「素晴らしい眺望もこのホテルの自慢です」
エキゾチックかつグラマラスなムードのロビーラウンジ
全面改装で登場した「金澤スタイリッシュ」の客室
客室内を飾るのは著名作家による金沢伝統工芸品の数々
自分の言葉で地元を語るために
あなたは自分の住んでいる町のことをどれだけ詳しく知っていますか? ある日突然、総支配人にそうたずねられたホテル日航金沢のマーケティング部プロモーション課課長、岡島憲孝さん。思わず考え込んでしまったそうです。「私は金沢出身ではありませんが、それでもここで15年もお客様をお迎えしている。なのに、きちんと説明できないんですよ。いや、ショックでしたね」。それがきっかけとなって行われた今年の新人研修。題して「まいどさんと行く 金沢を知ろうツアー」!
「まいどさん」(方言で「こんにちは」というような意味)、とは金沢の観光ボランティアガイドのこと。事前に申し込めばガイド料は無料で希望スポットを案内してくれる頼もしい存在です。その先導のもと、ホテル日航金沢ご一行様総勢約30人。総支配人や岡島さんも参加し、「よく知っているはず」の兼六園やひがし茶屋街などを、改めて観光して回りました。「知識を深めるのはもちろんのこと、まいどさんが、どこを、どういう言葉で、どう説明するのかにじっくり耳を傾けました。課題は、それをいかに咀嚼して自分の言葉にし、お客様に伝えられるようにするか。いい勉強になりました」。
ここにいれば金沢がもっと好きなる
自らが模索するクオリティの高いサービス。これこそがホテル日航金沢が目指す、到達点のない目標です。ミシュランによる日本観光地ガイドで三つ星、二つ星、一つ星のすべてを獲得している金沢市。「私たちはその金沢市のランドマークホテルとして、常に最高のサービスを提供するべき立場にあると思っています。たとえば市内でドアマンのいるホテルはここだけですし、ベルマンも多数控えている。中でも高い評価を得ているコンシェルジェは、私たちのサービスの象徴です」。
2009年から進めている館内リニューアルも、デザインのメインコンセプトは「金沢」。金沢が誇る伝統文化を洗練されたスタイルで反映し、いながらにして金沢の「いま」を感じてもらう。陰に陽に凝らされた多方面にわたる創意工夫やもてなしは、それと気づかなぬうちにゲストの心に深く刻み込まれていきます。「だからこのホテルにご滞在いただくと、きっと、もっと金沢が好きになるはずです」と岡島さん。
スタッフが体現する「金沢の粋」
「今の悩みはこれから改装する客室を、どうしようかということ。和室をというリクエストもありますし、思い切ってリュクス・スタイルよりゴージャスな部屋にしてしまいたいという気持もある。もっとも僕が決められるわけではないですけどね。あ、でもその前に、レストランの改装もせっつかれているんだっけ」。スタッフひとりひとりが、今自分が働いている場所で「こうしたい」「こうありたい」という明確な展望を持っているホテル日航金沢。トップランナーでありながら決して守りに入らないその姿勢に、揺るぎない自信と心意気のようなものを感じました。
備品も眺望も居心地もホテル日航金沢で最高級
バスルームには専用テレビと巨大レインシャワーも完備
「ル・グランシャリオ」には愛が成就するラブシートが
日本庭園の美景を眼前にする「弁慶」寿司カウンター
リュクス・スタイルで一夜の夢を
改装により誕生した客室で「ホテル日航金沢が総力を挙げてアピールしたい」というのがリュクス・スタイル。金沢スタイリッシュのハイカテゴリーに相当する、柔和な和のイメージとコンテンポラリーデザインを融合させた豪華な客室です。銀と鉛の箔をほどこしたランプ、重厚な質感のファブリック、そして もちろんオリジナルのアートワーク。全体的に輝くような明るさが特徴で、キャビネットやソファの美しさといったら! 専用テレビやビッグサイズのレインシャワーが埋め込まれたバスルームも、歓声を上げずにはいられません。
「せっかくリュクスに滞在していただくのですから、空港からストレッチリモによる送迎付きとか、専用ハイヤーとプライベートコンシェルジェ付き、さらにはフロアごと貸切にしてしまうプランも考えているんです。が、果たして需要があるのか・・・」とマーケティング部の岡島課長。いえいえ、たとえ年に1回しか予約が入らなくても、ゲストにしてみればそんなプランがあるだけで夢が広がるじゃないですか。ぜひ実現してほしいものです。
日本を代表するコンシェルジェ
ところで岡島さんがプライベートコンシェルジェなるアイデアを持つ背景には、小島久枝さんの存在があります。小島さんはフランスで発足したコンシェルジェのネットワーク「レ・クレドールインターナショナル」の日本メンバーから構成される「日本コンシェルジェ協会」の一員。ホテル日航金沢のコンシェルジェチームを率いるチーフとしてだけでなく、社員のマナー教育や各地での公演など幅広く活躍するスーパーウーマンです。「このホテルのおもてなしの象徴が、小島をはじめとした優秀なコンシェルジェ。今後はもっと人数を増やし、お客様のホテル滞在だけでなく、金沢でのご滞在のすべてをサポートさせたいですね」。
どこに行こうかダイニング
ホテル日航金沢飲食施設は合計7つ。眺望の素晴らしさで人気の高いスカイラウンジ「ル・グランシャリオ」は、週末になると披露宴等で貸切になるため「ある意味予約の取れないレストランなんです」と岡島さん。日航といえば、の中国料理「桃季」も有名です。でも、どこか1軒といわれたら、ぜひ足を運んでほしいのが日本料理「弁慶」の寿司カウンター。寿司料理長の飛地孝志さんが毎朝近江町市場で仕入れ、時間をかけて丁寧に仕込むネタは絶品! 飛地さん曰く「ここは日本庭園の景色がいちばん美しい場所。でもさ、みんな庭の写真ばかり撮って、私のことは撮ってくれないんだよ」。こんな気さくな職人が待つカウンターです。ひとりでも安心して出かけてみてください。
目を奪うような空間が展開するロビーエリア
加賀五彩を基調にした金沢スタイリッシュの客室
洗面台のミラーはゴージャスなハリウッドスタイル
室内の装飾や調度品は本物の金沢伝統工芸品です
贅を尽くしたロビーにワクワク
ホテル日航金沢のロビーは、意外なほどこぢんまりとした印象です。ちゃんと面積はあるのですが、エントランスを入ってすぐに、エキゾチックかつグラマラスなデコレーションが施されたラウンジ。その奥には噴水を設けた回り階段と、目線を上に向ける構造になっているため、「広い」という認識が得られないのです。「やはりロビーはドーンと広くてシャンデリアがキラキラの方が、ホテルって感じしますよね」とマーケティング部プロモーション課の岡島課長。いいえ、そんなことはありません!
全254室と比較的大規模でありながら、ざわつきや慌ただしい空気が感じられないのは、何よりもこのロビーのレイアウトのおかげです。ラウンジはまるでアフリカかどこかのコロニアル邸宅のサロンのようですし、ホワイエはオリエンタル風のリゾートムード満点。装飾品や調度品は素人目にも贅を尽くしていることがうかがえます。その内装が与えてくれるワクワク感は、自分好みのプライベートホテルを見つけた時のごとし。いわゆる「ホテル好き」には、たまらない造りといえるでしょう。
「金沢スタイリッシュ」に酔う客室
そんな重厚なロビーエリアとは対照的に、17階から19階の客室は「金澤スタイリッシュ」をコンセプトにした、洗練されたカラーリングとアートワークが織りなす究極の美空間です。ベッドボードやファブリック類の基調色は藍、臙脂、黄土、草、古代紫の加賀五彩。カーペットも城下町の格子をイメージし、深い落ち着きと安らぎを醸し出しています。何よりも目を引くのが、室内のあちこちにしつらえられた本物の金沢伝統工芸品。加賀友禅文様のパネル、漆塗りの三面鏡、ガラス工芸、金工など、「ハウスキーピングの手順を変えなければならなかった」ほどのデリケートな品々が、装飾のみならず実用品として惜しみなく投入されているのです。
使い勝手も抜群の客室
通常はデザイン優先だと使い勝手がイマイチというケースが多いのですが、この客室はその点も見事にクリア。やや低めのシモンズ製ベッドは乗り降りが快適ですし、洗面室のミラーはメイクアップに便利ハリウッドミラーランプ仕様。バスルームの微妙にカーブしたシャワーレール、マレーシア製のナチュラルアメニティと、そのこだわりは細部にまでわたっています。城下町、日本海の双方を望む素晴らしい眺望や、客室の広さも「市内ナンバーワン」というホテル日航金沢は、客室にいるだけで金沢の魅力をあますところなくゲストに伝えてしまうのです。