アメリカン・エキスプレス
ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
11

サムイ島は謎に満ちた不思議アイランド

ミスターMのおいしい旅の話 サムイ島は謎に満ちた不思議アイランド

「あのサムイ島に、あのフォーシーズンズがオープン!」とのニュースを耳にして、はや何カ月。私の頭に浮かぶサムイのイメージといったら、ココナツが生い茂るのんびりしたジャングルの島のまま。うーん、どうも想像がつきません。そうでなくとも、常日頃マダムヨーコから「もう、すっごいことになっていますのよ。ぜひお出かけあそばして!」とせっつかれていたのですナ。そこで折良く予定していたバンコク滞在をやりくりし、急遽サムイ島へと足を伸ばしてまいりました。

バンコク・エアウェイズの待合室はなかなかの仕上がり

まず「おっ」と驚いたのが、バンコクのスワンナプーム空港からサムイへと向かう、バンコク・エアウェイズの待合室の快適さです。センスのよいパステルカラースキームのソファセットやベンチシートがゆったりと置かれ、クラスに関係なく軽食やスナック、ソフトドリンクがサービスされる気前のよさ。以前はちょっと窮屈な感じでしたが、新空港ではラウンジの名のふさわしい心地よい空間になっています。そりゃそうだよなあ、なんせサムイに乗り入れできる独占航空会社なんだから・・・。到着したサムイ空港は、建て替えたとはいえ昔ながらのオープンエアー平屋ターミナル(ターミナルを増築しているのは、サムイ人気の現れ!)。トイレやセキュリティには気を配っているものの、いたってのんびりした南国ムードでありました。しかし、空港を出てものの5分もしないうちに、周囲の景観を見て驚愕! ココナツ畑が消え失せ、ほとんどがリゾートホテルに変身しているではありませんか。噂には聞いていたものの、その変貌ぶりにはめまいすら起こりそうでした。

タイ人にもわからないサムイ島の「正体」

ところで今でこそタイを代表するビーチリゾートとなったサムイ島ですが、その歴史はタイ人すら正確に把握していない謎に満ちたものなのだそうです。1940年代までは車はもちろん道路すらなく、訪れる人もいないジャングルの孤島。唯一の交通手段はスーラータニーからのスローボート。所要時間は6時間。開拓しようにも険しい山々と機材の輸送がままならず、長い間秘境のまま放置されていたのでした。「サムイ」という島の名前の由来もまたハッキリしていないようですが、一説には中国南部の民族ミンの言葉で「最初の関門」という意味の「チャオブアイ」がなまったものだとか・・・ということは、サムイに入植した初めての人間は大陸系?うーむ。なんか神秘的じゃないですか。サムイ島サムイに本格的に人の手が入るようになったのは1967年以降のこと。指揮を執ったのは島の長ディロッ・スーティークローム。手押し車で山を切り開き、多数の犠牲者を出しながらの大事業だったといいます。1973年にようやくバンコクからの援助が入り、全長52kmにわたるメインロードが整備。それにともない移住者が増え、たわわに実ったココナッツを中心とした産業も発達。西洋、特にドイツやイタリアからは、未知なる楽園を求めて多くのバックパッカーがやってくるようになり、次第にリゾートとして注目されるようになったのです。

サムイの守り神はサル?

現在でもココナツ栽培はサムイ島の主要産業。かつてはサルが実の収穫に欠かせないパートナーでした。なんでもサルは熟した実を一発で見分けることができるのだとか。観光スポットになっているモンキー・シアターの入り口だけでなく、気をつけて見ると、島のあちこちに道祖神のように猿の石像が置かれているのもその名残かもしれませんね。また、これほど乱開発(といっていい規模です)されながらも、基本的にはココナツの木よりも高い建物は建築不可というのも、別名「ココナツ・アイランド」サムイ島のポリシーです。

リゾート乱立の功罪あれこれ

しかしですな、高い建物を造らなければいいというわけでもなく、このリゾートホテルの供給過多ぶりは、端から見てもやや不安になります。ところが地元の人に聞いていると「まだまだ足りない」のだそうで、プーケットに追いつけ追い越せの勢いは、まだしばらく続くのかもしれません。もちろん、この開発にはリゾートの洗練と個性化という現代的なプラスの側面があることは確かです。満を持して登場したフォーシーズンズはもとより、ザ ライブラリ、サラサムイ リゾート&スパ、シーラ エヴァソン ハイダウェイ&スパなどの独特のコンセプトを持つ新興リゾートの登場、一方で風格と威厳を保ちながら進化していくサンティブリリゾート&スパやトンサイベイといった老舗の奮闘。小さい島にこれだけのバラエティ豊かなホテルが集まっているのは、リゾートウオッチャーとしては最高のロケーションであり、また楽しみでもあるといえるでしょう。

古き良き風情が残るナ・トン・タウンでホッと一息

ホテルが密集するビーチエリアにやや食傷し、サムイ島の土地の値段は20年前の100倍にも高騰したなどという話を聞いてぐったりした私ですが、島の北西、サムイのオールドタウンであり、古くからの船着き場があるナ・トン・タウンへと車が移動するにつれ、少しずつホッとした気持ちになってきました。ココナツの中に点在する清楚な建物や素朴な屋台。そこにはまだ、バックパッカー全盛時代の古き良きサムイのノスタルジーが漂っていたからです。とはいえ、このエリアにも「洗練」の波はひたひたと押し寄せています。おしゃれに進化したサムイもいいけれど、こんな場所も残しておいてほしい。それがこれからのサムイの強力なチャームポイントになるんだけどな、と、のどかな海を眺めながら誰にともなく訴えてみた私なのでした。

マイフェイバリットホテル

違いのわかるカップルのためのハイダウェイ・リゾート

サムイ島の北にあるパンガン島は、フルムーンのレイブパーティで良くも悪くも名を馳せているバックパッカーの「聖地」。映画「ザ・ビーチ」の舞台になり、そのあまりの誤解ぶりにタイ人が激怒したというエピソードもありましたが、現在でも満月の前後には多くの旅行者が島に渡り、宿を確保できなかった人は一晩中浜辺でトランスしているとかいないとか。しかしかつての「狼藉ぶり」は警察が目を光らせているせいか、なりを潜め、ハイダウェイ志向の高級リゾートも登場。どうやら島を行き交うまともな道もないここもリゾート・アイランドへと変身しつつあるようです。その草分けになりそうなのが、サンティヤ リゾート&スパ。トン・ナイ・パン・ビーチを見下ろす高台に建つ魅力的なハイダウェイです。チーク材を惜しげもなく使ったナチュラルモダンな内装。寝室から続く数メートルのガラス張りの廊下の先に、デイベッドが置かれたサロンスペース。どこかジム・トンプソンの風情が漂うインテリア。とりわけ私が気に入ったのがヴィラのバスルームの構造です。バスタブは屋外テラスに設置。もっと気持ちがいいのがサロンの裏手にあるシャワールームです。洗面台とクローゼット、トイレは屋根付きの半屋内、シャワースペースがゆったりとしたプライベートな屋外。こうした構造だと、オープンエアーでも開放感がないケースが多いのですが、ここはどっしりとした天然木をベンチ代わりに置き、充分な広さを確保しています。ただシャワーを浴びるだけでなく、裸のままでくつろげるリラックス&シークレットスペースとでもいいましょうか。寝室からは直接出入りでき、夜は月明かりが照明代わりという心憎い演出も。ややプリミティブな色合いが濃厚で、隔絶された立地とあるがままの自分でいられる空間は、旅慣れた気心の知れたカップルには最高の環境。違いのわかる恋人を誘っての特別なバカンスには、イチ押しの1軒です。

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教えてミスター

イタリアのレストランでチャージされる「コペルト」って何?

「いつも楽しくメールマガジンを拝見しております。ゴールデンウイークにイタリアのフィレンツェとミラノへ個人で行きましたが、レストランに入るたび支払いに頭を悩ませました。請求書に『COPERTO(コペルト)』が入っている時はテーブルにチップを置かなくともいい、とどこかで読んだ記憶があるのですが、どうしたらいいのでしょう。コペルトは具体的に何をカバーしているのでしょうか?」

今回は山形さんからのご質問です。まずは、ご愛読ありがとうございます。山形さんのおっしゃる通り、私たちの日常生活でなじみが薄いチップは、いくら旅慣れていても頭が痛いテーマですね。特に日本ではチップをおもてなしへの気持=心付けと見なす習慣があるため、納得できなかったり、割り切れないことも多々あります。

さて、イタリアのコペルトですが、これはサービスチャージではなく、日本でいうところの「付き出し料」、つまりテーブルチャージと理解された方が正しいかと思います。イタリアの一般的なレストランでは、請求書にサービスチャージを加算していないところがほとんどです。よって、コペルトとは別にチップを置くのがマナーです。

この時のチップは「心付け」ではありません。レストランの格により相場はやや異なりますが、最低額のチップ(総額の20%程度)を払うのは、ゲストとしてのたしなみなのです。そしてテーブルを担当したウエイターをはじめとしたサービス力、気配り、もてなしへの評価に応じてプラスする。この「プラス」の分が「心付け」となるわけです。

優れたレストランでは、チップがよりサービスを磨き、さらに良いサービスを呼ぶ、とも言えます。 たとえ一見客だとしても、このあたりのマナーを心得ておけば、きっと品格あるグッド・カスタマー、グッド・トラベラーになれますゾ!

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