マダムヨーコの辛口旅サロン「目指せエレガント・トラベラー」
Vol.
72

旅先で自分を守るために

マダムヨーコの辛口旅サロン 旅先で自分を守るために

みなさま、ごきげんよう。今回はフランスひとり旅番外編として、コルマール日帰り旅行のレポートを送りしようと思っておりましたが、その前に。海外で日本人が事件に巻き込まれるニュースが続いたせいか、「海外で不測の事態は、どう切り抜けたらいいのでしょうか」というご質問を多数いただきました。そこで、改めて海外旅行、特にひとり旅での身の守り方を考えてみたいと思います。

マダム、パリで劇場型犯罪と遭遇す

まずはマダムが遭遇した、最新の犯罪手口から。パリからの帰国日のことです。エアポートバス乗り場までスーツケースを転がしていたわたくしは、停留所手前の交差点で信号待ちをしていました。すると隣に来た小太りで人の良さそうな中年女性が、「あら?」という様子でかがみ込みます。その手には金の指輪が。「あなたの?」という問いに「いいえ」と答えると、「じゃあ、あなたのラッキーチャームってことね!」と手渡そうとします。キタキタキターーーーーー!

知ってますわよ、その手口! 受け取ったら「私にもラッキーを分けて」とお金をせびるんざましょ~~。これって一時期はやった「ケチャップ付いてますが」スリや、「署名お願いします」サギなどのプチ劇場型犯罪最新バージョンなんですのよねっ。もちろん、わたくし「No!」の一言で無視しましたけど、やっぱりひっかかっちゃう人、いるのでしょうねえ・・・。

事前の情報収集でリスク回避

日々進化する犯罪テクに、わたくしたち旅人はどう立ち向かうか。それは簡単。きちんと情報収集することでございます。先のサギやスリの手口だって、知っていれば確実かつ効果的な方法で対処できるはず。必要以上にうろたえたり、あわてたりすることもありません。そして、こうした情報は本、雑誌、インターネット等のメディアで、いくらでも調べることができるのです。よくいますわよねえ、「下調べ? メンドくせえ。行けば何とかなるでしょ」なんてスカしている人(男性に多し)。そういう人に限ってカモられたりするんですのよね。無頼派を気取ってイタい目に遭う・・・本当に情けない限りでございます。

海外で無防備すぎる日本人男子

男性で、もう一つ気をつけていただきたいのが、身の回りに無防備すぎることでございます。これも先頃、南仏バカンスに行った友人マダムに聞いた話ですが、ぎゅう詰めのトラムで、ご主人が財布をすられたのだとか。彼女曰く「女性は体をガードするために、人混みの中だと自然にバッグを胸で抱えるでしょ。でも男の人って割と無頓着なのよね」。そうですわねえ。そういえば、そんな光景、よく見かけますわねえ。

すんごい低い位置に付いたヒップポケットに長財布を入れて、平気で歩いている日本人男子。バッグを指に引っかけ肩に乗っけて歩いている日本人男子。背中にボディバッグを赤子のごとく装着し、みじんも気にしないで歩いている日本人男子。電車のドア脇にあくまでも陣取り、足の間にバッグを挟んで置いている日本人男子。わたくしですら、「盗ったるで!?」と思います。それにひったくったところで、ヤツらはパンツを腰履きしてるから全速力で走れません。靴もとんがりすぎてるしネッ。そのファッション、その態度、日本ではイケてても、海外ではすられほーだい、カモられほーだいだとご自覚あそばせ~。

几帳面すぎるのも考えもの

反対に女性に多いのが、綿密にスケジュールを立て、その通りに行動しないと気がすまないというケースかしらん。決めたことができないと「もったいない」「負けた」、果ては「私ってダメ人間」と三段スライド逆方式で落ち込んでしまう。うん、それ、わたくしもちょっぴりわかります。特に移動はそうですわね~。乗り遅れやストに遭遇すると「お、終わった・・・」。どうしていいのかわからずボーゼン、途方に暮れてしまうのです。犯罪者はそんな瞬間を見逃しません。親切を装って、弱った気持ちにつけ込んできます。

気持ちを切り替える、お金を惜しまない

もちろん、中には本当に親切な人もいるでしょう。でも、他人をあてにする前に、まず自分ができることを考えておくべきなのです。何より大切なのはすぐに気持ちを切り替えること。「なんで」「どうして」はとりあえず置いておいて、「どうするか」に集中する。前向きに切り替える。そのために大切なのも、やはり情報収集です。リスクが発生しそうな場面には、あらかじめ次善策を構築しておく。帳尻を合わせるために無理をしない。そして対応にはお金を惜しまない。

これ、実はとても重要です。とりわけ交通手段、宿泊施設に関しては、安ければ安い方がいいなんて決して思わないこと。状況によっては、そのケチ心が命取りにすらなってしまうのです。飛行機も、リムジンタクシーも、高級ホテルも、必要に応じて利用する。そのきっぱりとした判断力も備えましょう。またそんな場面に備えて、ファッションにも気を配ること。夜遅く、女ひとり、大荷物という時は特に気をつけなければなりません。派手すぎず、安っぽくなりすぎず。気軽に声をかけにくいオーラを醸し出すことが肝心です。

万が一は当事者の問題だけではない

スケジュールのない旅や、行き当たりばったりの旅にあこがれる気持ちもわからないではないのですが、それはどんな状況にあっても自分でトラブルを切り抜けられるという、自信と覚悟のある人にのみ許されるスタイルでございます。また旅先で万が一のことがあった場合、打撃を受けるのは当事者だけではありません。あなたの行動の結果は家族や友人だけでなく、思わぬ所に思わぬ影響を与えるのだということを、常に肝に銘じていてください。

前にもお話ししましたが、マダムはいつも無事に旅から戻ってこられることを幸運だと思っております。いつ、どこで、どんなトラブルに巻き込まれるか。こればかりは、本人がいくら気をつけていてもわかりません。ですから、せめてイザというときに、最も適切な行動が取れるように。みなさまも、どうぞお気をつけて、楽しく安全な旅をお楽しみくださいね。では、また来月。Ciao!

聞かせて、あなたの声を

まずは、何といってもこの方、H.Y様! 思い起こせば初めてのお便りを拝読したのが昨年の8月末。そしてこのたび、ちょうど100号目で最終回とのお知らせをいただきました。時にユーモラスに、時にしんみりと、旅を軸に広がっていくさまざまな話題は、いつもマダムに大きな刺激を与えてくださいました。近いうちの再開、そしていつかどこかでの邂逅を心から楽しみにしています。本当にありがとうございました。これからもお元気で、素敵な旅をお続けください!

narun様からはお初のお便り。アジアのホテルで枕の上に置いて外出、戻ってみると掃除はまだでしたがチップだけ消えていたとのこと。「ホテルのお部屋に入ってくるのは、ハウスキーパーだけとは限りません(例えば、ミニバーチェック・補充係など)から、他の誰かが持っていたのだと思います。やはりチップは、お部屋をキレイにしてくれるハウスキーパーさんに持っていって欲しいので、以来、キーパーさんなら気が付く、枕の下に置いてます」。これは経験に基づく素晴らしいご報告! そう、何事にも「絶対」はないんですのよね。わたくしもnarun様を見習い、臨機応変に物事に対応していく所存でございます!

「8月お盆のエアーがバカ高い時期に妻と二人で」パリに行かれたのは、wukky様。やはりビストロでの食事のボリュームを心配し、情報収集の果てにアラカルトでオーダーを。「シェアも嫌な顔をされることは全くなくNo問題でした」とのことです。みなさまも、お試しあれ。そしてパリで普通のコーヒーが飲みたい時は「キャフェ・アロンジェ」と告げてみてください。これは、いわゆるアメリカンのこと。エスプレッソに飽きたらシルブプレ~。

情報といえば、お久しぶりのムック様からは「パリには暗黙の、そして独特のルールがあるのが当たり前」とのご指摘が。そしてパリを楽しむためにぜひ読んでほしい本として「パリノルール」(能勢千詠子編集・メディアファクトリー)をおすすめくださいました。これはトラヴェジェンヌの必携アイテム! みなさまもご一読を!

最後に、マダムが大爆笑した微笑むモナリザ様! ひとり旅のパリで「かなり無理して高級フレンチを頂きましたが、おなじくなにかあまり口にあわず、その後、オペラ座付近でラーメンを食べました」。もうっ、なんて同じコースなのかしらっ。「フランス料理より、ラーメンに愛着を感じるとはお互い日本人です・・・」。ですわよね~。ああ、笑った!

使えるワンポイント英会話

「I am sorry I can´t be of any help.」

「すみませんがお役に立てません」という意味のフレーズ。知らない土地で道を聞かれる、何かをたずねられる、署名を求められる・・・そんな自分でもどうしていいかわからない時に使います。ともあれ、訳のわからないことを言われたら、相手をせずにきっぱりとこの一言を。

他にも、あらゆるシーンで役立つ英会話がそろってます!

マダムイラスト
マダムイラスト

ケチ心が命取り

快適で思い通りの旅をするために、そして不測の事態を回避するためにも、お金は惜しんではいけません。その出費があなたの身を守るのです。

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