木の温もりとホワイトカラーで彩られた美しい客室
館内廊下にもデザイナーズホテル独特の雰囲気が
ゲストはインターネットとプリンタを無料で利用できます
ロビーにはマンハッタンのモノクローム写真
オーナーの意向を隅々まで反映
サットンプレイス博多は、ルネッサンスホテルグループ傘下のホテルとして2007年にオープンしました。この系列ホテルには多くの共通点があります。それは建築家でもあるグループオーナー自らが手がけ、その意向を隅々にまで反映した「デザイナーズホテル」だということです。
レストランや宴会場等の館内施設を最小限もしくは全く持たず、宿泊を主体としたデザイナーズホテルやブティックホテルは、90年代にニューヨークから流行りだしたスタイルです。日本にも増えてきつつあるとはいえ、そのほとんどは従来のビジネスホテルを現代風にアレンジしただけのもの。サットンプレイス博多も、料金や部屋の大きさだけ見れば、そうした1軒ではないかと判断されてしまうかもしれません。しかし、泊まってみれば、その造りや素材へのこだわりが、巧みに芸術的空間を作り出していることがよくわかるはずです。
こだわりが作る芸術的空間
客室、宴会場、レストラン、駐車場で構成されていた既存のホテルを改装し、6階から13階までの8フロアに162の客室だけを保有する「デザイナーズホテル」へと変身したサットンプレイスホテル博多。館内に足を踏み入れると、まず予想外のロビーの広さに驚かされることでしょう。もちろん客室のこだわりも際立っています。たとえばバスルームも含めて木のフローリングであること、寝心地のよい素材のマットを使用していること、そして白い壁以外は木材を使った内装にしていることなどなど。スタンダードシングルの大きさは15平米しかありませんが140センチ幅の広いベッドが置かれており、バスルームもユニットではなく、タイル張りの大きな浴槽を使用しています。快適さと高いデザイン性を兼ね備えたこの美しい空間は、滞在する全てのゲストを満足させるに違いありません。
名前はニューヨークの最高級住宅地から
ところで「サットンプレイス」とは、マンハッタンの最高級住宅街の地名。一般的にはアッパーイーストサイドが高級住宅街と言われていますが、実はその少し南側にあたる地域こそ一番の高級エリア。こここそがサットンプレイスなのです。そこに暮らす人達は、鼻高々に言うそうです。「アッパーイーストサイドと一緒にしてほしくないわ」。他のホテルとは一線を画す個性を持ったサットンプレイスホテル博多は、まさにニューヨークの最高級エリアの名を持つにふさわしいホテルなのです。
常にピカピカに磨かれている木のフロア
バスルームもフローリングで排水路なし!?
光を優しくさえぎる木製ブラインド
カップや小物も木目というこだわり
木目への徹底したこだわり
サットンプレイスホテル博多の特筆すべき点は、客室のバスルームにまで木のフローリングを施していること。段差のないフロアは年配者や体が不自由な人でもスムーズに移動でき、部屋によっては車椅子をバスタブのそばまで寄せることも可能です。バスルームの電球は高価なものを使用しています。真上から水面を照らす光の質によってお湯の輝きが変わって見えるからです。バスルームへ入るドアもスライド式の木製ドア。バリアフリーにするため、そして美しさを保つためにレールは使われていません。バスルームの天井や椅子、カップや小物も木目です。しっかりと統一されたその素材と色調に、デザイナーズホテルとしての高いクオリティを見ることができます。
でも、もしお湯があふれてしまったら大変です。木のフローリングだけでなく、段差がない構造ですから室内へ、そして廊下も水浸しになってしまいます。ところがスタッフにたずねると、不思議なことにそうしたトラブルはほとんどないのだそうです。あまりに美しいバスルームに、ゲストも思わず緊張して注意深く使うのかもしれませんね。
ヤシの繊維を使った特注ベッド
木目へのこだわりは客室内全てに及んでいます。室内に差し込む光をさえぎるのはカーテンではなく木製ブラインド。そして、これぞ極めつけとも言えるのが、ベッドマットです。なんでもヤシの繊維を使った特注品だそうで、海外で作られているのだとか。やや固めなのは、日本人の好みを反映しているのでしょうか。もちろん寝心地は最高です。
美学とでも言えそうな空間作り
ふとワーキングデスクに目をやると、机の上にはチラシ類や時計などが殆ど置かれていません。机の木目を強調することで、部屋の美しさをさらに引き立てているのです。シンプルなカラーリングと、温もりを感じさせる木材へのこだわり。まさに美学とでも言えそうな空間作りは、デザイナーズホテルとしての高いクオリティを静かにアピールしているようです。
大きなガラスのエントランスが豪華さを演出
木のフローリングはバリアフリー構造
ロビーでは毎朝無料の軽朝食が用意されます
紙製の靴ベラはとりわけビジネスマンに好評
ロビーで待ち合わせしたくなるホテル
博多駅からタクシーで数分、徒歩でも8分程度。隠れ家的なホテルを求める人に人気のサットンプレイスホテル博多のエントランスは、大きなガラスのスライド式ドア。ロビーは広く、マンハッタンのモノクローム写真がゲストの目を引きつけます。それとともにスノビッシュなムードを演出しているのは、天井に埋め込まれた多数の照明と静かなBGM。「このホテルに泊まると、ロビーで待ち合わせをしたくなるんですよ。相手に趣味のよいホテルに泊まっているなと思われて、少し鼻が高くなるんです」。ゲストからそんなコメントがしばしば寄せられるのもうなずける、実に優雅な空間です。
嬉しいサービスが豊富に
たくさんのソファセットが置かれているこのロビーでは、毎朝無料のコンチネンタルブレックファストが提供されます。ゲストは好きなパンを好きなだけ、ソファに座ってゆっくりと食べられるだけでなく、自室に持ち帰ることも可能です。6階と13階にはコーヒー、紅茶、日本茶を無料サービスするためのマシーンもあります。ロビーの少し奥まったところには、これまた無料で利用できるインターネットとプリンタが。観光やビジネスの情報収集に大いに役立つと好評です。
また9階にあるコインランドリーは、節約したいゲストにはとてもありがたい施設。嬉しいサービスといえば、チェックインカウンターにも注目です。ここには携帯に便利な紙製の靴ベラやシェービングクリーム、ライターなどの小物類が豊富に置かれています。このホテルは客室に常備しておいても利用頻度の低いものは標準アイテムからはずし、こうして必要な人が必要なときにピックアップするシステムを採用。エコロジー対策にもなる、実に合理的な考え方をしているのです。
コストパフォーマンスのよさはピカイチ
サットンプレイスホテル博多は6車線の大通りに面していますが、客室は6階以上のフロアに設けられているため、外部の騒音が室内に届くことはありません。そして特注品だという少し固めで幅広のいマットを使ったベッドや、リクエストに応じて貸し出してくれる空気清浄機などが、自分の望む快適な滞在空間を作り上げる手助けをしてくれるでしょう。「お茶やコーヒーはご自由にお召し上がりいただけますし、雨の際にご入り用なら傘も差しあげております。ご遠慮なさらずに、どんどんご利用ください」とホテルの支配人。手頃な料金にもかかわらず、雰囲気のある広いロビーや、細部までデザイナーのこだわりが詰まった客室、そして驚くようなサービスの数々・・・ここは本格的なデザイナーズホテルであると同時に、コストパフォーマンスの高さでも特筆すべき存在なのです。