客室は全てオーシャンビュー。露天付きも4部屋あり
日の出と日没時の景勝をたっぷり堪能できる大浴場
無料の貸切露天風呂からもダイナミックな眺めが
山海の幸がこれでもかと登場する料理のファンも多数
チーム「ニュー小松」の素晴らしき親和力
穏やかな湾に浮かぶ200以上の松の島。海外でもちょっとお目にかかれない、この奇観は日本三景のひとつ「松島」のもの。「はるか昔は松が生えた丘だったそうですよ。それが海面の上昇でどんどん沈み、こんな形になったのだとか」。そう教えてくれたのは営業部長の黒澤吉徳さん。「えっ!? 私も仙台出身なのに知りませんでしたよ!」とフロント係の笹原彬文さんが驚くと、「実は、あんまりお客様に聞かれるから焦って調べたところで・・・」と照れ笑いする黒澤さん。
あれ、なんだかふつうの宿とちょっと違う。みなさん態度が何とも開けっぴろげというか、大らかというか。年齢や役職に関係なく、スタッフ同士が実にフラットで、端で見ていても気持ちがいいのです。「長く勤めている者が多いからかな」と黒澤さんがつぶやけば、社長室室長の小松篤司さんが「先代の女将はキョーレツでしたけどね」と返し、すかさず常務取締役の小松隆司さんが「あれはすごかったな〜」と爆笑。みなさんビシッとスーツを着こなしているだけに、そのギャップもまた面白く、こんな和気あいあいとした空気から生まれる企画は、さぞやユニークで型破りなのだろうと思わずにいられません。
ついに待望の温泉が!
「キョーレツな先代女将が石釜で仕切っていた」小松館を、風光明媚な松島に移転して約20年。「ホテルニュー小松」開業は土地を切り拓き、インフラ整備からはじめる大事業だったのだそう。「しかも条例で松の木の伐採は禁止。だから家屋は松に合わせて造ったんですよ。大浴場へのアプローチに意味のない階段の上り降りがありますが、あれも下に松の根があるからなんです」「知らなかった・・・」。向こうで、入社して日の浅い笹原さんがまた驚いているようです。
古くは修行僧の神聖なる終の場所、後には松尾芭蕉を魅了した景勝・松島ですが、観光地として大きな弱点がありました。それは温泉がないこと。地元観光業関係者の悲願は「いつか必ず温泉を!」。そして粘り強い掘削の結果、2007年12月、ついに高温のアルカリ性単純泉を掘り当てることに成功したのです。ホテルニュー小松も、2010年4月から源泉を引き開湯したばかり。夜中に総出でお湯の入れ替え作業を行ったスタッフも、素早く体を温め湯冷めもしにくい、ほんのりとろりとしたやさしいお湯に大満足です。
誰もが望む理想の温泉宿
福浦島を望む松島でも最高のロケーション、東北山海の新鮮素材がたっぷり供される料理、そして天然温泉と、誰もが望む理想の温泉宿の全てを備えたホテルニュー小松。「温泉とあわせ、料理をここにしかない新和食に変身させます。リピーターにも嬉しいサプライズのある宿を目指します」。ホテルニュー小松は、その素晴らしいチームワークで、今後も想像以上の進化をしていきそうです。
ダイニングはノーブルな雰囲気の和洋折衷空間
紅殻かまどの炭焼きは何度食べてもまた食べたい!
追加料理としても人気が高い仙台名物極上芯タン焼き
毎月おすすめの地酒がフィーチャーされるので注目!
純和食をフレンチスタイルで
温泉が開湯したのと歩調を合わせるように、ホテルニュー小松では定評の高い料理にも大きなアレンジを加えました。メインステージとなるのは1階のダイニング。絢爛という言葉が似合いそうな和を基調とした空間に、真っ白なテーブルクロスのかかったテーブル。カトラリーのセッティングはフレンチそのものです。しかし、供されるのは車塚慎一料理長が精魂込めて作る純和食。出し方もこれまでのような少量&多皿型から、フルポーションのコース風にチェンジ。お造りやメインはプリフィクススタイルで、テーブルごとに好きなものが選べます。
「スタイルを変えることに、とまどいはありませんでした。むしろあれこれ縛りや決まりがないぶん、柔軟な発想ができて楽しい。ただフレンチスタイルにすると、どうしても品数が減るのが心配ですね。喜んでもらえるといいのですが」という車塚料理長。趣味は釣り、スタッフが探しているとポツンと足湯でなごんでいたり・・というマイペース派。ちなみにデザートは、専門のパティシエが手がけているのだそう。「別に和風にこだわることもない。おいしいですしね」という大らかさと懐の広さが、さまざまなゲストを魅了する極上の味わいに結びついているのでしょう。
部屋食もレストランも魅力いっぱい
「部屋食ではカニ出汁で炊いたご飯に季節の魚介を散らした宝石ご飯、秘伝野菜を入れ、12年前から足し続けているたれを使った煮魚などの名物料理は、定番として残していきます」(車塚料理長)。レストランの名物、紅殻かまどの炭火焼きも絶品です。牛タン、えごま豚、しゃも、穴子などの地物からカニやエビなど、東北地方の新鮮な食材がズラリ。しかもどれもこれもボリューム満点。さらに、ブッフェカウンターには「晩げのおかず」として、箸休めやアルコールのおつまみに家庭的なお総菜が用意され、好きなだけ食べることができるのです。ある日のおかずは、卵焼き、のり佃煮、ホタルイカ、たこわさ、三つ葉と鶏肉の煮浸し・・・うーん、書き出すだけでもおいしそう!
仙台の地酒が楽しめるラウンジも
ダイニングやレストランでの食事には、他にも楽しみがあります。全ての料理を堪能したら席を立ち、バーラウンジ「汐風」に移動。ムーディなここでデザートとコーヒー、もしくは食後酒をいただくという趣向です。「ワインの充実も力を入れますが、実は仙台にはおいしい地酒がたくさんあるんです。ショット売りもして、ラウンジをもっと活用していただけるようにしたいですね」と張り切る小松社長室室長。いや、本当にかなりの銘酒がそろっていますから、ぜひお見逃しのないように!
壁と天井の矢羽根模様、海の景色が絵のように見える
四面を引き戸で締め切ることのできる「無の空間」
もちろん通常の和室の部屋も端正なたたずまい
全室オーシャンビュー。素晴らしい景観が広がります
若いゲストを引き寄せた貸切露天風呂
ホテルニュー小松の客室は34室。ゆえに団体客は少なく、仙台市内や近県の年配層を中心に親しまれてきたそうです。大きな変化が起こったのは、貸切露天風呂を増設してから。営業部長の黒澤さんによると「一気に若いお客様が増えました」。しかも「いくら個室露天付きでも、東北の方では一人3万円近い料金設定なんて無理かと思ったんですが、その部屋から予約が入るんです。びっくりしました。でも、若い方は一生懸命お金を貯めていらっしゃるんだなあと思うと本当にありがたい。ですから絶対に楽しんで満足していただこうと肝に銘じています」。
画期的かつ刺激的な新客室「趣」
とはいえ、やはり個室露天付きの部屋には手が出ない・・・というゲストに人気急上昇なのが新客室「趣」です。8畳にシャワーブース&トイレというシンプルな構造ですが、はやりの「和モダン」とは異なり、かなり画期的かつ刺激的。民芸調の重厚な木目を活かした部屋のテーマは「和の空間」。薄い木を矢羽根のように組んで壁や天井にしつらえた部屋のテーマは「絵の空間」。この独特の地紋や松島の眺めが、まるで絵のように見えるからだとか。
そして部屋の四面に格子の引き戸が張り巡らせてある部屋が「無の空間」別名「格子の間」です。ゲストが入室するときは海側を除き、全ての格子戸を閉めておきます。よって目に飛び込んでくるのは松島の景色のみ。格子ひとつで日常を非日常に変えてしまう鮮やかな演出です。畳は縁のない琉球畳、家具もちょっと不思議なテイストものばかり。ちなみにこの新客室はシャワーブースだけにしたところ、ほとんどのゲストがシャワーを利用するようになったそうです。スタイリッシュなデザインと使いやすさが、その理由かもしれません。
ゆっくりゆったり館内で湯めぐりを
さて、人気の貸切露天風呂ですが、宿に到着したらまず予約を忘れずにしてください。無料なので競争率が高いのです。ひとつは吹き抜けの爽快な「朝日見の湯」。もうひとつが個室タイプの「離れ湯庵」。洗い場やマッサージチェアが置かれたリラックススペースが完備しているので、家族連れや小さな子供のいるゲストに喜ばれています。
客室で、大浴場で、貸切露天風呂で、と楽しむホテルニュー小松湯めぐりの締めくくりは、足湯「月見の湯」。テレビコマーシャルにも登場した絶景をほしいままにする場所で、まるで海に浮かんでいるような気分。体が冷えてきたらラウンジバー「汐風」に移動して、暖かいお茶をゆっくり味わって。ほっと心を和ませて、またお風呂に戻るもよし、エステやマッサージをお願いするもよし。静かで贅沢な時間が流れていきます。