建物は周辺の景観と違和感なく調和しています
館内のあちこちに目を奪うような美術品が
エレベータホールにはW・モリスのオリジナル
客室もギャラリーのような雰囲気が漂います
モントレ初のコンシェルジェ
ホテルモントレ京都のゲストはほとんどが観光客。外国人も約2割と、館内はインターナショナルホテルのようなムードが漂っています。「利便性を考えて京都駅周辺に宿泊する方が多いようですが、実はここ烏丸御池は各方面へのアクセスが抜群にいいのです。しかも静か。観光の拠点としては最高のロケーションです」と宿泊課支配人の中島雅史さん。
日本屈指の観光地としての土地柄、連泊するゲストも多く、スタッフは頻繁に案内を求められます。「そこでモントレでは初となるコンシェルジェを置きました。これが思った以上に大変な役割で。お客様がひっきりなしに訪れますし、滞在中に毎日数時間、腰を据えて相談をする外国の方もいらっしゃいます」。同じように重労働なのがベルスタッフ。「お客様にはできる限りフルアテンドを心がけているので、ベルスタッフかなりの人数を確保しています。それでも重い荷物の運搬続きで、体を壊してしまう人間も多いんです」。なのにみな笑顔や優しい物腰を失わないのは、仲間意識が強いから。「困っているスタッフがいれば、セクションに関係なくフォローします。声を上げれば、誰かが応えてくれる。だから忙しくても不必要なストレスが溜まらないんです」。
ひとりが何役もこなすことでサービス向上に
専門分野に固執するのではなく、みなでホテルモントレ京都をつくる。時にはひとりが何役もこなすことも。それがゲストとの距離を縮め、小さなニーズを拾い上げるきっかけにもなります。そしてサービスが充実し、きめ細かな対応となってゲストを満足させる。結果、リピーターが増える。「そのために必要なのがお客様との会話。でも何かたずねられてもわからない、知らないでは意味がない。どんなことでも応じられる幅広い知識を持つのは、お客様のためだけでなく、自分のためでもあるのです」。
コンセプトホテルならではの役割を
そんな中島さんがぜひ実現したいと目論んでいるのが「ホテル内ツアー」。ホテルモントレ京都はスコットランドをテーマに、京都の粋と英国文化の域を融合させた見事なデザインが特徴です。家具や調度品も本場のアンティークや選び抜かれた品ばかり。「ロビーのルノアールは本物です。オープン当初は心配で心配で、門限を設けたいなんて提案してみたり。もちろんセキュリティは万全ですが、何かあったら切腹ものかも」と笑う中島さん。そんな世界的財産がさりげなく目の前に存在しているのです。「何が飾られているか知るだけでも滞在はずっと楽しくなるし思い出に残るはず。会話のきっかけにもなりますよね」。また地元キュレーターとのコラボで、客室フロアを使ったアート展も開催予定なのだとか。「京都をもっと知るお手伝いをするだけでなく、情報発信源としての役割も果たしたい。こういうコンセプトホテルだからこそ、取り組む意義があると思うのです」。
1階のカフェは邸宅のライブラリをイメージ
華やかなレストラン「エスカーレ」は常に人気
13階にある天然温泉はまるで日本旅館のような趣
京都市内を一望しながらラウンジでリラックス
スコットランドから日本旅館へ
スコットランドのアート&クラフツと古都エジンバラをテーマにデザインしているホテルモントレ京都。そのこだわりは徹底的で、ダイニングや宴会場、チャペル等の館内各施設も見学するだけでも価値のある空間になっています。ところが、最上階である13階だけは全く異なる雰囲気が・・・。ここはスパ「トリニテ」の占有フロア。しかも天然温泉の大浴場まで備わっているのです。
入館者はスパの入り口で靴を脱具という日本的なシステム。漂う空気はまさに日本旅館の大浴場。自由に使えるタオルやバスローブが置いてあり、スパ内はこのバスローブで過ごすことができます。
京都市内で初の天然温泉
大浴場は「ここは本当にシティホテルの中!?」と驚くほどのビッグサイズ。京都市内中心部では初めてという天然温泉で、地下から汲み上げられる豊富なお湯は効能あらたかなナトリウム泉。磨りガラスで外は見えないようになっているものの、開放感はたっぷり。オープンエアの露天風呂風あり、ジャクージありとバラエティにも富んでいます。また女性側には岩盤浴室もあるので、冷えた体をじっくり体を温めたい時に重宝します。
ここまでくつろいだら、ぜひエステメニューやボディケアにもトライしたいもの。特に観光でたくさんのお土産を抱え、終日歩き回ったあとの体はくたくたのはず。そんな日は、ちょっと早めにホテルに戻りトリニテに直行して。実はここのメニューは、19時までなら半額で利用できるのです。その他にも期間限定で、お得なプログラムが多数企画されています。女性は3室のプライベートルーム、男性は1室ですがベッドは3台あるので、一人でも友人とでも気軽に施術してもらえます。予約が混み合うのは夕食後から閉館まで。のんびりしたいなら、その前にどうぞ。スパや入浴の合間の休息は男女共用のラウンジで。大きな窓からは京都の街並みや北山、東山も一望でき、五山の送り火の際には絶好の穴場になるのだとか。
スパにアクセスしやすい女性専用フロアも
客室からスパへはバスローブやパジャマでの行き来は不可ですが、靴だけは専用スリッパが用意されています。これはブーツを履いている女性ゲストからの「入浴の後にまた履きたくない」という声を反映したサービス。また、スパにアクセスしやすいよう12階は女性専用フロアになっています。これなら入浴後の素顔でも、最短で部屋に戻れるというわけ。最近は、女性の一人旅でのんびりスパを利用するゲストが増えてきているそうです。極上のリラクゼーション、あなたも味わってみませんか?
「チャーミング」がテーマの可憐なツインルーム
バスルームも室内のカラーに合わせたしつらえ
男性やビジネス客に支持される「シック」の客室
客室に京都の老舗・辻利のお茶を。煎れ方案内も
重厚なロビーへいたる劇的な構造
ホテルモントレ京都が位置する烏丸通は、芸術センターや池坊ビルなどが建ち並ぶ洗練されたアート&ビジネスエリア。その景観に溶け込むような外観は、意外とシンプルな印象です。しかし、エントランスをくぐるとふっと光度が落ち、途端にイメージは一変。不自然に曲がる廊下の先に、重厚なデザインのロビーが待ち受けています。この劇的な構造、わかりづらいと感じる人もいるかもしれませんが、非日常へ誘う演出としては文句なし。素直に驚かされてみようではありませんか。
世界各国からのゲストが多いこのホテルは、サービスも可能な限りインターナショナルスタンダードに近づけています。重い荷物はベルスタッフが引き受け、客室まで運搬。これもモントレグループの中では数少ないサービスのひとつです。身軽になったゲストは、あちこちに飾られている素晴らしい芸術品や、見事なアンティークに目を奪われながら客室へ。エレベータホールや基内に飾られているのはウィリアム・モリスのオリジナルです。4基すべて異なる作品ですので、お見逃しのないように。
カラーリングの美しさに圧倒される客室
ゲストフロアは実に静か。宿泊者以外が立ち入れないようなカードセキュリティの効果と、低めの照明がゲストの心身をリラックスさせ、穏やかな空気を醸し出す手助けをしているのでしょう。ツインルームは、茜色とピンクを基調にしたチャーミングな内装。ドアを開けた女性は歓声を上げるそうですが「男性のお客様の中には、落ち着かないと訴える方も・・」と宿泊営業課の後藤友紀さん。そんな向きにはチャコールグレーと濃紺を基調にしたシックな客室がおすすめ。それぞれバスルームはテーマカラーに合わせたしつらえ。かわいらしく、またゴージャスにプライベートタイムを彩ります。
本場の「おもてなし」をお手本に
ところで京都は「おもてなし」の本場。ホテルモントレ京都でも、客室にはこだわりのもてなしが用意されています。全室に加湿器付き空気清浄機を完備、またインターネット利用も無料。ベッドはシモンズ社製で、パジャマはグンゼとの共同開発。コットン100%の肌触りのよさはゲストにも好評です。そして水。ここでは地下から汲み上げた天然水を全館に供給。そのおいしさを実感できるアイテムが老舗・辻利のお茶です。「京都らしさをどこで出すかと考え、その第一歩として辻利さんのお茶を置かせてもらいました。辻利さんに教わったおいしい煎れ方のガイドと専用タイマーも用意してあります」。英国スコットランドの粋を極めた空間の中で、日本の粋でほっと一服。そのギャップも印象的です。