ホテルのゲスト」ということなのです。

ミラノの凄腕コンシェルジェ

私もかつて、ミラノの5★Lホテル滞在中に「ドン・ジョヴァンニ」のガラチケットを手配してもらったことがあります。バレンボイムの指揮でスター歌手総出演。事前入手は全く不可能という超プレミアム。しかし、コンシェルジェは見事ゲット。さらに彼は、服装から観劇前後の指南までしてくれました。ギャレリアのあそこで1杯エスプレッソを飲んでから行け、終わったらゆっくり食事をしろ、その時はどこそこのリストランテへ等々。正装の用意がないというと、サッとリストを作成。メモにあった靴屋に行き、コンシェルジェのサインの入ったメッセージカードを渡したら、下へも置かない扱いです。当然のことながら大変な物入りになりましたが、劇場はガラらしくみなブラックフォーマル&イブニング。恥をかかずにすんだこと、心から感謝しました。忘れられない思い出です。

ファーストコンタクトは「挨拶」から

そんなコンシェルジェへのチップですが、基本的には出来高払いでOKです。関東人(?)は先に渡した方がいい仕事をしてくれるのではと思いがちですが、彼らは手配をするのが仕事。チップの多寡はその難易度と結果で決めればいいのです。ホラ、高級レストランだと食べれば食べるほど、チップの額も増えるでしょう。それと同じです。ちなみに、私は先のチケット手配の時は、当時で100ドル相当のチップを渡した覚えがあります。そして何か相談したら、最低でも1ドルは渡すこと。これであなたの印象はグッとよくなります。

このようにコンシェルジェは何かあればその都度相談というイメージがありますが、関係を密にするよりテクニックをコッソリお教えいたしましょう。それは、チェックイン後に、まず顔を見せに行くこと。簡単ですよね。もし滞在中にいろいろ世話になりそうだなと思ったら、挨拶がてら20ドルくらい渡しておきます。特に何か頼むことはなさそうだな、と思っても10ドルほど渡しておくといいでしょう。この「挨拶(自己紹介を兼ねてどんな予定をしているか、等などのおしゃべりでOK)」の効果は、滞在が長くなればなるほど如実に表れます。まずロビーを通るたびにコンシェルジェに注目してもらえるし、何かあったとき、また急ぎの時は優先して対応してもらえるはず。とりわけ接待や手土産など何かと面倒が多いビジネス滞在時なら、そのありがたさが身にしみることでしょう。

できるコンシェルジェの見分け方

ところで、みなさんもお気づきでしょうが、コンシェルジェは比較的年配が多いですよね。経験値が豊かになればなるほどコンシェルジェとしては有能なわけですから、ま、それも当然のこと。若造じゃ太刀打ちできないのですよ。またヨーロッパの歴史あるホテルにいる老コンシェルジェなら、まず間違いなく優秀です。とっつきにくそうな外観に臆することなく、果敢に攻めてみてください。話せば柔和なタイプもたくさんいます。最近は老若コンビのコンシェルジェというパターンも増えてきました。その理由はコンピュータ検索。さすがの重鎮もグーグルだけは使いこなせないようで・・・(笑)。

泊まり客でないゲストにもきちんと対応してくれるかどうかも、コンシェルジェの力量を図るひとつのポイントです。私はウィーンで目当てのホテルが見つからず、夜中に困り果ててグランドホテルに飛びこんだことがあるのですが、そこのコンシェルジェの丁寧で親切だったこと。感激して、翌年の訪問時に手土産持って再会に。おそらく彼はまだグランドホテルにいることでしょう。かのような人材がホテルの格を作っていくのです。

コンシェルジェを使ったことがない人もうまく使えない人も、次回からはとりあえず「挨拶」してみませんか。顔見知りになれば、ホテルそのものの居心地もだんだんよくなっていくもの。スタッフの態度も変わってくるでしょう。ちょっとしたお願い事も、そのうち気軽にできるようになれるかもしれませんよ。

マイフェイバリットホテル

マイフェイバリットホテル オトナ仕様の大満足ホテル

ハンサー バンコクは、昨年12月のソフトオープン以来、ずっと気になっていたホテル。まだバンコクでは稀少なSLH(スモールラグジュアリーホテル)のメンバーで客室数95、フォーシーズンズやセントレジスなどの超級ホテルがあつまる一角とロケーションは最高。登場するや否やトリップアドバイザーでバンコクホテルのトップに躍り出ただけあって満室続き。このほど、ようやく1泊だけすることができました。ゲストは香港やマレーシア等のアジア系エグゼクティブが中心。リッチそうな家族連れやカップルも目につきました。

客室はダークウッドとモノトーンでまとめた内装。シャープなライン、天井の高さが際立つローライズの家具・・・ふとバリのアリラ ウルワトゥが思い浮かびました。バスルームはガラス張り、タイ人言うところの「セクシーバス」仕様(笑)ですが、圧倒的にモダンかつ洗煉された雰囲気。まさしくオトナのプライベート空間であります。特に私が気に入ったのがベッド。柔らかいので警戒したものの、意外なほど抜群のホールド感で全く腰に負担がかからないのです。スタッフもイケメンぞろいで気がきいていますから、もはや言うことなし。レジャーでもビジネスでもおしゃれに使いこなせる1軒ですゾ。

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