ミスターMのおいしい旅の話「次の旅はここへ行け!」
Vol.
41

これぞオトコの旅支度~パッキング力向上編

ミスターMのおいしい旅の話 これぞオトコの旅支度~パッキング力向上編

よくガールフレンドに「男性の旅支度って簡単そうでいいわね」と言われることがありますが、どうしてどうして。私もスーツケースにこだわり、パッキングのコツが分からず、結果的に全然使わないモノがなんでこんなに・・・なんて時代もあったのです。それが地球を何周もし、年を重ね、経験を積んでいくうちに次第にシンプルになっていき、最終的に自分なりのスタイルが完成したというわけ。基本的には「迷ったら持って行く!」主義に賛成ですが、経験を重ねてもなかなか荷物が減らせない、パッキングに進化が見られない・・というご同輩に、今回も引き続き旅支度スリム化軽量化、美しいパッキングのヒントをご紹介いたします。

邪魔なものを持たないために

昨今のアウトドアブームでザックを1グラムでも軽くと、持ち物選別しつつパッキングする涙ぐましくも楽しい(?)努力を体験済みの方々も多いことかと思います。そうなんです、誰だって旅行に限らず邪魔なものは持ちたくないですよね。まあ、たまの旅行なら、そんな失敗も旅の楽しみの一部と笑っていてもOKですけれど・・・。私の旅支度の基本にあるのは「シンプル&スマート」の美学。今や、よほどの長期間でない限りスーツケース1個とビジネスバッグのみという、コンパクト&シンプルを徹底。たとえ必要なものがあったとしても、数や量を増やすのではなく、手持ちでいかに賢く兼用するか=マルチタスクに知恵を絞りたいものです。

持っていく必要のないものの筆頭はネクタイケースやシャツケースなど。美しくパッキングするためにあるこういうケースものって、かさばるばかりで実は意味がないのですな。また男性で大荷物になってしまう一番の原因は、下着。先月号のナノメートルさんも教授されていたように、下着類はどんなに長期でも最低限の3セットで十分。もちろん、これは状況に応じてのこと。スーツケースを開くひまがないほど移動続きの旅や、洗濯する時間がない時は日数分も仕方ないですが、実際には必要以上の数を持っていく人が多いような気がします。これがすべてに通じるかさばりの主因です。

下着は薄く速乾性のある素材を選ぶ

そして下着は、乾きやすく薄い素材のものがお薦めです。今のように速乾素材が一般的になる前は、出張先で時間があるとデパートなどの下着コーナーによく足を運んだものです。象徴的トレンドは、5000万枚も売れる世界的ヒット製品ユニクロのヒートテック。毎年より薄く進化していますよね。小さくたためるし、夜洗えば翌朝にはきっちり乾くでしょう。特に冬場はホテルの室内が乾燥するので、洗濯ものを干しておけば風邪予防にもなります。最近とみに進化した速乾性素材ならバスタオル脱水もいらないほどです。肌触りこだわり派御用達コットン素材は重量があるし、洗濯しても乾きにくいし・・・。コットン素材で押し通すなら4泊程度までですかね。また海外有名ブランド製品には結構セクシー系の下着も数多くあります。こんなものを旅用にしてみるのも非日常感があっていいじゃないですか(笑)。

ついでに旅用下着を選ぶ際のアドバイスを。フィット感に個人差はありますが、おすすめは「パンツはベルト部分が広め、そしてワンサイズ、ツーサイズ大きめ」です。ベルト部分がゴムのものは飛行機に長時間乗っていると、気がつかないうちにお腹がかなり締め付けられています。これは消化や血行を不全にする最大の原因。エコノミー症候群予防にも、パンツはつかず離れず。体にゆったりとフィットするものを探してください。それと最近発見した冬仕様下着の着方、「シャツをパンツに入れる」こともポイント。シャツは基本的にお腹やお尻上部をカバーする長さがあります。私は今までシャツはパンツの上としていました。フィットしたシャツを下限まで延ばすとパンツの中に入ります。これを入れ替えるだけで、カラダがかなり温かく感じます。・・・そんなこと常識でしたか!?

シャツとジャケットのしまい方

先にシャツケースは不用と断じましたが、ではシワはどうやって防ぐのかといいうと、常識的にはクリーニング済みの状態のまま収納するか、もしくはその形を復元するようにたためばいいのです。クリーニングから戻ってきたシャツは、襟、胸、カフス部分が表に出ていますよね。これらはスーツを着た時に隠れない部分、言いかえると、最も目立つ部分なのです。ということは、上着を脱がない限り、ここさえピシッとしていれば他はヨレヨレでも構わないということ。やむなく自分で洗ったり、アイロンをかけなければならない場合にも、襟、胸、カフス部分を丁寧に仕上げれば大丈夫です。

しかし、私のたたみ方は「丸める」です。ワイシャツはどんなに高価なシャツでも、ハンガーに吊るしておいたり、きちんとクリーニング上がりスタイルにたたんで収納しておいても、いつの間にか襟や袖口が黄ばんできませんか? 黄ばみは酸化ですから、空気に触れにくく収納する。このたたみ方がパッキングでもシワになりにくいのですよ。それには内折りしてたたみ、最後の三つ折(縦折)する仕上げを丸めてたたむのです。シャツ(ワイシャツ、ポロシャツなどすべて)、折り目に神経を使わないパンツ類はこの方法でたたみ、パッキング、収納します。丸める圧力加減に技がありますが、慣れればソフトにきちっと崩れないたたみ方ができるようになりますよ。ぜひお試しを。

ジャケットは肩を中に入れて裏返し、片袖をもう一方の袖に入れて畳むようにします。これはクリーニング店やホテルなどのクロークがジャケットを預かったときのしまい方。単なるプレゼンではなく、ちゃんと合理性に基づいているんですね。機会があったら、ちょっとチェックしてみてください。ジャケットも薄手で保温効果のあるインナーを重ね着しても型くずれしないよう、ややゆったり目のものを。艶消しのテキスタイルなら汚れが目立たず、シックな雰囲気を演出できるし、カジュアルからフォーマルまで着回せます。

これだけは自前が原則!

旅先でいくらでもリカバーできる品がある一方、必ず持っていったほうがいいものもあります。小さいもので言えば爪切り。指先は最も注目を集めやすい部位ですから、プレゼンやミーティングの予定があるビジネスマンは特に気を配ること。ホテルで借りてもいいのですが、品質は保証できません。使い慣れているものが一番です。また靴とスラックス類は、破れた・壊れたなどの一大事に、自分にピッタリ合うものがすぐに手に入るとは限りません。特にスラックスは、裾上げや直しに時間がかかる困りモノ。リスクをゼロにしなければならない重要な旅には、予備を持っていくことをおすすめします。

アウトドア用バッグで賢くパッキング

次は、パッキングです。パッキングのポイントは、中身の多少量に関らず「動かない」こと。そこで欠かせないのが市販のモノならばアウトドア用のバッグ。各種サイズや形、カラーがあり、通気性や完全防水性能など、使いやすく邪魔にならないお役立ちアイテムです。丸型、封筒型を通気性の良い袋型とメッシュ型3サイズほど取りそろえて使い回しています。これらにパンツ類、下着類、シャツ類など等をサイズに合わせて収納します。またコストのかからない代用品としては、私は長らくスーパーのレジ袋を使っていました。

次に荷物を詰めるうえでのポイントですが、ニュートンの法則に従い、バゲッジの上下左右で比較的下側になる場所に、かさ張り重量のある固めの中身を配置します。下着類をまとめたバッグは丸型を使い、クッション性もあるので平らにつぶして置いたり、上下をつぶして押し込んだりとスペース調整の重宝する要です。また靴はシューケースに入れて並べて置き、甲の上に服を収納したバッグを置いて保護します。靴の中にはキズが付かないように袋に入れたコードやプラグなどの細かい備品やサングラスケースなどを詰めておくのもいいでしょう。こうすればシューキーパー代わりにもなり両得です。靴を横に並べるスペースがない時は、必ず甲の方を合わせてまとめること。安定性を考えて靴の裏を合わせてしまう人がほとんどですが、これはかっちりした革靴には致命的。シューキーパーでも入れておかない限り、スーツケースの動きに合わせて圧力がかかり、型くずれの原因になってしまいます。この方法で配置、パッキングすると、パソコンをそれらの間に収納しても安全なほど、きちんとしたパッキングができますゾ。

パッキングは必ず自分の手で

ところで男性のみなさん、旅支度のパッキングは自分でしていますよね? え? 奥さん任せですと!? それはいけません。旅先でも自由自在にパッキングできるよう、常に自分の手で行うクセをつけてください! なぜこんなに力説するかというと、パッキングが人任せでは万が一の時に対応できないからです。私は山に登るのですが、クライマーは早朝や暗闇の中で音を立てずにすばやく効率的に行動するため、何がどこにあるか常に正確に把握していなければなりません。下手をすると生死にかかわりますから、パッキング能力はものすごく重要なのです。

同様に旅先では誰でも突然の災害、事故や事件に巻き込まれてしまう可能性があります。見知らぬ場所で少し長い停電が続いただけでも、人間はパニックになってしまうもの。イザというときに自分の荷物もまとめられない人が、どうやって危機的状況をサバイバルできるというのでしょう。せめて荷物から必要なものがすぐ取り出せるくらいの自己管理能力くらいは身につけておきたいですよね。

重要なものの定位置を決める

そのためには「重要なものの定位置を決めておく」こと。これこそがパッキングマスター最終クリア項目。旅の定番アイテムを決めておき、パッキングしていく順番を決めておき、取り出してホテルなどの客室へ置くときの場所を決めておき、帰国後に片付けしまう場所を決めておく。これがスムーズにできれば、旅支度のストレスはぐっと軽減されるはずです。ちなみに私はホテルの客室に入ると、すぐにデスクと洗面所に決まったアイテムを並べて置いておきます。ペン、メモノート、財布、キーから、シェーバー、ローション、歯ブラシ・・といった具合です。もちろん自宅でも変わりません。こうしたクセをつけておくと、真っ暗闇の中でも緊急時でもすぐに必要なものを手に取れます。1分1秒を争う時に、スーツケースの中を引っかき回さなければ目当てのものが見つからないなんて、ハイパートラベラーならぬトホホトラベラー・・・ですからね。

パッキングには徹底的に時間をかける!?

いくらルーティンに近い作業になっていても、私はパッキングに最低1時間、どんなにタイトなスケジュールでも、家を出る2時間前はパッキングの時間として必ず確保しておきます。その理由は、旅先でのシチュエーションをすべてイメージし、それに合わせて最小限かつ合理的なコーディネイトを考えるため。たとえビジネスでも、着たきりスズメはよしとしません。服のバリエーションがあったほうが気分転換にも役立つからです。

どこに行くか、そこがどんな気候かはコーディネイトを決める大切なポイントですが、それ以上に重要なのが「だれと会うか」です。ビジネスならスーツがあればいいと思いがちですが、それはあくまでも日中の会合の場合。夜にもお付き合いや接待があるとします。すると欧米では大抵、待ち合わせ前にいったん解散します。日本のようにオフィスからそのまま飲食店へというパターンはまれ。気安い相手なら「じゃあ、シャワーでも浴びてさっぱりして」と言ってくれますが、これはお世辞や気遣いだけではありません。再び落ち合った彼らの服装をチェックしてみましょう。ネクタイだけかもしれないし、ジャケットだけかもしれませんが、明らかにどこかが違うはず。イブニング(ディナー)タイムのために着替えるのは、欧米ではほぼ常識、最近はアジアでもそうなりつつあります。

ということは、私たちも昼間と同じままの服装で出かけるのは失礼にあたる、もっといえば相手に恥をかかせる行為だと肝に銘じた方がいいでしょう。相手に合わせてファッションを柔軟に変えてこそ、グローバルなビジネスマン。だからこそ服のバリエーションが必要なのです。最適なのは、どんなスタイルにもアレンジしやすいビジネスカジュアル。前号でスーツは不要と結論付けた理由はここにもあるのです。ダークカラーのジャケットにブラックジーンズ。濃い色のピンストライプシャツ。カラーは白、黒、グレーのバリエーションで。いくら自由業であっても、どこでもTシャツやポロシャツというのは感心しません。使い分けてこそエグゼクティブ、ですぞ。一方、フォーマルの最終兵器は何かといえば、それはもうタキシードしかありません。いざというシーンでタキシードをさらりと着こなせるようになればグレイト! 文句なしです。

マイフェイバリットホテル

ノースショアで大人のバカンス

ワイキキからのんびり車を走らせて約1時間半、一度ゆっくり過ごしてみたいと思っていたタートル ベイ リゾートに念願のチェックイン・・・が、時期を誤りました。12月前半はホノルルマラソンとサーフィン大会で、いつもは静かなノースショアが過密状態(サーフィン観戦客は、徒歩で3時間も離れた場所にしか車を停められなかったそうです)。そんなこんなで早めの入館はあきらめざるを得ませんでしたが、通された部屋はオーシャンビューのスイート。ワイキキとは違ったワイルドな海の眺めは、また格別なものがありました。ヒルトン時代を含めると、オアフでも指折りの歴史を持つこのホテル、さすがに建物には年季を感じますが、メインテナンスは上々。トロピカルだけどシックなデザインが、実に「大人のリゾート」という感じです。

夕食は友人おすすめのレストランに足を運んでみました。でも、なんだかオカシイ。カジュアルなラウンジみたいなのですよ。首をひねりつつ、女性バーテンダーのサービスがなかなかだったので、ま、こんなものかな、と。後に、くだんのレストラン「オラ」は、私が利用したダイニングのまだその先に位置していたことが判明!広大な敷地もよしあしですナ(苦笑)。ところで、このリゾートへはオアフ到着日に訪れたので、時差ボケ解消も兼ねて併設のゴルフクラブで軽くプレイしてみました。その時にたまたま一緒にラウンドした日本人ゲストが、アマとは思えない腕前の持ち主で・・・。いや、参りました、感激しました。つられて私のスコアまでアップしたくらい(笑)。まだまだハワイらしい素朴なムードと、大自然を背景にしたスポーツが本気で楽しめるノースショア。タートル ベイ リゾートにはコンドミニアムやヴィラもあるので、いつの日か長逗留し心ゆくまで満喫してみたいものです。

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