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涙、涙のディスカウント大作戦!
暑い夏が終わりましたわね。みなさま、今年は素敵なサマーバケーションをお過ごしになられたでしょうか? マダムはピークを外してベトナムに行ってまいりました。フライトは燃料費の安いキャセイを利用。そっれっがっ! パイロットの運転(じゃないですわね、操縦か)が超アグレッシブ。わたくし生まれて初めて、アルコール以外の理由で飛行機酔いしてしまいました。マジ、やばかったのでございます。あと数分、ランディングに時間がかかっていたら・・・あああ!
雑貨天国ホーチミンの市場にて
乗員乗客いっせいにフリーズ&沈黙という恐怖のひとときを過ごし、到着したのはホーチミン。同行の中目黒マダム(そう、相変わらず彼女の荷物はデカイ!)は、機内食は一切食べないというストイックなクールビューティ。その美しい顔がゆがむのを見たいがため、庶民派マダムのわたくしは巧妙に彼女を屋台に誘い、こっそりカエルちゃんの足をオーダー。パクリといったところで「それさ・・・」と暴露。も、全然動じませんの! 「あら?」くらいのスルー加減。ちっ。作戦(何の?)は次回に持ち越しざます。
さて。女子のみなさま、ベトナムといえば? ハイ、雑貨でございますわね。わたくしたちも滞在中、「ふだんもそれくらいの集中力があれば・・・」の勢いで、どんな小さなショップも逃さずチェックしまくりました。どれもこれもかわいすぎ。隣でつぶやく中目黒マダム。「アタシ、これ表参道で15倍の値段で買った」。ご、ご愁傷様ですわね。もちろん、市場にも突撃しましたわよ。「オネエサン、これ買う」。もはや断定口調の客引き。「買わない」「ナニ欲しい?」「今見てる」「サンダル? Tシャツ? 時計? ナニ欲しい?」「お金」。客引き、さすがに黙りました。
実はマダムは値切りが苦手
あ?もう! 買うんだからゆっくりじっくり見させてちょうだい。世界中のバザールや屋台、市場は大好きな場所だけど、放っておいてもらえないのが悩みの種。そして、何とかお気に入りの品を見つけたあとに、さらなる苦悩がマダムを襲うのです。それが値切り交渉というヤツ。実はマダム、これが大の大の大の苦手。このイベントが待っていると思うと、「買わなくてもいいや」などとあきらめてしまう。それほどの苦行なのでございます。度胸と勇気あふれるマダムの友人たちに言わせると「値切りこそ買い物の醍醐味」「血がたぎる」「絶対負けない」などと鼻息も荒いお答えが返ってまいります。中目黒マダムも、おばちゃん軍団と丁々発止の駆け引きを展開中。ああ、わたくしにはどうしてあのパッションがわいてこないのでしょうか。
値切り交渉については、ガイドブックを筆頭にさまざまなアドバイスがされております。日本人にはふっかけてくるから値切りはマスト、値切りもまた旅先の楽しいコミュニケーションのひとつ。うん、どれもよくわかります。その通りでございます。事実、熱のこもらない値切りで手打ちした品物が、別のところでさらに安く売られていたりすると、「損した」って思っちゃうんですのよね?。だからといって、それが値切り交渉へのパワーにはつながらないのです。
値切り交渉は本当に楽しいのか?
いちばんの原因は、マダムにとっては値切り交渉が楽しくないってことでしょうか。強気の売り手が醸し出す「売ってやる」というムード、「買ってやるんだこの値段でもありがたく思え」という買い手の傲慢な態度。これがマッチすれば火花散る大激突ショーとなり、それはそれで面白いはず。でも、その関係が一方的なものになると・・・これがイヤなんですのよ?。
比較的まともな金額を提示したのに、しょっぱなから「はあ? そんな金額で買えると思ってんの?」みたいな態度(たとえそれが演技でも)をされたときの屈辱感。交渉が進むにつれ相手の機嫌が悪くなり、最後には投げるように品物を渡されたときの後味の悪さ。もしくは、本当にギリギリそうなのに勝手に手締めにし、さらにおまけまでゲットしようとするタチの悪い観光客。ねえ、お買い物って、もっと楽しくワクワクするものなのじゃないのかしら? どうしてお互いが笑顔で、売ったり買ったりできないのかしら? マダムは相手が半泣きになるような値切りをしてまで「得した」などと思いたくないですし、偉そうな態度を取られてまで買い物なぞしたくないのです。
「定価」は人ぞれぞれが決めればいいこと
そういえばずいぶん昔、東南アジアで道ばたの行商のオバチャンから買い物をしたとき、同行していた知人から吐き捨てるように「信じられない! ほとんど言い値で買うなんて!」となじられたこともありましたっけ。思わず「ゴメンネ」なんて謝っちゃいましたけど、今考えると、別にいいじゃん! って感じです。別にいいじゃん! わたくしがその値段で納得して買ったのだから、ぼられていようが損しようが問題ないわけで。鬼のように値切ればもっと安くなったかもしれないけど、高く売れたお金でオバチャンが今日いい思いをするのなら、わたくしだって嬉しい。値切りたい人は頑張って値切ればいいだけ。値切らないことが、そんなにいけないことなのかしらん?
はっ。そういえばマダムも旅先で堂々と値切るときがありますわ! それはスーパーやデパート、ちょっとした規模の小売店みたいな場所。ご想像の通り、ほとんどが「スミマセン。無理です」でチャンチャンですけど、こういう場所ならマダムは「まけて?」と言えるのですね。おそらく、店員さんの生活がそれを売ることに直結していないと思えるから・・・かもしれません。うーん。我ながらよくわからない心理。チキン? それとも屈折?
買い物の醍醐味はテクニックではなく「人」
ところで「しつこい」「ずるい」「コワイ」と、先行ネガティブキャンペーン盛りだくさんで挑んだホーチミンでのお買い物ですが、聞くと見るとは大違い。マダムが接した地元の人々はみな陽気で優しく、この弱虫のわたくしでも楽しく値切り交渉ができたほどでございます。また観光客対策にも力を入れていると見え、ノーディスカウントの表示がされているブティックもかなりありましたわね。マダム的にはいっそ潔くていいのですけど、それじゃ楽しくないという意見もありそう。
印象的だったのは、なにも買わずにお店を出たときに、日本語で「ありがとうございました」と挨拶されたこと。これには胸がキュン! 「明日はオバチャンなんか買うたるさかい、今日は堪忍や」みたいなワケのわからない気持ちになったものです。ああ、やっぱりお買い物は「テクニック」じゃなくて「人」。そんな気がいたします。
マダムと同じように値切るのが苦手という方、きっといらっしゃると思います。特に日本は定価というシステムが徹底しているため、日常的に値切るという行為を行わないですしね。でも反対に、値切りができないなんて市場やバザールで買い物する資格なし、と憤る方もおられることでしょう。そんな方におたずねしとうございます。値切り交渉の最大のコツは何なんですの? お互いが気持ちよく手打ちするための必殺技は? 威嚇とか恫喝ではなく、あくまでも楽しくエレガントに、またはユーモラスに値切りに望むテクニックを、ぜひマダムにご伝授くださいませ?。これってかなり切実。みなさまからの実践的なアドバイスをお待ちしておりますわ。それでは、また次月。Ciao!
今月のマダムからのラブレター、トップ登場はしま様。しま様もご指摘の通り、マダムへのお便りは愛のコラボレーションの第一歩でございます。いままでお便りいただいた方々のお名前も、マダム・ワールドの構成員として登録されておりますのよ(しかし、構成員て、ナニ力団のようでございますわね)。しま様がおっしゃるように、海外ホテルの手配にはさまざまな方法があります。何の準備もできず駆け落ち同然で海外に出た場合は、空港のツーリストインフォーメションが最強の味方ですわよ。エリア、予算を告げればたちどころに該当ホテルをリストアップ。でも、イジワルなスタッフにあたると悲惨な目に・・・。やはり日本で予約していくほうが安心です。今後もアップルワールドをどうぞ、ごひいきに!
続いては「バスタブにこだわらない」オーストリア周遊を楽しんでこられた星野様。かつてはクーラーなど不要といわれたオーストリアですが、マダムは歴史的猛暑の2003年夏をウィーンで過ごしてしまいました。つらかったです! 暑すぎて寝付けず、床でも寝てみましたとも! 大家さんがファンを運んできてくれましたけど、ドライヤーみたいな騒音がしてとてもじゃないが使えませんでしたし。今年は冷夏に近いくらいだったそうなので、星野様も快適な滞在ができたのではないでしょうか。実はウィーンはリンク周辺に結構個性的なホテルがあるんですのよ。ご興味がおありでしたら、いつかこっそりご伝授いたします。
さて、「ホテルで備品を破損してしまった時」についてご質問をくださったスカーレット様。来月は、これをテーマにお話しいたします。もう1ヵ月、お待ちくださいませね!
「That´s fine with me.」
「それでいいでしょう」という意味のフレーズです。ディスカウント交渉では単純に金額のダウンだけでなく、いくつ買ったらこの値段にするとか、金額は下げられないけど別のおまけを付ける等々、変則的なオファーがつきもの。自分にとって魅力的な条件が提示されたら、笑顔とともにこの言葉を。またディスカウント時の手打ちに使えるフレーズとして、以前に紹介した「It's deal.」(2007年3月29日号)もセットで覚えておくと便利ですわよ。
嬉しいのはテクニックじゃなくて気持ち
人と人がふれあう場面では「こうあるべき」という技術ではなく、にじみ出てくる気持ちこそが大切、という意味。恋愛にも応用できるのは誰もがご存じ。