ポップでラディカルなデザインあふれる街角、そこに内包されるように受け継がれていく負の遺産。ベルリンが旅人に与える衝撃が深いのは、街に漂う独特な明暗のせいなのかもしれません。そしてその象徴となるのが、過去と未来をつなぐ美術の数々です。今回は今こそきちんと見ておきたいベルリンのアートと、ベルリンらしいモダンなデザインホテルを紹介します。
今こそ見ておきたい・見ておくべきベルリンのアート
◆何日あれば全部回れる!? ベルリン美術館
ベルリン美術館とは「旧博物館」を序開とするベルリン各地に点在する美術館・博物館の総称で、建物ではなく全18の部門から構成されています。中でも最重要スポットは、世界遺産登録されている「博物館島」。「旧博物館」「新博物館」「旧ナショナルギャラリー」「ボーデ美術館」「ペルガモン博物館」が一堂に会しています。
◆ペルガモン博物館
博物館島の中で最も新しく、また大規模なペルガモン博物館。「古代(ギリシャ・ローマ)美術コレクション」「古代近東美術館」「イスラム美術館」の3部門がベルリン美術館に該当し、古代遺跡や建造物がそのまま再構築されています。「ペルガモンの大祭壇」「イシュタール門」「ムシャッタ宮殿の正面ファサード」は必見です。
◆イーストサイドギャラリー
Sバーンのワルシャワ通り駅で降りてシュプレー川沿いのミューレン通りへ。1キロ以上に渡り多種多様なイラストが描かれている「イーストサイドギャラリー」は、現存する最長のベリリンの壁を保存する目的でつくられたものです。落書きのひどさが痛ましいのですが、アーティストが込めたメッセージはしっかり届いてきます。
ベルリンのおすすめデザインホテル
歴史の中心地で「暮らしてみたい」なら
マンダラ ホテル
Berlin
第2次世界大戦により壊滅状態になったポツダム広場は、ベルリンの壁崩壊後の再開発で華やかに復興したエリアです。そのまさに中心地に建つのがこのホテル。喧噪に満ちた周辺環境をドア1枚でシャットアウト。静かで落ち着いた時間が流れる館内と、東洋的な「ゼン・テイスト」を感じさせるシンプルで落ち着いた館内デザインが、刺激で疲れた心と体を癒してくれます。
客室はすべて簡易キッチン付きのアパートメントタイプ。最低でも50平米の広さがあり、ゆったりとした家具や機能的な機器・備品が用意され、バスルームも爽快。滞在が長くなればなるほど離れがたくなる魅力を備えています。また美しい中庭を望むレストラン「ファシル」は、ミシュラン2ツ星受賞歴のある名店。手頃な料金で楽しめるランチで、まずはお試しを。
あなたもサヴィニー氏のよきゲストに!?
サー F.K. サヴィニー ホテル ベルリン
Berlin
サーホテルズは、各ホテルに架空のオーナー「**氏」を設定し、彼がさまざまな趣向でゲストをもてなす…というストーリーを展開しています。ベルリンのサヴィニー氏は、世界的なグルマンで完璧な居住空間を用意してゲストを迎える、という具合。ゲストとスタッフのコミュニケーションスペースとしても利用される「キッチン」がその象徴。ちょっとユニークなホテルです。
建物自体は1893年築の歴史ある建物を利用していますが、館内は実にクリエイティブかつファンタジックなデザイン。客室もサヴィニー氏「お気に入り」の備品や、「お墨付き」の寝具が取りそろえられた、モダンでアーティスティックな内装になっています。この世界観に酔えたら滞在はパーフェクトに。よき友人として、また次のお誘いが来ることは確実です。
温もりあふれる「私の部屋」
ブライブトロイ ベルリン
Berlin
閑静なブライブトロイ通りの31番地、白壁にブルーグレイのテントが目印のこのホテルは、いつもリピーターでいっぱいの人気の1軒。周辺は車輛通行規制が設けられた環境ゾーンに指定されているため、静かで治安がいいのも魅力のひとつ。インテリアデザイナーのヘルベルト・ヤコブ・ヴァイネントが、内装から家具まで全てのデザインを手がけています。
客室は全60室。モダンなデザインと伝統的なテイストを絶妙にマッチさせ、明るく心地よく、そして気取らず過ごせる空間づくりで、「私の部屋」感を鮮やかにアピール。微妙に外している風の家具にも、実はゲストの心の距離を縮めるという深遠な狙いがあるのかも…。ミニバーは全て無料というのも太っ腹。まさしく「Bleibtreu(誠実であれ)」なホテルなのです。
高級住宅街に溶け込むオシャレホテル
クーダム 101 ホテル
Berlin
ドイツで唯一、コルビュジエが手がけたバウハウスのカラースキームとデザインにをベースにしている、というのが自慢のデザインホテル。確かにハイブランドブティックが軒を連ね、界隈に高級住宅街が広がる大通りクーダムにふさわしい不思議な存在感があります。ロビーエリアもミニマルスタイル。曲線を描くように配された家具が躍動感を美しく演出しています。
客室はスタンダード、コンフォート、アッパーの3カテゴリー。各カテゴリーの差額が10ユーロ程度のため、より快適な空間で過ごしたいなら迷わずアッパーを選ぶといいでしょう。とはいえ内装がシンプルなので、スタンダードでも意外と開放感があります。朝食は自然素材にこだわった健康志向のブッフェ。スパでは東洋的な手法を取り入れたメニューが用意されています。