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ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
14

魅惑の都市でプチ・グルマンを楽しもう~韓国編

ミスターMのおいしい旅の話 魅惑の都市でプチ・グルマンを楽しもう~韓国編

例年に増して旅また旅の慌ただしい日々の続く2007年、この10月はバリから戻ってすぐ韓国に出かけました。噂には聞いていましたが、アジア各地の為替の上がり具合には呆然としますね。今回も両替したウォンに「これだけ!?」と思わず声が。まこと、円強しの時代は遠くになりにけりです。それでもグルメ王国韓国で舌を楽しませずには帰るわけにはいきません。今回も素晴らしい体験をたっぷりいたしました。

江原道で霜降り牛三昧

北朝鮮との境界に位置する江原道(カンウォンド)は、かつて朝鮮戦争の激戦地となった場所。今日では全くその名残もなく、ビーチあり、ゴルフコースあり、山歩きに寺巡りも楽しめる一大行楽地になっています。とりわけ登山が大好きな韓国人には大人気のようで、週末には国立公園でもある雪岳山に向かう道が大渋滞。駐車場は完全装備のオバチャンだらけ。すごい熱気でありました。この江原道の入り口にあたるホンチョンの町で、名物の霜降り牛を食べるべく車を停めました。店の名前は「林巨星」。いわば韓国の松阪牛のようなブランド肉とのことで、とろけるような舌触りにうっとり・・・したのも最初の数枚だけ。いや、確かにおいしいのですが、もはや私のトシでは脂が強すぎてつらいのです。若いときならいくらでも平気だったのに、とちょっぴり悔しい思いをしました。

キムチは北朝鮮風、シーフードもいける

このあたりはイカをはじめとした新鮮なシーフードを使った海鮮鍋やおぼろ豆腐も有名です。海鮮鍋はとにかく辛いので注意してください。面白いのはキムチが赤くないこと。北朝鮮風の水キムチなんですね。冷麺も北風の平壌冷麺(ムルレンミョン)が一般的です。でも、これでもかと突き出しが出てくるのはいずこも同じ。しかもどんどんお代わりが出てきて、メインの料理が出てくる前に突き出しだけで満腹になるほど。韓国人にいわせるとこの突き出しがお店の評価を決める重要なポイントになるそうです。突き出しをケチる店はダメ。おいしくて(これは当然)、ボリュームがある突き出しが無限に出てくること。これが「おいしい店」の基本なのだとか。ひとつ勉強になりました。

ロッテ ホテル ワールドの「桃林」に絶句

今回、ソウルで滞在したのはロッテ ホテル ワールド。1980年創業ということもあり、一時は「古い」「うるさい」「立派なのは見かけだけ」と何かと評判が悪かったのですが、全面改装をしてファイブスターにふさわしい格式を取り戻しました。ソウル中心部のホテルが軒並み高額になっている現在では、穴場的な存在といえるでしょう。惜しむらくはテーマパークに隣接しているため、客層がちょっと賑やかということ。まあ、部屋に入ってしまえば豪華で優雅ですから問題ありませんが。

このホテルに入っている中華レストラン「桃林」は、私が近年食べた本場の味に匹敵するレベルでした。その日は仁川空港からホテルに直行。チェックインもそこそこに駆けつけたので、せわしない気持ちでいっぱいだったのですが、一口食べただけでノックアウト。いまだに味がよみがえるほどの素晴らしさだったのです。潮州風のあっさりとした味付けに、コリアンらしいテイストがミックスし、伝統的な中華料理とはちょっと違うヘルシーコンシャスな料理の数々。丸ごと出てきたフカヒレは中でも格別でありました。お供はチリ産のこっくりとしたメルロー。赤ワインがぴったり合って、最後の最後までため息の連続。サービスももちろん上等。高級店の名に恥じない名店といえるでしょう。

韓国グルマン御用達の「ガオン」

ソウルはもとより韓国の美食を知り尽くしている知人が連れて行ってくれたのが、狎鴎亭洞(アックジョンドン)の鳥山公園近くにある「ガオン」。地下にあるのですが表には小さな看板だけで、一見でレストランとはわからないような門構え。内装はコンクリートの打ち放し、ライトアップはLEDという前衛的なフレンチかイタリアンのような空間です。スタッフも白シャツと黒のギャルソンエプロンに身を固め、アジア的な雰囲気はみじんもなし。供されるのは洗練されたコリアンキュイジーヌ。ディナーはプリフィクススタイルです。最も印象的なのが、プレゼンテーションの美しさでしょう。有名陶器メーカー廣州窯(クァンジュヨ)が経営を手がけているだけあって、はっとするような見事な器が使われ、繊細な盛りつけをさらに引き立てています。まるで和の懐石を思わせる料理はヘルシーかつやさしい味わい。ランチには手頃な値段で韓定食も楽しめますが、エレガントなディナータイムがやっぱりおすすめ。ぜひお洒落をして出かけてみてください。

眞露はオーソドックスなものにとどめを刺す

韓国で食事の際のアルコールといえば眞露ですが、今回の滞在中はほとんどがワインでした。韓国は現在空前のワインブームのようで、フランス産の高級なものから手頃な第三国ワインまで、どんなレストランでもびっくりするくらい豊富なワインリストが用意されています。そんなご時世の中、若い人の焼酎離れを引き留めるべく、焼酎の代表的メーカー眞露でもよりライトなチャミスルなどの新ブランドを発売しています。さて、そのお味はというと・・・うーん、物足りない。フルーティすぎるというか、浅い味というか。やはり焼酎はガツンときてくれなければ。というわけで、私は眞露はオーソドックスなタイプ愛好派なのであります。

世界各国の中でもヘルシーフードとして名高い韓国料理。街角で豪快に焼き肉にかぶりついたり、ビビンパや冷麺で手頃にすませるのもオツなものですが、時には少し奮発して高級レストランに足を運んでみませんか?そこには従来の韓国料理をアレンジした、目にも舌にも驚きの新しい一皿が待っていますよ。

教えてミスター

教えて!ミスターM!

前回のチップに関するお話には、たくさんの方から好評をいただきました。
そしてリエさんからはこんな質問も。

「高級ホテルでのチップのマナーは心得ているつもりですが、5★や4★のアジアの高級ホテル(タイ・ベトナム・中国・台湾・インドネシアなどなど)も、やはりチップが当たり前でしょうか?」

その通り、もちろんチップは必要です。アジアでも名実ともにスーパーラグジュアリーのホテルに滞在するなら、欧米と同じようにピローチップに5ドル置いてもおかしくありませんが、そこはお得なアジア、5スターなら3ドル、4スターで2ドル、3スターで1ドルを目安にしてよいかと思います。「高額のチップを渡すと相場が上がるからローカルの相場に合わせる」という話も聞きますが、これは全くの間違い。そこに住んでいる駐在員でない限り、ビジター外国人がローカルの基準に合わせるのは、ムチかケチと評価されることに。ローカルの基準に合わせていいのは物価相場が日本と同じところ(上海など)と心得ておいてください。

この数年間で、どれだけアジア各地の物価が上昇しているか実感されているでしょう。たとえばタイ。かつては赤い100バーツ紙幣というのは高額紙幣でしたが、現在では日本円で300円そこそこ、現地の人も気楽に使う紙幣になりました。現地の人のサラリーも幅はあるものの約3?5倍にもなっています。そんな場所で、十年一昔の10バーツ、20バーツというチップは懐かしき忘却の彼方です。しかも高級ホテルはレストランなどを利用すればよくわかりますが、値段はもう決して「ローカル」ではありません。ゲストがそれに見合ったチップを渡すのは当然のこと。何度も言いますが、チップを置かなかったからといって問題が起きるわけではありません。スタッフのにこやかな態度も変わらないと思います。でも、あなたが「大切なゲスト」として遇される上質なサービス感は確実に異なってくるはずです。旅の上級者を目指すのであればチップはケチってはいけません。美味しい食事には、上質なスパイスが欠かせないではありませんか。たとえ身近なアジアであっても、高級ホテルに滞在するならば、それにふさわしいふるまいが上質な旅のエッセンスです。

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