世界屈指のラグジュアリーホテルチェーン
マンダリン オリエンタル グループは、各地にホテルを展開する世界屈指のラグジュアリーホテルチェーン。いずれのホテルも数々の受賞歴を誇っています。香港に本社を置き、資産総額は約10億USドル以上、アメリカ、シンガポー ル、ロンドンの各証券取引所に上場しています。
マンダリン オリエンタルは、世界的に有名な商社「ジャーディンマセソン(Jardine Matheson)」グループの一員として1963年に設立されました。ジャーディン、マセソン社は、1832年、イギリス出身の貿易商人ウィリアム・ジャー ディンとジェームス・マセソンにより、中国の広州に設立。当初の主な業務は、アヘンの密輸と茶のイギリスへの輸出だったといいます。1841年に香港に本社を移し、現在ではアジア全域、及びヨーロッパ、アメリカで、ホテル事業 ・不動産事業から貿易業務・販売、さらに金融にいたる多角的なビジネスを展開しています。
日本で最もなじみのあるジャーディン系の会社は、「ジャーディンワインズ&スピリッツ」ではないでしょうか。この会社は1950年代後半に、モエ ヘネシー ルイ ヴィトンとユナイテッドディスティラーズとの合併で設立されました 。
マンダリンオリエンタルの誕生
1960年当時、ジャーディンマセソン社は輸出入業だけでなく、すでに不動産業なども営んでいました。この頃、ビジネスとしてのホテル業に興味があった会長のヘンリー・ケズウィックは新事業を計画、1963年に「マンダリン オリエ ンタル 香港」を開業します。これがマンダリン オリエンタルの誕生でした。このホテルのコンセプトは、金融ビジネスエリアにデラックスなホテルを作り、ビジネスマンとツーリストの両方を獲得することでした。目的の通り、マ ンダリン オリエンタル 香港の提供する素晴らしいサービスはあっという間にクチコミで広まり、その評判は急上昇していきました。
またジャーディンマセソン社は、当時すでに世界中のビジネスマンの憧れであった「オリエンタル バンコク」の株の49%を所有しており、1974年にはこのホテルの飛躍的な成長によって会社の利益が急激に拡大しました。1985年、彼 らはこの2つのホテルを「マンダリン オリエンタル ホテル グループ」として統合。企業構成を合理化し、ビジネスの焦点を「世界中にデラックスホテルとファーストクラスホテルを開発、運営すること」に絞ることになります。
このようにマンダリン オリエンタルは、設立コンセプト自体がビジネスライクでクールだったといえます。他のラグジュアリーホテルチェーンが、少数のカリスマ的設立者の強い思い入れで形作られているのとは対照的ですよね。ち なみにマンダリンのロゴマークは「扇」。これは、「オリエンタル的なもの、覚えやすくわかりやすいもの、末広がりな概念で、ゲストも末広がりに」という意味がこめられているそうです。また同じく末広がりで発展を示すという ことから、数字の「8」にもこだわっています。例えばリザベーションやセールスの電話番号なども、全てではありませんが「8888」とつけるなど、いろいろ縁起を担いでいます。
大胆な組織・人事改革で全世界へ向け拡大
マンダリン オリエンタル ホテル グループは2000年5月、「ラファエルグループ」を約1億4000万USドルで買収。これにより世界の有名リゾートや主要都市を代表するホテル6軒がマンダリングループに仲間入りし、北米、ヨーロッパ においても存在感のあるホテル展開が実現しました。また同年9月には「インディアン ホテルズ アンド ヘルスリゾーツ」とのジョイントベンチャーを設立し、インドにおけるラグジュアリーホテル開発及び運営事業への参入を発表 します。そしてこの事業の最初のホテルとして、同年、高級スパリゾート「マンダリン オリエンタル アナンダヒマラヤ」がオープンしました。
人事改革では、当時最もライバル視していたラグジュアリーホテルチェーンフォーシーズンズとリッツ カールトンから多くの人材をヘッドハンティングし、新しいポジションに任命しました。リッツカールトンからはアジアの開発担 当やオペレーションマネジャー、フォーシーズンズからはヨーロッパの営業副社長やアメリカの営業副社長、ハワイのカハラマンダリンのセールスマネージャーなどが誕生しています。
このような大胆な人事を実施できたのも、彼がホテル業出身ではないからこそ持ちえた客観的な視点と冷静な経営判断があったためでしょう。また30代・40代の若い世代をマネージャークラスに多く抜擢し、柔軟で自由な発想を引き だそうしたのも彼の改革の一つです。
オリエンタル バンコクと世界の有名人
130年を超える歴史を誇る「オリエンタル バンコク」は、その初期、サマセット・モームやジョゼフ・コンラッドをはじめとする著名な作家達が住まいとして暮らし、後に世界的に有名となる作品を仕上げたことで有名です。またタ イ国の迎賓館とも呼ばれ、各国の元首、ロイヤルファミリーの正式訪問の際には必ずといっていいほど滞在ホテルに選ばれています。
長い歴史の中で、オリエンタル・バンコクに宿泊した世界中の著名人は枚挙にいとまがありませんが、日本の皇室からは、英国ロイヤルファミリー同様、ほとんど全員とも言えるほど多くの方々が宿泊しています。他にもレオナルド ・ディカプリオやジャン・クロード・バンダム、ピアーズ・ブロズナン、ドン・ジョンソン、マイケル・ジャクソンといった世界のスターが、オリエンタル バンコクに宿泊し、その世界一と言われるサービスを満喫、絶賛しています 。たった2軒だけでこれだけの有名人が出そろうとは、さすがマンダリンという感じですね。