ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
78

こんなミステリースポットはいかが?

ミスターMのおいしい旅の話 こんなミステリースポットはいかが?

みなさま! ミスターご多忙によるSOSにて、マダムヨーコが出張ってまいりましたわよ~。今回はちょっと毛色を変えて、せ~か~い~の~ミステリースポットのお話なぞ。えっ、マダムにそういう趣味があったのかと、驚かれています? ふふふ。実は、意外と好き☆ ひとり旅で滞在期間がたっぷりある場合は、まず、そういうところからグイグイ攻めていくのが、マダム式スケジューリングなんですのよ。

トレドで見る暗黒中世史

ずいぶん前にもちらりとお話ししましたが、わたくしマドリード滞在中にトレドまで遠征したことがありました。目的はエル・グレコの作品鑑賞。ところが、観光シーズンでもウイークエンドでもなかったせいか、とにかく人出が少ないのです。迷路のような小道ともなれば、人影はまったくなし。こわっ。中世の亡霊が出てきそう~。なんてワクワク(?)しながらぶらついていたところ、拷問博物館を発見。昔から中世のダークサイドに興味のあるわたくし、すかさず入りました。受け付けにパンクスタイルの若者を配していたのも、素晴らしい演出でしたわね!

わたくし、こういう博物館を見学するといつも感じるんですが、人間の想像力ってスゲ~。特に「怖」「痛」「苦」といったマイナス方面に注がれる情熱はハンパありませんのよね。あんなもので脅された日にゃ、そりゃ~魔女狩りにも、全体主義にも走りますって。しかも、苦痛を与えるためのアイテムが見た目は優雅ってのがオソロシイ。正しいと信じていることを、苦痛や恐怖で曲げられそうになった時、自分はどうするのか。いざという時、いかに見苦しくなく生き汚くなく運命を受け入れられるのか。な~んて文学的なことまで考えてしまいます。ヨーロッパの各地にある拷問博物館の類いは、心臓の強い方におすすめのスポットです。

カルカッソンヌのカタリ派の城

中世は、信仰の異端者を更正するという大義名分で、身の毛もよだつ拷問が行われていたわけですが、「異端」なんて権力者の都合のいい言い分であって、つまるところ単なる反抗分子の弾圧だったんですわね。ま、中にはマジで悪魔とか崇拝しちゃうチームもいましたから、やるほうもやられるほうも必死です。そんな異端者の有名派閥がカタリ派です。独特の戒律と、カトリックでありながら反キリストっぽい思想をベースにしていたカタリ派は、フランス暗部の独立気風を背景に勢力を拡大してきたため、13世紀に十字軍による大虐殺で殲滅されてしまいましたの。

そんなカタリ派が潜伏した場所の一つが、フランスはカルカッソンヌ郊外の険しい山の中にあった、ケリビュス城とペイルペルテューズ城です。2つとも見上げるような断崖絶壁の上に建つ「要塞」です。うわ~、どうやって食料とか補給したんだろう。やっぱり最後は兵糧攻めだったのかしらん。ここ、周囲の景観も素晴らしいんです。それだけに、ふと鳥肌の立つような恐ろしさも感じます。宗教関連のスポットではインパクトかなり大。アクセスが困難なだけに、ミステリアス度もぐっとお高いですのよ。

バリの風葬の村トルニャン

生活と密着した信仰と華々しい宗教行事で知られるバリ島ですが、実は今でもひっそりと風葬が行われている村があるんですのよ。バリ島東北にそびえるバトゥール山の裾野に広がる湖の東側、崖の下にうずくまるように位置するトルニャン村がそれ。既婚者を風葬で見送る風習を保ち続けているバリアガの人々が暮らしているのですが、かつては観光客が足を踏み入れる術もなく、ナゾの村としてウワサされるのみでした。しかし2006年に道路が開通! 一気に「訪ねていけるミステリースポット」になってしまったんですの。

入村のためには寄付が必要ですし、撮影も場所によってはチップを求められます。これは村の人々にとっては貴重な収入源ですから、素直に渡した方がよいですわね。とはいえ、どうしてもトラブルの元になりがちなので、行くのなら現地ツアーやガイドをお願いした方が安心かと(マダムも現地の知人に相談いたしました)。現地では当然のことながらふざけた態度や、面白半分の行動は厳禁。肌を露出しすぎる服装もバツですわよ! ズラリと並ぶ骸骨や木下に横たえられた遺体は、かなりショッキングな眺めです。しかしこの風習の背後にある歴史や、死者に対する考え方を知ると、ただ「気味悪い」だけではなくなるはず……です。くれぐれも心してお出かけください。

マレーシア、ハン・トゥアの井戸

パワースポットの多くは英雄譚と結びついていることが多いのですが、ハン・トゥアの井戸もその系列です。マラッカの南にあるドゥヨン村で生まれたハン・トゥアは、無名兵士から海軍提督にまでのぼりつめた伝説の勇者。単なる筋肉バカじゃない証拠に、多言語ペラペラでもあった模様。そんな天才が掘った井戸だっていうんですから、霊験あらたかと信じられていても不思議はありません。聖なる水のおかげでケガが治った! 病気が回復した! バカ息子が改心した! などなど奇跡のご報告はマレーシア中に流布しております。

さらに、井戸の中にはハン・トゥアの化身である白いワニが住むとのウワサも。ワニは心の美しい人にしか見えないのだそうです。ふ~ん。マダムの出かけた日は、ワニさん、ちょうど外出していたみたいですわねえ。ざ~んねん。というか、よーするに、白いワニが見えるような純粋な人間であれってことでしょっ(←逆ギレ)。マレーシアの中では有名なスポットですが、現場は意外とショボ……いえ、質素なんですの。過大な期待をせずにご訪問あそばせ~。

花鳥風月

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