ギリシャ様式

柱と梁からなる直線的な造り。神殿に代表される、重厚で均整のとれた様式。

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— ギリシャ建築とは —

パルテノン神殿

アクロポリスの丘にそびえるパルテノン神殿

「ギリシャ」と言われて、皆さんは何を思い出すでしょう?きっと多くの方が「パルテノン」のような遺跡や神殿を思い出すのではないでしょうか。その通り、ギリシャ建築はこれらの神殿に代表される重厚でどっしりとした建築様式です。

今から約2500年も前の様式ですが、その後少しずつ形を変えながら世界中に広がり(遠くは日本の法隆寺や唐招提寺の柱の形にも影響を与え)、今もさまざまなところで目にすることができます。また長い歴史の節目節目で人々が何か新しい様式を模索する時には、“一つの完成された古典”として、必ずといってよいほど参照され、引用されてきました。

このようにいろいろな意味での「原点」であるギリシャ様式を取り上げてみたいと思います。

— ギリシャ建築の特徴 —

ギリシャ建築の特徴は、調和と均整を重視した直線的な造りで、神殿に代表されるようにどっしりとして重厚感があること、そしてたくさんの柱が狭い間隔で並んで屋根をささえていることが上げられます。

●3つの柱のスタイル

ギリシャ建築は、柱の形状によって時代の古い順に次の3つに分けることができます。

・ドーリア式…ぼてっと太い印象で、柱の上下に飾りっ気がない。(パルテノンは、このドーリア式の最高傑作です。)

・イオニア式…柱はやや細目で、柱頭に羊の角のような飾りがついている。

・コリント式…柱頭に技巧的で華美な装飾がついている。
※コリント式の柱頭についている飾りは、「アカンサス」という南欧原産の植物の葉を組み合わせたものです。

3つの柱のスタイル

●列柱建築

また、たくさんの柱が狭い間隔で並んでいるのもギリシャ建築の特徴です。

ギリシャ建築の様式は、柱と梁(はり)というきわめてシンプルな構造から成り立っています。石の柱と柱の間に、別の石材を横に架け渡して梁とし、その連続で建物を構成しているのです。(図1)

様式図

(図1)柱と梁の構造
この柱のことを「ポスト」、梁のことを「まぐさ」または「リンテル」、柱の中心から柱の中心までの間の距離(柱間距離)を「スパン」といいます。

もし、柱間間隔を広くしようとすると、それだけ長大な石材が必要になり、自分の重みで折れてしまう危険性があります。

柱間距離が7mの建物を想像してみてください。高さ1m、長さ7mの石を柱の上に掛け渡すと、今にも折れそうです。折れないようなプロポーションの石、例えば長さ7m高さ1.5mの石は1つ100トン前後になります。そんな巨大なものを掛け渡すには、とんでもなく大掛かりな建設装置が必要となってしまいます。

このようにギリシャ様式では、柱と柱の距離は上に渡した石材以上の大きさにはできず、結果として神殿のような大きな建物にはかなりたくさんの柱を並べる必要があったのです。(図2)

様式図

(図2)パルテノン神殿の平面図 “柱だらけ”なのがよくわかります。

ギリシャ建築の基本的な構造は、石の柱と柱の間に、石材を渡すことで成り立っています。ですから柱と柱の間隔を広くしようとするとそれだけ大きな石材が必要になりますが、あまり大きな石は自分の重さで折れてしまうので、ある一定以上の間隔にはならなかったのです。そのため、神殿のような大きな建物には、かなりたくさんの柱を並べる必要がありました。

上のパルテノンの写真も、よく見ていただくと外側だけでなく奥の方にも柱が並んでいる様子が、おわかりいただけるのではないでしょうか。

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