愛らしい彫像がお出迎え
ハイドパークと名付けられたアトリウムラウンジ
品よく落ち着いたジュニアスイートルーム
クラシカルな英国式馬車の展示が
なぜか人を集めるホテルの秘密は
日本人は礼儀正しい…。外国人がこの国を評価するニュースに接するたび、非常にうれしい気持ちになると同時に、背筋が伸びる感じがします。「礼」とは行動の美学。思いやりを内に留めるだけでなく、型によって示すこと。日本人が昔から大切にしてきた精神文化。海外で同様の価値観を持つ国として思い出すのが“紳士の国”イギリスです。かの国の騎士道と、この国の武士道。その共通性も多く指摘されています。
「“立派な日本人をつくる”というのが親会社の社是でもあるのです」と接客部宿泊課長の白石奨さん。駅から少し離れた場所に建つホテル東日本宇都宮が、なぜ多くの集客を誇っているのか。なぜ一時は挙式数で全国3位になるほど支持されたのか。その理由が、ホテル業界では常套句の「心あたたまるおもてなし」にあると聞き、真意を探っていると“立派な日本人”。どういうことなのでしょう。
重厚で落ち着いた空間
JR宇都宮駅から車で約10分。商業施設や宅地が囲む場所に、どっしりとした大きな構えのホテル東日本宇都宮が忽然と姿を現します。エントランスを入ると、そこには周囲とはかけ離れた重厚で落ち着いた空間が。英国調の調度に囲まれ、3層吹き抜けのアトリウムラウンジにはガラスの天井からやわらかな光が差し込んでいます。優雅なティータイムを楽しむゲストの姿。心なしかプチ社交界といった印象です。
礼の精神文化がサービス力になる
「こう見えて当ホテルは非常に日本的な会社で、新入社員は初めての給料で親孝行することが“決まり”なのです。一般社員も毎年4月が親孝行月間です」と聞いて、ややたじろぎました。それは素晴らしいことですが、ホテル業となんの関係が?
「親孝行すらできない者が他人様におもてなしできるわけがない、ということなのですね。お世話になった人にどう奉仕したら心から喜んでもらえるのか。それを自分の心で考えるのです」
白石さんは続けます。
「それともうひとつ、“礼儀挨拶日本一”も掲げています。お辞儀は日本ならではの美徳。研修などでもいちばん時間をかけて身につけます。型というのは、やはり精神がこもっていないと、美しく見えません。大切なのは人間力。それがサービス力につながります」それでいて上意下達の精神論に終わらず、社員の結束がすごく高いというから驚きです。
話をうかがっていると“心あたたまるおもてなし”というありふれた言葉が、すごく深いものなんだ…と改めて気づかされました。武士道精神や茶の湯にもつながる。「礼を尊ぶ心。そんな日本人らしさの原点を育てていくことがプライドにつながる…立派な日本人をつくる、というのは、そういう意味なんですね」
礼節を重んじる気風が、ハード面においては英国調のスタイルを描き、ソフト面では日本らしさの追求として現れた。それがホテル東日本宇都宮。ロビーで見かけるゲストがみんな笑顔の理由がわかった気がしました。
広めでゆったりとしたつくりのツインルーム
「パルテール」の本格フレンチで贅沢な気分を
「万葉亭」では見事な日本庭園を眺めながら
カクテル全国コンクール出場の腕前を「ビッグベン」で
ゆとりのスペースと落ち着いたインテリアの客室
「市内随一と言っていいと思います」と接客部宿泊課長の白石さんが言うとおり、どの客室もひろびろ。ゆとりのスペースと落ち着いたインテリアがリラックスさせてくれます。寝心地がいいデュベスタイルのベッドを全室に備え、設備類も機能的。また、周辺には有名企業の拠点も多いことから、ゲストの1~2割は外国人とのことで、さらに宇都宮に来る賓客も多く受け入れているのだとか。招く方にも「このホテルなら」の安心感があるからでしょう。
8店舗すべて直営!
人が集まるホテルのもうひとつの大きな要素は「食」。ちょっと珍しい“すべて直営”の8店舗です。連携のよさを活かし、披露宴などの宴会メニューなどでも好評を得ていますが、それぞれのお店で味わう料理も格別。
最上階に位置するフレンチの「パルテール」は、明るく華やかな雰囲気の中、大きく開かれた窓から景色を眺めながら本格フランス料理を提供しています。落ち着いたインテリアながら家族連れも楽しめると評判。選び抜かれた食材で豊富なメニューを展開し、「このご時世でもおかげさまで好調です」とのこと。美しい食器類も“おもてなしの心”の現れでしょう。
カジュアルイタリアンの「フォンターナ」は、明るい雰囲気の中、パスタやワインなども好評ですが、やはり店内の専用石焼釜で焼き上げる5種類の食べ放題ピッツァが大人気。天気のいい日にはテラス席で味わうのも一興です。
和の“静”と“動”がある
和は2軒。料亭「万葉亭」は旬の食材にさまざまな技術を施した会席料理やしゃぶしゃぶなどが人気です。座敷の雪見障子から日本庭園を眺めながら、ゆったりとしたひとときを。結納や接待のほか、ここでも披露宴を行うことができます。こちらが“静”の和なら、生簀割烹の「漁火」は“動”の和でしょうか。店内の中心にデーンと鎮座する生簀には鯵などが泳ぎ、さながら水族館のよう。もちろん注文を受けてその場で魚を選んでさばいてくれます。焼酎の品揃えも多く、いい気分で舌鼓を打てそう。
中国料理の「黄河」は広東料理をベースに独自のヌーベルシノワの世界を追求。いや、さらに先に進んで「もう少しフレンチ寄りの中華?でしょうか」とのこと。庭園に面し、大陸さながらの落ち着いた雰囲気が楽しめます。
最上階で夜景が一望できる鉄板焼の「香味亭」、カクテル全国コンクール出場バーテンダーが腕をふるう英国調バー「ビッグベン」、日本紅茶協会から“おいしい紅茶の店”認定を受けるアトリウムラウンジ「ハイドパーク」。それぞれが個性的で、お互い切磋琢磨してホテル東日本宇都宮の評判を一層高めています。全部のお店を味わってみたくなりますよ!
ピンスポットに照らされて永遠の愛を誓う
それぞれタイプに合わせたウエディングを
落ち着いたシックなウエディングパーティーも
各種イベントも多数開催
ウエディングに現れる「実力」
礼を尽くしてゲストをもてなす。その神髄がもっとも現れるのは「ウエディング」でしょう。結婚は2人だけで完結するものではありません。家と家を結ぶ儀式。家族、親戚、知人、友人…2人を祝福するために集まってくれるすべての人に喜んでもらえるよう、サポートする重責がホテルにはあります。
「各持ち場のスタッフが一糸乱れぬ連携を見せながら、とっさの対応も必要です。それもスマートにこなさなければなりません」
接客部宿泊課の白石課長の言葉に、結婚という人生の一大イベントをまわす精密機械のイメージが頭に浮かびました。
「いまは首都圏に外資系の高級ホテルが増えたこともあり挙式件数は全国で20〜30位程度ですが、栃木県の宇都宮の、それも駅から少し離れたホテルということを考えると胸を張ってもいいかと思っています」
星の数ほどあるホテルの中でその順位は十分すぎるほど立派なもの。その理由も、やはり「心あたたまるおもてなし」が地道に積み重ねた実績にあるようです。
「新郎新婦よりご両親やご親戚から『結婚式ならホテル東日本宇都宮で』と言っていただけることが大きいですね。流行に惑わされず、本質を正しい形でお届けしてきたことが認められているようで、本当にありがたいかぎりです」
スタイルに合わせて多彩に
挙式場は3つ。ホテル4階の庭に建つアットホームな白い教会「セントビューターチャペル」、日本の心を伝える神前式場、そして一番人気は県内屈指のスケールと中世ヨーロッパを彷彿とさせる重厚感を誇る別棟の「ロイヤルオールセインツチャペル」。こちら、東方神起「ボレロ」のPVの舞台になった…といえば、その素晴らしさはご想像いただけるはず。ホテルのロビーから私道を通って数十メートルの距離ですが、新郎新婦はホテル所有のロンドンタクシーで移動するというから徹底しています。
宴会場は全部で7タイプ。1室で最大約700名様のディナースペースがとれるそう。部屋はどれもそれぞれ個性的で、エレガントに、クラッシックに、ノーブルに、スタイリッシュに…と多彩なニーズに応えてくれます。
一流のエンタメも
「これだけの宴会場があるので、ディナーショーなどにも力を入れています。年間に約10本くらいでしょうか。地方都市は一流のエンターテインメントに触れる機会も少ないので、なんとかうちが提供できれば、と。噂を聞きつけた首都圏の錚々たるホテルから『どうやって運営を?』などの質問や相談が来ることもあります」
聞けば誰もが知っているアーティストなどがホテル東日本宇都宮のステージに立つ。それだけでも、ここの実現力がよくわかります。