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LAX&SFO最旬美食スポット案内
前回、ホテル滞在中に隣室から騒音の苦情を受けたという話に触れました。この騒音問題、実は最近のインテリアにも大きな原因があるのです。想像つきますかな? そう! テレビです。薄型ゆえに壁掛けが主流になると、音は直接背後の壁に吸収されるわけで、石造りの頑健な建物でも結構響くのですよ。スマートな内装に隠されたワナ!(笑)。
老舗ホテルも騒音とは無縁ではありません
さて今回は、先日滞在したロサンゼルスとサンフランシスコの最新ダイニング情報です。と、その前に、騒音といえばですが、サンフランシスコで泊まったロケーション最高のパーク 55 ホテル ウインダムのこと。ミッドセンチュリー風のシックな内装とはいえ、ホテル自体はもはや老舗といってもいい存在。私もずいぶん長いこと利用していますが、4ツ星のここだって、やっぱりコネクティングになっている部屋は音が筒抜けで、「うーむ」となることがあります。音に敏感な人はチェックイン時に、コネクティングでない部屋をリクエストしてください。
ダウンタウンのエグゼクティブ御用達
ロサンゼルスは再開発プロジェクトのおかげで、ダウンタウンの雰囲気がガラリと変わりました。開発テーマは職・住・遊を接近させたメガロポリスのようですが、確かに。以前はオフィスアワー後にハリウッドやビバリーヒルズに流れていったエグゼクティブたちが、夜になってもダウンタウンでウロウロしています。いろいろな意味で「ウルサイ」彼らを惹きつける店が増えているのですな。
その一つが「ドラゴ・チェントロ」(Drago Centro:525 S. Flower St.,)。ハッピーアワーの頃からダークカラーのスーツ姿で満杯です。しかもそのままディナーへと居続けるグループも多いので、なかなかテーブルが空きません。スマートなサービスでプレゼンテーションも美しく、メインの目玉ステーキは特におすすめですゾ! スマートカジュアルダイニングから接待にもきっちり使え、大人が心地よく過ごせるLAらしい空間です。
もはや観光スポットの有名カフェも
リトルトーキョーの奥、倉庫街に立地する「アースカフェ」(Urth Caffe: 451 S. Hewitt St.,)は、そのあまりの行列ぶりを見学に来る人もいるという超有名店。順番待ちはもちろんですが、デリのテイクアウト目当てがとにかく多いという感じかな。売りはオーガニックコーヒーと手摘みの紅茶。抹茶カプチーノなんていう気のきいたドリンクもありますし、ワッフルやカンパーニュのサンドイッチなどもボリューム満点。ブレックファーストから休憩、ちょっとした食事にも使えます。
不思議なのはブレックファストメニューが終日置いてあるのに、ランチとディナーはまた別のメニューがあるということ。一体どのように使い分けているのやら。このカフェ、ハリウッドのメルローズストリートとビバリードライブにも支店があり、「ヘルスコンシャス」で「ビオ」や「スローフード」がだ?い好きなハリウッドセレブの御用達でもあります。ゆえにどの店もパパラッチが常駐(笑)。「Urth」=運命の女神という名前も、なんだか意味深ですねえ。
王道イタリアンのとっておき
ダウンタウン以外のダイニングで印象に残っているのは、東日本大震災のチャリティイベントも行ったというハウス・オブ・アン(House of An)プロデュースのユーロ・ベトナミーズ「クラスタシアン」(Crustacean:9646 Little Santa Monica Blvd, Beverly Hills)。とにかくいつも大混雑の盛況ぶり。
ビバリーヒルズではもう1軒、やはり王道イタリアンといえるのが「ルイーズ・トラットリア」(Louise’s Trattoria:342N Beverly Dr.,)。出迎えてくれるのは、いかにもイタリアオヤジといった体の気さくなカメリエーレたち。満席のテーブルはイタリア訛りの英語が飛び交うホットスポット。「ここはイタリアかい!?」てな雰囲気で、いまビバリーヒルズ、いやLAで一番ベタなイタリアンなんじゃないでしょうか。ガーリックをトッピングしたパリパリのピザが絶品。気取らず手でちぎって食べるのもいい気分です。味も太鼓判の本格的イタリアンと言いたいのですが、人気がありすぎて時々ハズれることもあるとかないとか・・・。ちなみに我々のテーブルは全てヴォーノでありました。
おしゃれタウンサンフランシスコに変化が
サンフランシスコは、おしゃれな店がたくさんあって街歩きが本当に楽しいのですが、ちょっと気になることも。以前はシビックセンター界隈でチラホラと見かけるだけだったホームレスが、あちこちで目につくのです。しかもわりとパリッとした服装のニュージェネレーションが混在しており、一見そうとはわからないというおまけ付き。これもまたリーマンショックの産物なんでしょうかねえ。
しかし町はキレイに清掃されていて、夜遊びにも不安はありません。軒を連ねる食事処も屋台からファインダイニングまで、サンフランシスコらしい美意識を反映したハイクオリティぞろい。グルマンお墨付きのチャイニーズ・フュージョンの中でも、ひときわ人気が高いのが「ハウス・オブ・ナンキン(南京小館)」(House of Nanking: 919 Kearny St.,)でしょうか。まあ混んでること混んでること!
カジュアルなのにゴージャス。豪快なようでいて細やかに神経が行き届いた料理は、カップルでも大人数でも対応可。オーナーかつシェフのピーター・ファン氏が、これまた人懐こく大変ユニークな人物で、店のムードも彼の人柄を反映しているような気がします。料金もお手頃。通し営業なので、チャイナタウンに行ったら、ぜひのぞいてみてください。またファン氏のお嬢さんも「ファン」(Fang: 660 Howard St.,)というしゃれたレストランを手がけています。
フィッシャーマンズワーフでイタリアン
ダウンタウンから足を延ばしてフィッシャーマンズワーフへ。そもそもはイタリアの漁船の船着き場として栄えた場所であり、移民も多いことから、ノースビーチに至るまで数多くのイタリアンが店を構えています。もし、河岸のシーフードの雰囲気を味わいたいと思ったら、桟橋の上にある「スコマズ」(SCOMA’S:Pier 47)へ、レッツゴー!
こちらはクラシコではなく、イタリア移民のフィッシャーマンがアメリカナイズしたイタリアン・フュージョンシーフードといったところ。カジュアルな雰囲気で、海を望むテーブルでのディナータイムは何ともロマンティック。大勢でカニをがっつくのもOK。いつも行列が絶えない大人気店なのですが、それは予約を受け付けていないから! 小一時間は並ぶ覚悟で出かけてください。スポーツバー風なコーナーで、カリフォルニアワインで乾杯しつつワイワイ待つのも一興です。
花鳥風月 さらば、ウィルシャーグランド
ウィルシャー グランド ホテル ロサンゼルスが、2011年いっぱいで大改装のためいったんクローズすることになったそうです。創業は1952年。フィゲロアストリートに面して建ち、フリーウェイや地下鉄からのアクセスがよく、タクシーもつかまえやすいという、ダウンタウンでは最高のロケーションに位置する日本人にも高い人気を誇るファーストクラスのホテル。私もロサンゼルスでは定宿の1軒で、今回の滞在の際に一時閉館のことを知った次第であります。
私がこのホテルを気に入っていた理由は、もちろん立地のよさもありますが、韓国オーナーのフツウじゃない常識にやられたんですねえ。以前の改装で誕生した客室は、何と2部屋の壁をぶち抜いてスイートに! そうでなくともゆったりとした造りなのに、この客室ときたらストレッチやヨガが十分に楽しめるほどの、ちょっと驚きの広さ。エンスイートのバスルームも2カ所備わっているし、地所代が高額な大都会では何とも大胆すぎる内装(笑)。それがアダになったわけではないでしょうが、2年間閉鎖して大改装(建て直し!?)で近代的なレジデンスタイプに生まれ変わるのだとか。みなさんの中にも、利用した人がいるかもしれませんね。懐かしい雰囲気が残っているうちに、名残を惜しみに行ってみてはどうでしょう。