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ひとり旅の「これだけは忘れずに」
みなさま、ようやく梅雨も明けたけれど、今年もあっつい夏だわ?とヘトヘトしていらっしゃいますか? 結局、インフルエンザに怯えたマダムママの懇願により、リベンジ親子旅行inソウルを断念したマダムヨーコでございます。「そうねえ、では次回はとりあえず温泉にしときましょうか」と提案するわたくしに、「そうっ。それがいいわ?」と、心なしか食いつき気味のママ。ひょっとして彼女も、「ムスメと海外に行くのは存外キツイ」と身にしみてしまったのかしらん・・・。
本当に行きたければ何としても行く、それが旅
ところで、ストレス解消にひとり旅したい、というマダムの主張にたくさんのご賛同いただき、ありがとうございました。一方「ひとり旅してみたーい。でも、あれもこれも不安で踏ん切りがつかなーい」というお悩みも頂戴いたしました。ひとり旅は「したい」と思ったときに、思い切ってトライする。これに尽きますわね。仕事が?、家族が?、恋人が?と後ろ髪を引っ張るアイテムは多々ありましょうが、基本は自分次第。本当に旅に出たければ、人間どんなことでも何とかやりくりできてしまうものなのです。二の足踏んでしまうとしたら、それはあなたが「旅」を心から欲していないだけ。そういう時は、パッションが充満するまで待てばよろしいのです。
到着日のホテルを予約しておけばストレスなし
自由で気ままで、とっても気楽なひとり旅。それだけに、心得ておかなければならないこともいくつかございます。まず基本中の基本は、事前にある程度スケジュールを立てておくこと。トラヴェジェンヌのみなさまは、おそらく期限なし予算最小のバックパックの旅はなさらないと見越してのご注進ではございますが、最低でも到着日のホテルは予約していった方がいいですわよ。現地に到着して空港やツーリストインフォメーションで手配するという手もございますが、長旅の疲れ、ネゴの手間、そして何より期待を裏切るホテルをあてがわれたときの落胆。しかもひとり旅だと、慰め合えるパートナーもおりません。愚痴を言ってもひとり。旅のスタートとして、こんな悲しいことはありませんもの。
また各地を移動する旅ならば、日本にいる段階でできるだけ情報を収集しておくこと。行き当たりばったり、何とかなるサで出向いていって、休みだったとか数時間待ったとか。いや、その程度ならまだよろしいのざます。旅のハイライトが全部ひっくり返るような目に遭うやもしれませぬ。前回のコラムでご紹介した読者のマダムマッチ様のお言葉ではありませんが「そんなことは事前に調べておけ」なのでございます。
現地の人とのふれあいは敬意と距離を忘れずに
続いて現地でのお心得。うまく表現できないのですが、マダム的に言いますと「現地の人の好意をアテにした旅をしないこと」。国によってはふと知り合った旅人を、家族同然にもてなしてくれることがあります。素晴らしい思い出になりますし、何かを考えさせてくれるかけがえのない機会になることでしょう。でも。でも、です。行けば何とかなる、声をかけてくれた人がいい人なら、もしかすると宿泊から食事まで面倒見てくれるかも。それを期待して、ホテルも取らないお金もそこそこで旅に出る・・・なんてこと、トラヴェジェンヌのみなさまなら、なさらないですわよねええ!!
現地の方々の生活は「ネタ」ではありません。ああっ、うまく言えなくて超もどかしいのですが、自分は日本というさまざまな面で大変恵まれた国からやってきた「訪問者」なのだと、常に自戒の気持ちを忘れないようにしたいものです。敬意に基づいた距離をきちんと取り、その上で現地の方々との出合いやふれあいを大切にいたしましょう。
自分の身を守るのは自分だけ
涙涙のご親切がある反面、オレオレ詐欺なんて目じゃないくらい、世界にはあらゆる工夫を凝らしたハイクオリティ&ハイスペックな犯罪が日々発生しております。「自分だけは大丈夫」という過信はやめましょう。たとえば門限を設けるのはどうでしょう。初めての土地へのひとり旅であれば、外食をしても20時までにはホテルに戻るなどの自己コントロールを。現地で知り合った人と気があって夕食をともにする場合は、なるべくホテルの近くか、ホテルに歩いて帰れる距離のところを選びます。
自分を守るのは自分だけでございます。途中「変だな???」と感じることがあったら、すぐに退席する勇気も持ちましょう。人間のカンは意外と正しいし、バカにしたもんじゃありませんのよ。ひとり旅は同行者というストッパーがないため、ついつい羽目を外してしまいがちですが、後悔先に立たず。慎重すぎる=意気地なしではありません。
冒険気分で「治安が悪い」と言われているエリアに、わざわざ足を運ぶのも感心しません。時には大げさな伝えられ方をしているケースもありますが、のこのこ出かけていって痛い目にあっても、誰もあなたに身の安全を保証してはくれません。どうしても、という場合にはやはりホテルやツーリストインフォメーションで、現地の生の情報をしっかり確認してから行動するようにしてくださいね。
マダム、フィレンツェでオヤジに騙される
ここで久々に、マダムの失敗談をお話ししようかしらん。フィレンツェでのことでございます。優しそうなタクシーのドライバーと話が弾み、郊外観光に連れて行ってもらうことに。トーゼン、迎えに来てもらうためにホテルを教えますわね。これがまずかった。観光が終わってからも「夕食に行かないか」「明日はどうする?」と怒濤のナンパ攻撃。うまく交わしたつもりでしたが、朝、ホテルを出るときエントランスで待っているではありませんか! ひーー。
「忙しい」「恋人と会う」など大嘘つきまくりであきらめさせましたが、最後に「キス付きの挨拶をしてサヨナラしよう」と。それって交互の頬にチュッチュッチュッってやるやつですわよね。まあ、それなら・・・と頬を差し出したらガッシと顔を固定され、唇にブチューーー!!! ぎえーー。ず、ずるいぞ、オヤジっっ。ま、マダムも大人ですからヨヨと泣き崩れたりはしませんでしたけど、モトは取ったといわんばかり、風のごとく去っていったオヤジのイタリア魂に脱帽。ほんと、あの国は油断も隙もありゃしないっす。
旅先では毅然とふるまい颯爽と歩こう
マダムは先の失敗で、反射的に笑顔になる自分をとくと反省いたしました。ナンパが激しいエリアでは、気分はソフィア・ローレン(古いか?)。オラオラ雌豹系で対峙しなくては! わたくしそんな安い女じゃございません、というオーラを全身から放って過ごすのでございます。
ということは、服装も気を配らねばなりませぬ。フォーマルにという意味ではなく、肌を露出するなら「やり過ぎ」と「粋」のバランスをしっかり見極めてくださいね。モデル体型でないわたくしたち、色白で湿度の高そうな日本人の肌見せは、本人が思う以上にエロいことをお忘れなく。腰高スレンダーorパッツンパッツン&日焼け命の欧米人女性とは、同じ格好をしても印象が全然違う! 彼女らは「ヘルシー」だけど、日本人は「淫靡」と喝破したのは、仕事で海外在住の経験もある我が頼もしき友の二子玉マダム。うーむ、たしかに。
じゃあ、何を着ればいいのよーうという悲鳴が聞こえてきそうですが、ポイントは本人の毅然とした態度。エロいファッションでもいいんです。堂々としたふるまい、伸ばした背筋、颯爽とした歩き方、これさえできれば大丈夫。かわいこぶって、ちまちまナヨナヨきゃらきゃらしているのは撒き餌同然。モーストデンジャラスでございます。
フルレングスドレスは絶対使える旅アイテム
あっ。そういえば今年はやりのフルレングスドレス。これは使えますわよ?。日本人のいまいち貧相な骨格(特に脚)をカバーし、若くても年配でも抜群にエレガントに演出してくれるベストアイテム。アクセ次第でタウンウエアにもドレッシーにも大変身。折しも町はバーゲン真っ盛り。トロピカルでもエスニックでも、お気に入りが見つかったらファスト系のショップでぜひご購入を。旅先、とりわけリゾートでは何年でも使いこなせる最強定番になること、マダムが保証いたしますわ。
最後に、ひとり旅のなくてはならないヘルパー、ガイドブックにお願いがありますの。カタカナ英語でいいから、固有名詞の読み方を書いていただきたいのです。英語や現地語のままでは用を足さないのです。旅先のコミュニケーションは基本バーバルですもの。発音がわからない故に行動が億劫になること、あなたはありませんか? ネイティブの発音と違うことなど百も承知なんですから、ぜひカタカナ表記を!! この問題、みなさんはどうクリアしてらっしゃるのでしょう。マダムに知恵をお授けくださいな。それでは、みなさまの素敵なひとり旅が成就することを祈りつつ、また来月。Ciao!
一人旅のマダム様から、エストニアのホテルのサウナで遭遇した由々しき事態のご報告が。女性の利用時間にジャクージに入っていたところ「あろう事か男性が隣に入れてくれと目の前で服を脱ぎ始めたのです(結構イイ体をしているのは確認しました)」。ぶははっ。チェックしたんですかっ。しかしご自分は「一糸まとわぬ姿」故、男性に抗議をしたところ「ホテルの決まりは関係ない。君と僕の問題だよ」。挙げ句の果ては「僕は日本を旅行した。温泉は男女混浴じゃないか」。頑張って撃退しても「5分後にはまた来る始末。イタリア男はかくもめげないものなりと、後で笑えてきました。あの時一緒に入っていたらどうなっていたのかと、妙な想像もしてしまいます。マダムなら、いかがなさいますか?」。うーん、どうしようかしらん。相手のルックス次第かしら(キャッ)・・・ というのは冗談で、別に裸を見られてもいいので(ヨーロッパではこういう場所で裸を気にしても仕方ありませんから)、さっさとジャクージを出てホテルのスタッフに訴えるかしら。それにしても、ここでもイタリアンが日本女性を困らせているのですねえ・・・全く・・・。
ところで、旅のベストパートナーについて、みなさまからたくさんのお便りが届いております。すてきな旅のヒントがたくさん詰まっていますので、いずれお便り特集でお届けしますわね。どうぞお楽しみに。そして以前、楽しいけれど読みにくいですーというお便りをくださったOura様、お色直ししたマダムはいかがでしょう。楽しんでくださっていますように!
「It´s not interesting.」
これまでにもいくつかご紹介した、誘いを断るときのフレーズの一つ。「興味ないです」というストレートな言い方です。もう少し丁寧に断りたいなら、前に「Sorry」を加えるといいですわね。ドコドコに行こう、ナニナニを買わないか等々の勧誘をシャットアウトするのには特に効果的です。
「行き当たりばったり」「自分だけは大丈夫」は2大タブー
回数をこなすほどにおざなりになりがちな、ひとり旅の2大べからず項目。旅立つ前も旅の途中も常に心にとめておくべし。