19世紀後半からの産業成長で、いわゆる大富豪が誕生したアメリカでは、彼らの別邸の役割を果たすべく豪華なホテルが登場しました。その代表的な1軒がザ プラザです。贅沢な生活に慣れた人々を満足させるため、その内装は豪華さを極め、またサービスのクオリティも徹底的に追求されてきた結果、ザ プラザはアメリカどころか世界でも最高峰のグランドホテルとして、名声を確立するにいたりました。デザインはダコタ・アパートを手がけたことで知られるヘンリー・J・ハーデンバーグ。「世界一豪華なホテル」にふさわしい美しいシャトースタイルの建物でした。
バブル期には日本のゼネコンが所有していたりと、その長い歴史でたびたびオーナーが変わったのもこのホテルの特徴です。しかし最大の危機は2005年。大手ディベロッパーによる買収の後、分譲されるという計画が人々に知れ渡ったのでした。抗議は激烈でした。各種メディアで取り上げられ、市長まで仲裁に乗り出したほど。最終的には一部をレジデンスにすることで合意し、ホテルは存続の危機を免れたのです。そして2008年、約400億円という莫大な資金を投じた改装が終了し、ザ プラザは再びニューヨークのシンボルとして復活したのでした。
客室数は282室とかつての3分の2程度になってしまったものの、その半数がスイートで全室に24時間バトラーが待機するなど、行き届いたサービスはかつてのザ プラザそのまま。客室はロココ様式の優雅なデザインでプリンセス気分に浸らせてくれる一方、すべての客室からのリクエストはiPadで受け付けるなど、最先端のシステムも採り入れています。この改装で力を入れたのがダイニング「パームコート」。創業当時のインテリアを再現した気品と格調あふれる空間で、ビジネスミーティングからロマンティックなディナーまで、終日多くのエグゼクティブが足を運びます。ヒチコック作品から最近のハリウッド映画の撮影にまでたびたび利用され、小説の舞台にもなってきた名門中の名門。今でも一度は泊まってみたいあこがれのホテルに変わりはありません。
コロンバスサークルを挟んでセントラルパークの向かいに2004年オープンしたタイムワーナーセンターは、それまで閑静な住宅街だったアッパーウエストサイドを、一気にトレンドエリアへと牽引しました。この75階建ての高層ツインタワー、ガラス張りのシャープなビルのノース35〜54階がマンダリン オリエンタル ニューヨークになっています。賑やかなショッピングゾーンの一角にある専用エレベータでホテルのフロントへ。扉が開くと同時に目に飛び込んでくるエレガントな空間に、まるで別世界に来てしまったような錯覚を覚えます。
このホテル最大のセールスポイントは、その素晴らしい景観でしょう。ロビーエリアからダイニング、客室、そしてスパやプールにいたるまでほとんどがピクチャーウインドーになっており、どこにいても摩天楼都市マンハッタンを一望することができるのです。またマンダリン オリエンタルといえば本拠地の香港を筆頭に、そのハートウオーミングでさりげない心遣いが高く評価されていますが、ニューヨークでもそのマインドは変わりません。チェックイン時からはじまる丁寧な応対は、スマートが基本のニューヨークで強いられた緊張を柔らかく解きほぐしてくれるかのようです。
デザインコンセプトは東洋的な「ゼン(禅)」とニューヨークモダンの融合。客室に飾られた絵画やテキスタイルはオリエンタルテイスト、そして家具や調度品にはミッドセンチュリーのビンテージタイプを採用。繊細さと落ち着き、そしてエキゾチックな雰囲気を巧みに演出しています。とりわけレインシャワー付きセパレートシャワーブースが設けられたバスルームは高評価。フラットテレビが置かれ、のんびりとした入浴やメイクアップタイムをさらに楽しく過ごせます。バスアメニティの香りにもこだわるなど、客室でとことんリラックスしてほしいという気持ちが伝わってくるでしょう。ちなみに一部客室ではビルで景観がさえぎられてしまいますので、気になるなら事前に確認を。
- 緊急コールセンター
- トラブル対処法
- 空港からのアクセス
- お役立ちリンク集