アイルランドにケルト人がやってきたのは紀元前266年頃のこと。キリスト教が伝わるはるか前から独自の宗教が根付いており、このクロー・パトリックもまた、新石器時代の建造物の名残や先史時代の石細工が発見されるなど、古の時代から聖地とされてきたことがうかがえる場所です。
ケルト人はこの山をクロム・ドー、すなわち神の住む場所として祀り、ここを中心として毎年8月1日前後に、収穫を祝うルナサという祭事を執り行ってきました。また、キリスト教の歴史においても重要な場所で、441年の収穫祭の折、聖パトリックがここを訪れ、40日間をかけて邪悪な存在を追い払ったという伝説が残されています。
こうした背景によりクロー・パトリックは、7世紀頃からアイルランドを代表する巡礼地のひとつとなり、今でも当時に倣って裸足で登山する敬虔な巡礼者が少なくありません。その数は年間で100万人近く。7月の最終日曜日にはクライマックスを迎え、人々の祈りと情熱が発する圧倒的なオーラが伝わってきます。
クロー・パトリックは、最寄りのウエストポートから約8km。バスが出ていますが本数が少ないため車を手配した方が安心です。登山の見積もりは3~4時間。もしレンタカーできるなら一石二鳥。ウエストポートを拠点に、アイルランド西部に点在する景勝地を、のんびり楽しみながら訪ねることができます。
カトマンズのどこからでも見ることができるスワヤンブナートは、かつて湖の底にあったというカトマンズの中に浮かぶ、小さな島でした。しかし、ここを訪れたマンジュシュリー神が山を切り拓き、水が流れ出たために盆地になったと言われています。
さして大規模ではないにもかかわらず、スワヤンブナートがカトマンズ渓谷の数ある神聖な寺院の中で最も古く重要な場所とされるのも、こうしたいわれがあるためです。建立はリッチャビィ王朝の祖マーナデーヴァ1世の命によるという記録がありますが、すでに紀元前3世紀にはアショカ王もこの地を訪問していたとか。早い時期から聖地としてあがめられていたことがうかがえます。
東の門から380段を超える階段で導かれるスワヤンブナート寺院は、その道中にも霊験あらかたな見所がたくさんあります。仏足石、釈迦が生後1週間で歩いた伝説に基づくマヤ・デビ等々。そして最後の力を振り絞って到着した先には、巨大なストゥーパが訪問者を待ち構えています。
見学はチベット仏教の法則に従い「右回り」と心得ましょう。黄金の仏陀像に守られるように控えているシャンティプルは空の象徴。その地下には名僧アーチャーリヤが住んでいたそうです。またスワヤンブナートで御来光を拝むと、願いが叶うという言い伝えもあります。早起きしてトライすべし!
スワヤンブナート寺院は、カトマンズの中心部から約3キロ。徒歩約30分でアクセス可能です。「人より神が多い町」として、世界屈指のパワースポットであり、ヒンドゥー教や仏教ゆかりの建造物だけでなく、世界遺産に登録されている国立公園も人気。現地ツアーに参加すれば安全かつ効率的に見学できます。
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