ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
92

泊まってみようクラブフロア

ミスターMのおいしい旅の話 泊まってみようクラブフロア

頻繁に海外出張をする御仁にとって、ホテルは滞在先でのパーソナルオフィスであり、また緊張から解き放たれる唯一のリラックスペースでもあります。気ままなバカンスとは目的が異なりますから、「安ければいい」というわけにはいきませんし、さりとて常にラグジュアリークラスに泊まれるわけでもありませんよね。そこで私がおすすめするのがクラブフロアです。

クラブフロアに滞在すると……

クラブフロア、またはエグゼクティブフロアなどと呼ばれていますが、これは近年各ホテルが力を入れている「ワンランク上の客室+サービス」形態のひとつ。簡単に言えば通常の客室料金になにがしかのサプリメントを上乗せすることで、滞在中に特別のサービスを提供するというプログラムで、客室(ハード)はそのままでサービス(ソフト)だけプラスするシステムと、ハード自体から専用のものが用意されているパターンの2種類があります。これらのフロア、または専用ラウンジはルームキーカードなどでアクセス制限され、一般フロアのゲストは立ち入ることができません。

クラブフロアのゲストが受けられる特典の一般的な事柄を、ざっと見てみましょう。まず、ほとんどのホテルが専用ラウンジを設けています。ここではチェックイン/アウトからコンプリメンタリサービス(無料サービス)としてブレックファスト、午後のティータイム、夕方のカクテルタイムにカナッペや軽食やアルコールを含む各種ドリンク類などが提供されます。

またラウンジに置かれているパソコンやWIFI接続、プリントアウトやファクス送受信も無料で利用できますし、待機しているバトラーやサービススタッフにセクレタリー業務をお願いすることも可能。中には少人数のミーティングに使える個室が設けられているところもあります。

フロントでオファーされたら大チャンス!

クラブフロアの専用ラウンジは、アクセスの良い場所や高層階や、各フロアの角部屋などビューのよい場所に設定されています。客室は比較的広めに造られており、アメニティ類は品数・品質ともにアップグレード、ウエルカムフルーツやドリンクが置かれ、ミニバーやペイビューチャンネルがフリーということも。

他にもプレスやドライ以外のランドリーが無料、ジムやプールの利用が無料、スパで30分間のマッサージやトリートメントの無料サービス、ダイニングでの食事20%オフなど、館内施設を利用する際の特典がふんだんに付与されることがあります。ま、これは上手な撒き餌で(笑)、せっかくだから……と追加で利用してもらえれば、ホテルとしても万々歳というわけです。

このクラブフロア、では、どのくらい通常の客室料金と差があるのかというと、安ければプラス60ドル前後、高ければ軽く100ドル超えと、これまたホテルのクラスによってさまざまです。かつて、こうした特別フロアルームは正規料金で泊まる人や、そのホテルの会員しか利用することはできませんでした。

しかし最近ではネットの手配会社を通じても予約できるようになっていますし、 チェックインの時に、レセプショニストが空き状況に応じてクラブフロアへのアップグレードのセールスをしてくることもあります。ホテルとしては少しでも売上げをアップしたいのですから、当然の成り行きでしょう。もちろんゲストにとっても、手が届かなかったクラブフロアを利用できるとてもいいチャンス。オファーがなければ、自分からたずねてみるといいでしょう。

ビジネスマンなら利用価値大

とはいえ一口にクラブフロアと言っても、そのサービスはピンからキリまで。ホテルによって大きな違いがありますし、レベルもまちまちです。よって、「滞在するなら絶対クラブフロアにすべし!」と断ずるのは早計というもの。肝心なのは、自分にとって本当にお得なのかどうか。どういう滞在をするかによって、クラブフロアの価値は断然異なってくるのです。

最も有用性が高いのは、やはり商用での滞在。そもそもクラブフロアは、シティホテルがビジネスマンの確保とリピート率をアップするために考案したプログラムといわれていますから、ビジネスサポート的なサービスが充実しているのです。かくいう私も仕事で滞在する際はクラブフロアを大いに活用する派です。高級ホテルは何事にもチャージが当たり前ですから、ブレックファストやWIFI接続がフリー、さらにワイシャツの無料クリーニングでもあれば、差額の100ドルなんて十分ペイしてしまいますよ。

特にありがたいのは、会食の予定のない一人の夜。タブレット片手にラウンジに行って、ワインを飲みながらのんびり思案したりメール処理したり……。カナッペやホットミールをつまんでいれば、もうお腹もいっぱい。眠くなったらすぐ部屋に戻れるのもいいですよね。ちなみにクラブフロアは通常の客室に比べてシェアユーザーが少ないので、WIFIの接続状態もmuch betterな気がします。これもまたビジネスパーソンを意識した対応なのでしょう。

女性のひとり旅やファミリーでの利用は?

クラブフロアは女性のひとり旅にもおすすめです。時間帯によっては大混雑となる朝食時もラウンジならゆったり。夜にちょっとアルコールが飲みたい時や一人で食事に出かけるのが不安な時も、ラウンジをバーやレストラン代わりに使えばいいのです。またラウンジを利用するゲストの多くがビジネスマンのため、声をかけられる心配もなく気楽に過ごせます。いろいろなものを見たい、食べたいというトラベラーには向きませんが、日中は仕事や雑事で忙しく過ごし、夕方以降はホテルに戻ってゆっくり休みたいという人にもクラブフロアは最適です。

このように、シティホテルのクラブフロアは、ビジネスパーソンや静かにくつろぐゲストをメインターゲットにしているため、ファミリーにはあまり居心地がいいとはいえませんし、子供の利用に制限を設けているホテルもあります。しかしリゾートとなると話は別。

クラブフロアの流行は、今やリゾートホテルにも波及しており、そのサービスはよりファミリー向けに設定されているのです。飲食フリーのラウンジが終日オープンしていれば、休憩や食事のたびに子連れで外出する手間が省けるだけでなく経済的にも大助かり。子供といってもそれなりのマナーは必要ですが、利用者もファミリー層が大半ですから、周囲に気兼ねしなくてすみますしね。

クラブフロアに泊まりたいなら……

クラブフロアが設定されているのは、基本的に4ツ星以上のクラス。興味があるなら、まずはヒルトンやシェラトンなど比較的敷居が低いインターナショナル系チェーンの、一般客室との差額が60ドル前後というリーズナブルなホテルで一度滞在してみてください。

そこでクラブフロアのシステムや、どんなサービスがあり、どう使うと快適なのかがわかってきたら、次は100ドル以上の差額があるところにチャレンジする。すると、その差がよくわかると思います。いきなりハイクラスのクラブフロアに泊まってはダメですよ。クオリティのレベルがわからないまま「クラブフロア? 思ったほど使えないよ……」なんてなるのは、もったないですからね。

手始めは東南アジアのホテルがベスト。料金は手頃ながらサービスが大変素晴らしいし、同じアジア系という安心感があるので気後れせずにすみます。反対に「使う必要がないナ~」と思うのがエアポートホテルのクラブフロア。なにせトランジットのために使う宿ですから、チェックインは深夜、チェックアウトは早朝というパターンが大半。よって各種サービスもラウンジも使う時間はなし。差額を払う意味がありません。またこうした状況を反映してか、サービス自体も充実していないホテルが多いのですな。

クラブフロア滞在の隠れた特典とは

そうそう、クラブフロアに泊まるならぜひ2泊以上にしてください。1泊だけではサービスのお得度を実感できませんからね。連泊して続けてラウンジに通えば、スタッフも顔なじみになってきます。すると自分好みのサービスをわかってもらえるし、混雑の少ない夕方早目に行けば話し相手にもなってくれます。

実はこれ、おしゃべりの中から現地情報や最新動向がうかがえるという、特にビジネス滞在では欠かせない裏技なのです。コンシェルジェほど敷居は高くないし、面倒くさくもない。クラブフロア滞在の貴重な特典は、そんなところにもあるのです。

花鳥風月

このホテルに泊まるならクラブフロアに!

私がこれまで利用したホテルのクラブフロアで特に印象的だったのは、バンコクのディシュタニ、パトムワンプリンセス、クラウンプラザ バンコク ルンピ ニーパーク。特にクラウンプラザのラウンジは、かつてのパンパシフィック時代から評価が高く、広く開放的なスペースと、高級感あふれるデザイン、飲食物のクオリティの高さも有名です。クラブフロアビギナーなら、ここらへんからトライするといいと思いますよ。

極めつきは、シンガポールのマリナ ベイ サンズ。相変わらずの超人気ホテルですが、ここに泊まるなら多少無理をしても絶対にクラブフロアにすべし!  最上階の有名なインフィニプールエリアは宿泊者しか入れないスペシャルスペースですが、その中の最も景観のよい場所にクラブフロアゲスト専用のラウンジが設けられているのです。プール越しにシンガポールのスカイラインが一望できるという贅沢さ! その特別感に満ち満ちた景観を眺めながら飲むシャンパンは、もう最高のひと言。このラウンジだけでも「泊まってよかった」と実感できるほどですよ。ぜひ、お試しあれ!

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