ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
85

猛暑緊急対談「バリ島は萌えているか!?」

ミスターMのおいしい旅の話 猛暑緊急対談「バリ島は萌えているか!?」

夏の初め、久々にバリを訪れた私は、ほんの数年の間にこのリゾートが大きく変わりつつあることに驚愕しました。そして私の帰国と入れ違いに、偶然バリを訪れていたのがマダムヨーコ。マダムも4年ぶりのバリ訪問だったそうです。ヴィラやスパのホスピタリティとクオリティの高さから、リゾートとしてのバリの実力に太鼓判を押していた私たちを戸惑わせた、その変化とは……。今回はマダムとの緊急対談。バリ島の現状と展望を2回にわたりお届けします。

街歩きは刺激よりも安心が優先

マダムこうしてミスターとじっくりお話しするのは、久しぶりですわね。それにしても、ロンドンのサボイホテルでスイートに滞在したお話、素敵でしたわ~。わたくし、あまりイングランド方面は興味がなかったんですけれど、ちょっと行ってみたくなりましたもの。

ミスターいやいや、ロンドンの多様化はすごいよ。キャナリーワーフもそうだけど、再開発されたエリアの有名レストランのランチタイムは、有閑マダムばっかりでね。雰囲気も料理もかなりおしゃれなんだよ。伝統的なものへの固執から踏み出したというか、どんどん進化している。とはいえ、昔ながらのロンドンタクシーもきちんと走っているから、不思議となごむんだよね。

マダムわたくしは、どうも昔の暗~いイメージしかないんですのよ。

ミスターところが! あのパンクの殿堂カムデンロックですら、劇的に変わっている。とにかく大賑わい。各種マニアが集まる原宿みたいなものかな。車で流しただけだけど、これは一度来なければと思うくらい熱気があってね。まあ、そこに私好みのものがあるかどうかは疑問だけど(笑)。

マダムミスターは海外では、かなりディープなエリアにも足を運ぶんですの?

ミスターまあねえ、治安の悪いところは慣れているし、そういう場所におかれても不安は感じないんだけど、近頃は一人で街をぶらつく時に、そういうところにあえて行きたいとは思わなくなってきたんだよ。ずっと気を張っているのも疲れるし、そんなワクワクはもう必要ないというか……トシかな(笑)。

マダムいえ、よ~く、わかりますわ、その気持ち(笑)。

気になるバリ島のゴミ問題

マダムところで、いかがでした、バリ? 確かミスターも前の訪問から少し時間が経っていたんですのよね。

ミスターいや、ロンドンじゃないけど、こっちの変化にも驚かされたよ。いちばんマズイと思ったのが、あらゆるところにゴミが増えていること。

マダムああ、そう言われてみると……。

ミスター90年代初頭は、まだ処理は適当だったけど、その後、急激にリゾートとして発展した頃は、環境整備にも力を入れ始めたのか、本当にきれいになっていた。ところが、ここ数年でその結界が破れたというか……加速度的にひどくなりつつあるね。

マダムちょっとホテルの裏手をのぞくと、ゴミが無造作に捨ててあったりしますものね。

ミスター一方でエココンシャスなホテルも増えてきているけれど、ゴミ処理は今後、インドネシア最大の課題になると思うよ。12,000近くもの島々からなる国だから、なかなか中央官庁のコントロールが届かないんだろう。切れ者はみなジャカルタに集まっちゃって、バリにはマクロの視点でモノを見ることのできる人材が、いまだに育っていないような気がするんだ。

マダムわたくし、スミニャックやクタのごちゃごちゃした雰囲気を見て、何だか、かつてのパタヤを思い出してしまいました。

ミスターそう! そうなんだよ! ジンバランからウルワツに行く道もゴミが目につく。焼却場がないからね。自然ゴミじゃないものが増えているのに、解決策が講じられていないし、統制もない。このままいったら30年前のパタヤになっちゃう。

マスタープランのない発展

マダムちょうど今、APECが開催されている頃かしら。それにあわせて、あちこちでガンガン開発工事が進んでいるように見えましたけど……。

ミスター発展における基本的なマスタープランがないんじゃないかなあ。私は20年以上にわたってバリを見てきているけれど、道路をはじめとしたインフラなんかほとんど昔のままで、全然良くなっていないでしょう。

マダム確かに、今回は渋滞のひどさに閉口しました。相変わらずバイクがのんびり道の真ん中を走っているから、車が追い越すに追い越せないで数珠つなぎに(笑)。

ミスターインドネシアでは1日にバイクが2万台、バリでは1日に1600台バイクが売れ、車が53台売れているんだって。それだけ増えているのに、ただ舗装するだけでメンテもケアもほとんどナシ。車線を増やすとか通行規制をするとかの取り組みもない。高速道路や幹線道路を造ったとしても、そこに至るまでのアクセスには目が届いていないんだよ。

マダムわたくし、深夜に到着してウブドまで移動したんですけれど、時間が時間だし1時間もかからないだろうと思っていたんです。ところが、きっちり1時間半はかかりました。高速道路ができたら少しはマシになるのかしら?

ミスターゴミと同じく渋滞も大問題。1日オプショナルツアーに参加したら、「ツアー時間の半分は車の中だった(怒)」っていうクレームもあるようだよ。もはや「行きたい場所」の近くに宿泊拠点を構えないと、移動が大変すぎてそれだけで時間がつぶれちゃう。バリも、ますます渋滞地獄のバンコク化していくのかなあ。

マダムああ、では、昔のようにジンバランやレギャンに宿を取って、滞在中に日帰りでウブドに遊びに行くなんて……。

ミスター早朝に出発しないと、ほとんど車の中だよ(笑)。

隙間があればホテルを建てる

マダムそれにしてもバリ、ホテル造りすぎでは(笑)。

ミスター隙間があれば、とにかくホテルや別荘を建てている(笑)。とはいえ、ここ数年で大増殖しているのは、1~2ツ星の安宿が中心。要するに造りもサービスも安普請なの。でも、たとえ小規模のロスメンでも従業員は必要だから、雇われた人は家からバイクや車で通勤してくるわけで、それがまた渋滞の引き金になってしまうんだね。

マダム昔はライステラスが広がっていたクロボカンやチャングーあたりまで、各種宿泊施設が乱立しつつありますから、渋滞は中心エリアだけの問題ではありませんわね。

ミスターでも、まあ、悪いことばかりではないんだ。宿泊施設の増加は地元の人の雇用促進につながるし、旅行者にとっても、宿泊施設の選択肢が増えるというメリットがある。特にバリは全体的に宿泊料が高騰してきているからね。

マダム高いホテルばかりになってしまったら、ハネムーンなんかで「一生に一度行けばいい」クラスのリゾートになってしまいますものね。

ミスターうん、バリはもっと身近なリゾートで、老若男女だれにでもアピールできる魅力を持っている事には変わりないからね。今からでも開発の方向性をコントロールして、インフラ整備に力を入れていけば、世界に二つとない素晴らしいリゾートアイランドとして君臨し続けられるはずだよ。実際、バリ島の中でも、サヌールは見事に「バリの雰囲気」を保っているしね。

マダムわたくしも同意しますわ。そのサヌールに関しては……あら~、次号に続くなのですね。みなさま、では、どうぞ灼熱緊急対談(暑さが増している。笑)後半をお楽しみに!

マイフェイバリットホテル

マダムおすすめバリの「ちょうどいい」ホテル

バリと言えばヴィラ。贅沢な空間とサービスで夢のような滞在を約束してくれる宿泊施設ですが、ミスターもおっしゃるとおり、ラグジュアリークラスのヴィラは、「ちょっと気軽に」とはいかない料金なのも事実です。そこで、普通のホテルじゃつまらない、でもヴィラには手が届かない、けれど印象に残るホテルに滞在したいという方におすすめなのが、スミニャックのアイズとウブドのアラヤ リゾートです。

アイズ(現地では「イジー」と発音したほうが通じます)は、ヌサドゥアにあるザ・バレの姉妹ホテル。シンプルでスタイリッシュなコンセプトは似ていますが、こちらはよりポップで若々しい雰囲気。ただしプールにダイレクトで飛び込める部屋は、日が当たらないのでイマイチかも……。ウブドのアラヤ リゾートは、クタにあるわたくしの大好きなヴィラ デ ダウンの姉妹ホテル。ホテルスタイルですが、ヴィラに近いイメージの客室はカップルにもピッタリだし、「ダラ・スパ」も、あのゴージャスな内装のまま! 2軒とも、ホテルにはこだわりたいという方なら、きっと喜んでいただけるはずです。

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